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life of "love the life"

食べたり飲んだり : 下北沢・CICOUTE CAFE

5/1。午前中に青山で打ち合わせ。午後から品川で視察後、春風亭栄助独演会を見に下北沢へ移動。まだ時間が早かったので『CICOUTE CAFE』(チクテカフェ)でひと休みと軽い腹ごしらえすることに。2000年12月にオープン。駅西口を出て左手の住宅街へ。フィットネスクラブの角を右折すると蔦の絡まった小さなビルが現れる。その1Fの軒先にある素っ気無い行灯看板と、教会用の木製椅子が引っ掛けられた折りたたみ式の袖看板が目印。下北に来るのもこちらを訪ねるのもずいぶんと久しぶり。

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自販機と公衆電話の間を通り、アルミ枠にガラスのエントランスドアから店内へ。照明はかなり暗く、要所にスポットライトが2、3あるのを除き大方が小振りなペンダントライトでまかなわれている。右手に焼き菓子やコーヒー豆の並ぶ物販棚、左手にレジカウンターとキッチンを見ながら奥へ進むと、2人用と6人用の古い木製テーブルがひとつずつ。最奥左にある手洗への通路に沿って、小さな1、2人掛けのカウンター席が設けられている。椅子は看板と同様の教会用で、2人用テーブルのみ黒っぽいクッション席(もとは6人用テーブルの方がクッションだった)。壁や間仕切りは全面オフホワイトの塗装で床はモルタル。

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内装のつくりそのものは極めつけに簡潔で、店内に余分なディスプレイ的要素は何一つ見当たらない。細部に目をやると、うっすらと表面の凹凸を残した木造の柱や家具、照明器具、食器類などが、控えめながら確かな手仕事の跡を感じさせる。フードやドリンクもまた素朴で飾り気が無い。特に素晴らしいのはマフィン。さっくりとした表面にもっちりとした歯ごたえ。噛み締めれば濃厚な穀物の味がする。

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登場当時「カフェブーム以後」を象徴する店として存在感を放った小さなカフェは、8年を経た今も変わること無く淡々とそこに有り続け、次第に老舗の空気感を纏いつつあった。ここにしかない質素の美を味わいに、また近々立ち寄らせていただこう。

CICOUTE CAFE(チクテカフェ)/東京都世田谷区代田5-1-20
03-3421-3330/12:00-20:30(LO)/水休

June 24, 2008 7:00 PM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 浅草・与ろゐ屋

4/27。国立能楽堂で茂山狂言を見た後、浅草へ戻って軽く食事。以前から一度行ってみたかったラーメン店『与ろゐ屋』へ。創業は1991年。

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仲見世を上り伝法院通りを右に曲がると、ほどなく蔵を模した店構えが現れる。間口は2間ほどしかなく、店内は狭い。地上階右手にカウンターキッチンがあり、客席が10ほどへばりつく。入口脇の急な階段を上ると、二階にはテーブル席が5セット。最奥にパントリーとダムウェーターが設えてある。さらに上階に従業員用のスペースがある模様。内装は至って簡素な白いビニールクロス張りで照明は蛍光灯。らーめんとざるらーめん、和風ぎょうざを注文。

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ラーメンのスープは澄んだ褐色。さっぱりとした味わいの中に、煮干と柚の香りが強い印象を残す。旨い。太めの縮れ麺にさらりとしたスープはさほど絡みはしないが、麺自体の持つ粘りある食感が良い。なるほど、この感じはまさしく「ラーメン」ではなく「中華そば」と呼ぶにふさわしい。
ざるらーめんではこの「そば」的感覚がいささか行き過ぎて、麺とスープが完全にバラバラになってしまうような気がした。おそらく好みにも寄るのだろうが、この店ではらーめんをいただくのが私たちにとって正解のようだ。和風ぎょうざは大振りで焼き上がりが美しい。にんにく不使用とのことで、食べごたえは十分ながらこれまたさっぱりといただける。

シンプルで飾り気の無い和風ラーメン。浅草の地によく馴染む。

与ろゐ屋/東京都台東区浅草1-36-7/03-3845-4618
11:00-20:30/無休

June 19, 2008 9:00 AM | trackbacks (0) | comments (4)

食べたり飲んだり : 神保町・さぼうる2

4/21。17時過ぎに打ち合わせと現場確認からアトリエへ戻る途中、神保町で地下鉄を途中下車して一旦休憩とこの日最初の食事。以前から行きたいと思っていた『さぼうる2』で、念願のナポリタン。店の場所は『さぼうる』のとなり。1970年頃に開業。

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具は主にたまねぎとマッシュルーム。時折細切れのハムに出会う。こんもり山をなすスパゲッティーを皿の外に崩さぬよう注意しつつ、ハンバーグセットとともにがっつりといただいた。

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チープだが愛すべき味。昭和の喫茶フードに求められるものが、ここに極めて高いレベルで満たされている。食後の軽いコーヒーも含め大いに満足。この味を旨いと思える世代に間に合って良かった。今度はミートスパゲッティをぜひいただいてみよう。

さぼうる2/東京都千代田区神田神保町1-11/03-3291-8405
8:30-23:00(LO22:30)/日休

May 12, 2008 3:00 AM | trackbacks (0) | comments (2)

食べたり飲んだり : 阿佐ヶ谷・うさぎや

4/7。午前中に原宿、午後から阿佐ヶ谷で打ち合わせ。夕方に一段落して『ひねもすのたり』並びの『うさぎや』でひと休み。どら焼きが有名な和菓子店。上野広小路『うさぎや』の初代・谷口喜作氏ご令嬢が1948年に創業とのこと。

店舗はおそらく鉄骨造と思しい低層ビルの商店街に面した北側に、木造平屋の前半分だけを継ぎ足すようなかたちで設けられている。正面右手にある半間ほどのショーウィンドウに飾られた季節の菓子の可愛らしいディスプレイに目をやりつつ、木枠の大きなガラス引戸を開けて店内へ。
すぐ目の前にカウンターショーケースが置かれ、右脇の細い通路に沿ってテーブル席が2セット。カウンターショーケースの後ろからは首の高さほどの低い間仕切りが奥へと続いており、その左側にバックヤードへの動線、裏側にもう1セットのテーブル席が隠れている。
店頭販売と、計3セットのテーブルでのイートインの機能を無駄なくコンパクトにまとめたプランニングは実に見事だ。面取りの木造作に和紙調クロス、割石床が蛍光灯のシーリングライトに照らされた内装は、ごく正調ながら丁寧かつシンプルな造りで五月蝿さが無く、居心地が良い。

あんみつと豆かんを店内で。甘過ぎず、さっぱりと上品。どら焼きを購入して次の打ち合わせへ。

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アトリエに戻って、煎茶とどら焼き。見目麗しく、丁寧な仕事を感じさせる品だった。さすがに上野広小路ほどの輝きは無いが、十分に美味い。他の和菓子も含め、またぜひいただいてみよう。

うさぎや(阿佐ヶ谷)/東京都杉並区阿佐谷北1-3-7/03-3338-9230
9:00-19:00/土・第3金休

May 4, 2008 7:00 AM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 向島・長命寺桜もち山本や

3/29。今戸で仕事の後、隅田川の土手へ。満開の桜を眺めつつ、桜橋を渡ってすぐの向島にある『長命寺桜もち山本や』(ちょうめいじさくらもちやまもとや)を初めて訪れた。創業はなんと1717年。初代山本新六は桜餅の考案者と言われる。

この日はイートインのスペースが閉まっていたので、6個入りをひとつ持ち帰り。包みを解き、紙箱を開けたのが下の写真。

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桜の葉の塩漬けがぎっしり。芳香とともに春の風情が溢れ出す。

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さながら発掘するようにして桜餅を取り出し、煎茶とともにいただいた。薄い餅に餡を挟み込んだその味は、実に拍子抜けするくらい素朴なもので、初めて食べたにもかかわらず、なんだか懐かしい心持ちがした。なるほど、桜餅の主役は元来桜そのものだったのか。「花より団子」なる慣用句は、この店に限ってはどうやら当たらない。

長命寺桜もち山本や/東京都墨田区向島5-1-14/03-3622-3266
9:00-18:00/月休

April 22, 2008 4:00 AM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 新橋・かおりひめ

3/27。内幸町ホールで円丈師匠と栄助さんを見た後で食事。JR新橋駅の西側(汐留側)、地下鉄銀座線新橋駅2番出口すぐ近くにある『かおりひめ』を初めて訪れた。香川県と愛媛県の物産アンテナショップ「せとうち旬彩館」のエントランスから階段を2Fへ。入口で人数を告げ、作務衣姿のスタッフ氏の案内で窓際のテーブル席に落ち着き、飲み物を注文。見回すとフロアには大テーブルにカウンター、小上がりもあって思いのほか広い。内装は飴色と暗色の木製家具を中心とするざっくりとした造りで、夜の照明は控えめ。居酒屋的でも食堂的でもある空間だ。

ラストオーダーが近かったため、食べ物も一気に頼む。讃岐のしょうゆ豆、宇和島のすくいちりめん、讃岐豚角煮など。中でも佐田岬の岬鯵(はなあじ)の造りは超の付く絶品だった。その味の濃厚なことこの上ない。

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上の写真は宇和島の太刀魚の竹まき焼き。豪快なビジュアルに思わず「なんでわざわざこんなことを?」と疑問の沸き上がる料理だが、食べて納得。甘いたれを付けて炙られた太刀魚の旨味と上品な竹の移り香。実に芳しく、シンプルで、美味い。

仕上げは鯛のひゅうが飯、佐妻汁(さつまじる)にざるうどん。甘麦みその香りが独特な佐妻汁は特に印象的な品だった。讃岐の地粉「さぬきの夢2000」使用のうどんもなかなかのもの。こちらはランチ時に改めて真価を判断したいところ。

ドリンクを1杯ずつしか頼まなかったとは言え、一人2000円そこそこの会計には驚いた。年末年始を除いて無休、しかも11:00から23:00までほぼノンストップでの営業とは有り難い。地元四国にもこれほど使い勝手のよい店は無いんじゃないか。今後、新橋・銀座界隈での定番食事処となりそうだ。

かおりひめ/東京都港区新橋2-19-10新橋マリンビル2F/03-5537-2684
11:00-16:30,17:00-23:00(LO22:00)/無休(年末年始休)

April 14, 2008 1:00 AM | trackbacks (0) | comments (2)

食べたり飲んだり : 外苑前・磯美家本店

3/4。正午から外苑前で打合せ。その後、近くで昼食を採ることに。以前から気になっていた天婦羅店『磯美家本店』(いそみやほんてん)に行ってみた。場所は外苑前駅の1A出口を出てすぐの青山通り沿い。開業は1944年とのこと。

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ベージュの左官壁に閉ざされた店構えは、近隣に比較していささか極端に思えるほどもの静かだ。一見敷居の高そうな佇まいながら、表の品書きに並んだ価格はさほど高くない。白い麻暖簾を分けて半間の引戸から店内へ入ると、おおよそ八畳間ほどのフロアには4人掛けのテーブル席が5つ6つ。最奥に3、4人の並ぶカウンター席があり、ガラスの間仕切りを挟んでその向こうがキッチン。入口のすぐ右手に2F客席への階段。さらに上階はおそらく住居だろうか。内装はクロス張りの壁に塩ビタイルの床、と至って簡素だが、要所のみに和風の木造作がセンス良く用いられ、明るく清潔感のある引き締まった空間となっている。手前のテーブル席に落ち着いて、穴子天丼と上天丼を注文。ほどなく穴子天丼から先に登場。出て来た瞬間、その強烈なビジュアルに思わず笑ってしまった。これは大変だ。

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30cmはあろうかという長さの穴子天が二本、ご飯の上には着地せず丼の両端に支えられている。途中で満腹感を覚えぬよう一気に胃袋に収めてしまおうと箸をつけたところ、巨大な天婦羅は実に香ばしく、その食感は意外に軽い。甘めのつゆと穴子の相性も良く、さくさくと食べ進んでしまった。海老2本にかき揚げ、きすの上天丼もまた具が大きく食べごたえ十分。

決して高級ではないが、十分に満足の行く味。価格は文句無しにリーズナブルだ。青山の雑踏のただ中にあって、取り残されたように小体で粋な空間。もっと早く発見したかったなあ。

磯美家本店/東京都港区南青山2-26-36/03-3401-2308‎
11:30-14:30,17:00-22:00(日祝11:30-14:00,17:00-19:30)/ 土休

March 29, 2008 10:00 PM | trackbacks (0) | comments (2)

食べたり飲んだり : 神楽坂・五十番

2/18。原宿から東新宿にバス移動して大江戸線で飯田橋へ。一通り視察物件を片付けてから、神楽坂の上の方にある『五十番』に立ち寄った。1957年開業の中国料理店。

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坂に面した1Fには中華まんの販売窓口があり、通常は歩道でつづら折りになった購入客の行列がほとんど店の目印のようになっている。幸いこの日は平日の午後遅くとあって待ち時間無し。すぐに食べられる肉まんとあんまん、調理用の純正肉まんと貝柱肉まんをひとつずついただいた。随分以前にお土産にもらったことはあったが、自分で買うのはこれが初めて。

土地勘が無く、座って食べられそうな場所を近くに見つけられなかったので、と言うかたまたまものすごくお腹がすいていたから、毘沙門天脇の路地で早速かぶりついた。直径おそらく12、3cmはあるだろう。なにしろでかく、皮がふわふわとして分厚い。そして肉まんの具の濃厚な風味とジューシーさと言ったら実にこの上ない。食べ方に気をつけないと手の中がびしょびしょになりそうなくらいだ。皮の厚さは伊達ではない。とろりとした食感で甘さ控えめのあんまんもまた美味い。

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上の写真はアトリエでパスタパンを使って蒸した純正肉まん(左)と貝柱肉まん(右)。メッシュの上に直接置いたところ、大き過ぎてひとつずつしか調理できなかった。せいろ買わなくちゃ。

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2、3日後の調理となったため、その場でいただいた時ほどではなかったものの、そのジューシーさは健在。素敵だ。

今度は上階のレストランにもぜひ伺いたい。締めはやっぱり肉まんで。

五十番/東京都新宿区神楽坂3-2/03-3260-0066
11:30-23:00(土-22:00,日祝-21:00)/無休

February 26, 2008 11:00 PM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 徳島・新見屋

12/27。『珈琲美学』を出てヤギの実家(阿波市)まで一旦戻り、家族全員で夕食へ。私たちのリクエストで『新見屋』のたらいうどん(詳しくはこちらを参照)におつき合いいただいた。

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318号線脇の駐車場からコンクリートの不揃いな階段をとことこ降りて、食券売場のお兄さんに一通りを注文。カウンターの向こうはそのままキッチンで、後ろを向くと足下は宮川内谷川(みやごうちたにかわ)の川辺へと柵も無しにそのまま続いている。手前の個室座敷に入ってエアコンのスイッチを勝手に入れ、座布団を並べて落ち着く。ほどなく先ほどのお兄さんが飲み物から順に注文した品を運んで来る。このワイルドさと適当さがこの店の持ち味だ。

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うどんはふくよかでややねじれた形状。独特の食べごたえがある。溶き卵の入った川魚の香り高い出汁に葱とすだちを好みで入れていただく。素朴にして完璧。美味い。

たらいうどん店では定番の沢蟹の唐揚や川魚の塩焼、釜飯もいただいて満喫。こんどは暖かい季節の早い時間に来て、眺望込みで楽しみたいものだ。

新見屋/徳島県阿波市土成町宮川内字上畑100-1/088-695-2068
11:00-19:30(売切御免)/無休

徳島・松乃家たらいうどん(February 2, 2007)
徳島・かねぎん坂野(January 3, 2006)

January 18, 2008 7:00 AM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 徳島・三八田宮店

12/27。昼食に徳島ラーメンを食べに徳島市内へ。北田宮にある『三八』(さんぱ)田宮店を訪れた。『三八』は1970年に鳴門市撫養町南浜で開業。もとは岡田冷菓というアイスクリーム店だったそうで、今でもメニューにはラーメンとアイスクリームが並んでいる。2005年に本店の立ち退きに伴い、新たな旗艦店としてこの田宮店がオープン。現在鳴門市と大阪市に合わせて3つの系列店を持つ。

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駅から合同庁舎の前を北上。吉野橋を西へ少し進み、右折した脇道沿いに『三八』田宮店が現れる。淡いベージュのサイディングパネルに覆われた簡素な平屋の店舗は、駐車場をたっぷりと備えた敷地の中ほどで、取り残されたようにぽつんと佇んでいた。「支那そば」と大書きされた暖簾をくぐり、自動ドアから店内へ。手前の券売機で食券を購入して席に着く。店内の印象は外観同様に簡素で明るく清潔だ。最奥がキッチン。低い間仕切りを挟んだ手前が客席。右手は間にスタッフ動線のある長U字型のカウンター席で、左手には対面ベンチシートのテーブル席ブースがふたつみっつ。吉野家とファミリーレストランを折衷したようなプランとなっている。郊外のロードサイド店としては極めて合理的なつくりだ。

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『三八』のラーメンは、徳島ラーメンの中でも小松島系中華そばに分類される。さっぱりとした中にまろやかな甘味とコクを感じさせるスープと、中細ストレート麺の組み合わせがこの店の特徴。具材はチャーシュー、メンマ、もやしとねぎ。どこをとってもあっけないくらいにシンプルだが、食べ進めるに連れてじんわりと美味い。

年末とは言え13:00過ぎの店内はなかなかの盛況で、客の回転は早い。周りを伺うとほぼすべてのオーダーが「ラーメンとめし」なのが興味深かった。今度来た時には真似してみよう。アイスクリームもぜひいただいてみたい。

三八(さんぱ)田宮店/徳島県徳島市北田宮2-467
088-633-8938/10:30-21:00(売切御免)
火,第三月休(第三月が祝日の場合は前週か翌週に振替)

徳島麺's倶楽部

January 16, 2008 7:00 AM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 明石・お好み焼道場

12/25。前日に神戸入りし、この日は四国へ移動。舞子から高速バスに乗る前に明石に寄って、朝昼を兼ねた軽い食事。訪ねたのは『お好み焼道場』。店名に「お好み焼」とは付くが、玉子焼(明石焼)の老舗として名高い。開業は1954年。勝野が高校時代に随分お世話になった店だ。地元では簡略に『道場』の名で通っている。

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明石駅南口を出て東西に走る通りの向こう側を歩くと、ほどなく『道場』の場所を案内するビル看板が現れる。裏道へ吸い込まれ、最初の角を右に曲がると、幅2メートル少しくらいの路地の左に簡素な2階建ての飲食店がずらり。その合間に見える黄色地に赤い細ゴシック体の「玉子焼」の行灯看板が店の目印。アルミサッシの引戸を開けると右手前に階段とレジがあり、テーブル席の向こうにキッチンが見える。1Fはすでに埋まっており、この日は2Fの座敷席に上がらせていただいた。鉄板付きの各テーブルの上には天井吊りの換気フード。内装は白いビニールクロスと木目調の化粧板で至って質素に仕上げられている。玉子焼を人数分注文。

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ほどなく白木の下駄に乗ったあつあつの玉子焼が登場。1人前10個。おそらく鰹ベースの出汁は冷たく、薬味は無し。この店の玉子焼は比較的大きめで、ふわふわと柔らかいのが特徴。きりっとした濃いめの出汁に浸せば、とろとろと崩れて蛸の切り身が顔を出し、すするようにしていただくことになる。これが滅法美味い。店構え同様、体裁はシンプル極まりないが、その味わいは実に上品で、粋だ。

本当はお好み焼きもいただきたいところだったが、バスの時間が迫っており、昼時に差し掛かって店が込みはじめたこともあって、後ろ髪を引かれる思いで席を立った。やはり『道場』が私達的・玉子焼のスタンダード店。またゆっくりと訪れたいものだ。

お好み焼道場/兵庫県明石市大明石町1-6-6/078-911-8084
11:00-20:30/年中無休

January 5, 2008 8:00 PM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 浅草・麻鳥

12/22。浅草寺仲見世の西の脇道にある釜飯の有名店『麻鳥』(あさどり)を初めて訪れた。開業は1972年。

店構えは交差点に面した建物の角を斜めに切り落とすようにして設けられており、入口の左側には外釜場(釜飯の調理実演ブース)、右側のショーケースにメニューサンプルが並んでいる。べんがらの暖簾を分けて店内へ。店員さんの案内に従って、右手にあるメインのキッチンと外釜場の裏側に挟まれた細い通路を進み、奥のテーブル席に到着。八畳間くらいのスペースに4人掛けのテーブルが7つほど、通路脇に4、5人掛けのカウンター席が詰め込まれている。さすがにゆったりとは行かないが、左官と木造作によるそつのない内装と、抑えの効いた照明のおかげもあって、割合落ち着いた雰囲気となっている。入口のすぐ右脇には急な階段があり、その先に座敷席があるようだ。キッチンをのぞくと調理スタッフは少なくとも5、6人。それにしては見るからに狭い。動線面も含め、運営面にはかなり苦労があるだろうと察する。

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かき釜飯と五目釜飯の「竹」を注文。釜飯は注文後2、30分かかるとのことなので、穴子焼をつまみながら待つ。メニューをよく見ると魚介と鳥の串焼きの種類もかなり充実しており、客としてはなかなか使い勝手が良さそうに思われる。実際、他のテーブルを見ると客層は様々で幅広い。

釜飯は一品ずつ小さな釜にしゃもじを添えて供される。さっぱりとした出汁に素材の良さが引き立つ実に上品な味わい。おこげまで美味しくいただいた。観光地のど真ん中で丁寧な仕事をなさっていることが大変好ましく、有り難い。今後もぜひお世話になりたいものだ。

麻鳥(あさどり)/東京都台東区浅草1-31-2/03-3844-8527
11:00-21:30(LO21:00)/年中無休

January 4, 2008 7:00 PM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 浅草・おがわ

12/14と12/19。浅草では『亀十』と並ぶどら焼きの有名店、『おがわ』を初めて訪れた。二日に渡ったのは『おがわ』に寿店と雷門店の2店があるため。開業年は不明。どちらも近くの有名鰻店『初小川』から分かれた兄弟店で、看板やパッケージにあしらわれた鰻のマークがそのゆかりを示す。そう聞くと「なるほど」とは思うのだが、通り掛って一見しただけでは何屋なのやら判断がつかない。

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上の写真左が寿店、右が雷門店の店構え。どちらも立派な木戸に藍暖簾。店内の様子は歩道からはほとんど伺えない。

田原町の交差点から浅草通りを東へ進み、やや駒形橋寄りの角を右に曲がると、ほどなく右手に渋いトーンのグリーンのタイルが貼られた低層ビルが見つかる。寿店があるのはその1F。おそらく上階はお住まいだろう。ほの暗い店内には正面に小さなカウンター、右手にちいさな床の間風のディスプレイがあるだけで、その手前の空間は2、3人も立てば一杯になるくらいの狭さ。それでも和菓子店らしく整った風情に好感が持てる。
左手の壁にある品書きには何個詰めで幾ら、としか書かれていない。三角巾にエプロン姿の年配の女性店員さんに、どんな種類があるかをか訪ねたところ、小豆餡、白餡、鶯餡があるとのこと。小豆を2個、他を一個ずつ購入した。

一方、雷門店があるのは三方を高いビルに囲まれ取り残されたように佇む古い木造2階建の1F。建物は浅草通りに面しており、そばの信号を渡るとすぐの場所に寿店がある。木戸を開けると左手に縁台、右手にカウンター。店内はやはり狭く、カウンターの上には包装用の箱が積み上げられており、いささか雑然とした雰囲気となっている。どら焼きの種類は寿店と同じ。

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上の写真は寿店のどら焼き三種。手前が小豆餡、その向こうが鶯餡で、いちばん奥が白餡。

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上の写真は寿店(左)と雷門店(右)のどら焼き(小豆餡)の断面。サイズは寿店の方が小振り。皮と餡とのボリュームのバランスが両者では明らかに異なる。食べてみると味も大違いで、店名こそ同じではあるものの、ふたつの『おがわ』はどうやら全く別の店と考えた方がよさそうだ。

どちらが美味しいかと問われれば、寿店に軍配が上がる。その上品できめ細かな食感と豊かな風味は、『うさぎや』には及ばずとも十二分に素晴らしい。餡については、私たちの好みからすると、若干ながら砂糖甘さが強いように思われるが、やはりきめ細かで美味い。雷門店のどら焼きは、寿店に比べるとかなり素朴なつくりで、オーバーに言うとなんとなくホットケーキ的だ。それでも専門店の商品として一定のレベルには達している。

どちらの店もアトリエから浅草までの途中にあり、徒歩でもせいぜい7、8分なのが有り難い。またぜひ立ち寄らせていただこう。

おがわ寿店/東京都台東区寿4-13-14/03-3841-2359
営業時間不明(17:00くらいまで,売切御免)/店休日不明

おがわ雷門店/東京都台東区雷門2-6-4/03-3844-4748
9:30-15:00(売切御免)/日休

December 30, 2007 8:00 PM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 神保町・さぼうる

10/16。南洋堂書店とKANDADAで展覧会を見た後、神保町の地下鉄駅出入口そばにある『さぼうる』へ。言わずと知れた老舗にして界隈を象徴する喫茶&パブだが、立ち寄ったのはこの日が初めて。創業は1955年。靖国通りとすずらん通りの間にある路地に面して立つトーテムポールと山小屋風の外観(すごい取り合わせだな)が目印。

ドアを開けて玉暖簾をくぐると右手にカウンター。正面手前に細い階段があり、フロアは地上と半地下とに分かれる。

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上の写真は半地下席の様子。内装もまた木造煉瓦張りの山小屋風。この日は比較的空いていたせいか、煙草の煙はさほど気にならなかった。座席の配置とその詰まり具合は実に見事なもの。天井の低さといい、なぜか悪い気がせず、かえって落ち着いた気分にさえなるのが不思議だ。どこに座っても手の届きそうな距離にある壁や柱、天井は積年の落書きで覆いつくされている。客層は年齢、風貌ともに幅広い。

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コーヒーとジャムトーストを注文。見た目、味ともに申し分無い昭和喫茶仕様。満足。

会計を済ませて店を出ようとすると、マスターと思しい老齢の男性がさっとドアを開け、歯切れ良い挨拶で送り出して下さった。同じ店を同じ場所で、半世紀を超える年月のあいだ続けて来た人物だ。その姿は颯爽として、思わずはっとするくらいに格好良かった。

次はぜひナポリタンをいただいてみよう。

さぼうる/東京都千代田区神田神保町1−11/03-3291-8404
9:00-23-00(LO22:30)/日休

November 25, 2007 7:00 PM | trackbacks (0) | comments (0)

仕事してるんです, 食べたり飲んだり : alternative・初ディナー/写真撮影

11/9。大阪から須賀さんご夫妻が来訪。これは滅多にない機会、とばかりにオープンしたての自由が丘『alternative』へと問答無用でお連れした。ディナーコースをいただくのは私たちも初めて。

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本日の魚介のグリル(上の写真左上)はホタテとイカ。刻んだ梨と一緒にいただく。ドリンクにはプレミアムモルツ生の後、〆張鶴の純米吟醸を4合ボトルで。

コンソメの茶碗蒸し(写真右上)の具はフォアグラ。白いのはカリフラワーのピュレ。本日の魚のお刺身(写真左下)はムツとブリ。絶品。本日の碗物(写真右下)は金目。極めつけに上品な出汁。金目の食感も素晴らしい。

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フランス産鴨胸肉のポワレ(上の写真左上)はまさしくコンテンポラリー鴨葱。お食事(写真右上)は鮭のまぜご飯と原木しめじの味噌汁。どちらもワイルドでインパクトのある品。

本日のデザート(写真左下)はピスタチオのアイスクリーム。コースを通してのボリュームは十二分。食後には香り高い阿里山金宣(写真右下/台湾茶)を何度かお替わりしつつ、ゆっくりと過ごさせていただいた。大満足。

シンプルかつ骨太な味わいの料理は、どれもオーナーシェフ・渡辺さんの人柄を思わせるものだった。特に最初の一皿は、北海道出身である渡辺さんのルーツと、この店のコンセプトである「オルタナティブな日本食」を同時に表明するものとして感慨深い。用いられる器もまた一見してシンプルながらその実ユニークなフォルムを持つものが選ばれており、さりげなく料理を引き立てる。

さて、love the lifeのデザインは少しばかりでも渡辺さんのお役に立てただろうか。その点についてはぜひ実際に訪ねた方のご判断をいただければ幸いだ。12日からはランチコースも始まっているので、まずはどうぞお気軽に。

alternative(オルタナティブ)/東京都目黒区自由が丘 2-3-16-2F
03-3725-6730/12:00-14:00,18:00-23:00(LO21:30)/日祝休

23時前に代官山へ移動。『dcb』へ。いつ来ても心地よく、時間の経つのを忘れる店。久方ぶりの長く楽しい夜となった。

そして、11/10夜に再び『alternative』へ。翌日の朝にかけて完成写真の撮影。

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上の写真は明け方にサンルームを撮影中のフォトグラファー・佐藤振一さん。すでにお疲れの様子。全部を撮り終わった頃には10時を過ぎてしまった。ぐったりと疲れ果てた状態で『アンセーニュ・ダングル』で珈琲の後、解散。

November 13, 2007 7:00 AM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : カフェ・ハイチ新宿本店

10/15。新宿で『alternative』のためのグラフィックデザインに関する打ち合わせ。その後、アラタメさんと『カフェ・ハイチ新宿本店』へ移動して軽めの夕食とコーヒー。1974年開業のドライカレーとハイチコーヒー、ハイチ料理の専門店。言わずとしれた有名店だが、私たちはこの日初めて伺った。

新宿駅から甲州街道を西へ。ソフマップを過ぎての角を右に少し入ると、間口の小さな雑居ビルから棕櫚ほうきのような樹皮に覆われた軒が唐突に突き出している。サンプルケース脇の狭く曲がった階段をB1Fへ。

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フロアの形状はL字になっている。入口から通路に出ると右手に小さなキッチン、左手と突き当たりにいくつかのテーブル席があり、左に曲がると通路を中央にして奥までずらりとテーブルが連なる。合計40席以上はある模様。
家具類はコロニアル調の木彫を施された懐かしくも濃厚な様式。黄色い壁に沿って飾られた置物や絵画の類いも、店名からして当然ではあるが、見事に70年代流行の南の島テイスト。店内をうっすらと満たす煙草の煙。照明が明るいことを除けば、まるで30数年前に時計を止めてしまったような空間だ。軽く文化遺産的。

名物のハイチ風ドライカレーを注文。見た目に可愛らしく、味は意外にスパイシーでパンチのある品。美味い。

カフェ・ハイチ新宿本店/東京都新宿区西新宿1-19-2-B1F/03-3346-2389
11:00-23:30/無休

October 28, 2007 5:00 AM | trackbacks (0) | comments (2)

食べたり飲んだり : PICA山中湖ヴィレッジ

10/13。ウヱハラ先生のレガシー号(代車)で山中湖へ。結婚式以来一年振りにようた君と会って、彼の仕事場である『PICA山中湖ヴィレッジ』を見学させていただいた。パーマカルチャーをコンセプトにデザインされた、ユニークなレストラン、カフェ、コテージなどの複合施設。2007年8月にオープン。

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ほとんど国産材のみが用いられているという木造の主要棟は、山中湖の南岸に面し、庭と森の植栽に囲まれて建っている。質素な外観は近隣の張りぼて観光施設とは明らかに異質な佇まい。

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自家栽培の野菜を用いたオーガニックレストランのメニューはどれも気の利いた盛り付けで可愛らしい。中でもカレー(写真右上)とドライフルーツ(写真左下)は実に美味しく食べごたえのある品だった。

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上の写真は別棟のハンモックカフェ。周辺の木々の間に掛けられたハンモックでカフェのメニューをいただくことができる。ソフトクリームが激ウマ。

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最も楽しかったのは扇形の敷地を分割した中に様々な植物が混栽されたガーデンエリアの散策。害虫除けのための草花と、食用の野菜を同じプランターに共存させるやり方は、見た目こそワイルドだがその実合理的だ。しばらくは見慣れない花を見つけたり、強烈なハーブの芳香に感動していたが、レストランのスタッフの方が実際に茄子を収穫されるのを見てからの話題は「これ食えるの?」に集中。台東区のコンクリートジャングルに住む私たちも、なるほどこれがロハスとか言うやつか、と少しばかり実感した一日となった。

午後遅くにようた君のお宅を訪問。奥様とも一年振りに再会し、御子息と初の対面。流石、両親に似て眼に力のある男前の赤ちゃんだった。

PICA山中湖ヴィレッジ

October 21, 2007 2:00 AM | trackbacks (0) | comments (2)

食べたり飲んだり : 蔵前・栄久堂のお月見だんご

9/25。十五夜。春日通りと新堀通りの交差点近くにある和菓子店『栄久堂』でお月見だんごが売られていた。ひとパック購入すると、よければ店先の器からススキを3本お持ち下さい、とのこと。ありがたく頂戴することに。

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玄関前の共用通路から、良く晴れた空に綺麗な月が見えた。月見なんてたぶん20年振りくらいじゃないか。

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普段、季節感に乏しい生活をしている私たちにとって、近所の和菓子店のこうした心遣いはとても貴重なものに思える。

兎の皿は李荘窯

蔵前・栄久堂(January 21, 2006)

October 3, 2007 5:00 PM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 自由が丘・丸栄店主氏が永眠

9/24。現場から駅へと向かう途中『丸栄』の前を通り掛った。自由が丘周辺では『とんき自由が丘店』と並び賞されるとんかつの雄。1967年開業。
そろそろ夕食時であるにも関わらず、入口はシャッターで固く閉ざされていた。貼紙を見ると、なんと8/31に店主・星野忠男氏がお亡くなりになったとのこと。

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ラードのみで揚げるあの滋味に満ちたとんかつを、再び味わえる日が来ることを願わずにはいられない。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

October 3, 2007 4:00 PM | trackbacks (0) | comments (1)

食べたり飲んだり : 浅草・駒形どぜう

8/10。福間さんのお誘いで『駒形どぜう』へ。1801年創業のどじょう料理店。初代越後屋助七は「どぜう」の表記の発案者とされる。浅草でも指折りの有名店で、アトリエからはほとんど近所と言って良いくらいの距離ながら、訪れるのはこれが初めて。

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場所は駒形橋の手前を少し南に下った江戸通り沿い。路地を挟んだ隣はバンダイの本社で、少し北側にはエースの本社がある。1964年に建てられた木造の店舗は地上3階・地下1階の4フロアを擁し、席数は250を超える。シンプルさの中にも威風を感じさせる外観は、東京の庶民の文化と気質をよく表すように思う。店先にある『江戸文化道場』の看板は、隔月で催されている芸能、工芸などに関する講座の告知。

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暖簾をくぐり、引戸を開けると、籐を敷き詰めた入れ込み座敷の賑わいが眼前にひろがる。気分は俄然盛り上がり、早速「そこ座っていい?」と靴を脱ぎそうになったが、この日は脇の階段から2Fの大広間に通された。1Fも2Fも天井は高く、内装のつくりは外観同様実にしっかりとしており、余計な装飾は無い。古い建物にしてはエアコンの効きは良く、そこらじゅうで鍋の湯気が立ち上っているにもかかわらず室内は快適だ。座卓を3人で囲み、どぜう定食を2人前とくじら刺身、鯉のあらいなどを一気に注文。ほどなく、座卓に仕込まれた小型のコンロにどぜうなべが乗せられた。

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はじめて嗅ぐどじょうと味噌の合わさった香りは、不思議に懐かしく、優しいものだった。どじょうは丸のままだが、最初から骨まで柔らかく煮込まれている。たっぷりと葱を混ぜ、好みで山椒か七味をかけていただくと、その風味はさらに引き立つ。強いくせのようなものはどこにも無く、なんと言うか、しみじみ美味い。どじょうを開きにして卵でとじた柳川では、ふくよかな食感が一層強調される。これもまた捨て難い。

四十手前にして今さらのどじょう開眼。近々飯田屋にもぜひ行ってみなくては。

駒形どぜう/東京都台東区駒形1-7-12/03-3842-4001
11:00-21:00(LO)/年中無休

August 23, 2007 6:00 PM | trackbacks (1) | comments (2)

食べたり飲んだり : 麻布十番・浪花屋

8/9。『更科堀井』で食事の後、『浪花屋』にも立ち寄った。たい焼きと甘味、軽食の店。1909年に麹町で開業し、40年ほど前に麻布十番へ移転。以後木造の店舗での営業を続けていたが、2005年に建て替えのため麻布十番温泉近くの仮店舗へ一時移転。2007年5月に再びもとの場所での営業を再開した。創業者の神戸清次郎は大阪の出身で、たい焼きの考案者とされる。

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ひとつの金型で一匹ずつしか焼けない製法のため、縁日のたい焼きのように量産することはできない。この日は2Fのカフェスペースで並ぶこと十数分、テーブルに着いて注文してからさらに十数分待った。と言ってもこのくらいはまだラッキーな方で、持ち帰りを頼むと確実に小一時間は待たねばならない。

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私たちは仮店舗を訪れることがなかったため、『浪花屋』のたい焼きをいただくのはずいぶんと久しぶりのこと。薄くパリっとした香ばしい皮の中に、ほくほくのつぶあんがぎっしり詰まった昔ながらのたい焼きの美味さは、時間の流れを全く感じさせないものだった。そして暑い季節となれば、焼きたてのたい焼きと一緒に食べたいのはやはりかき氷。この身体に悪そうな温度差がいい。

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惜しいのは新しい建物とその使い方が良くないこと。もとの小さな土地に出来たビルは、道路の反対側から見上げたところおそらく6階か7階建て。各フロアに深めのバルコニーを設け、西日を少しでも遮ろうとしているのは分かるが、その脇に避難階段を置かざるを得ないため、エレベーターはおのずとフロアの中央に近い場所となる。おかげで店舗は2フロアとなったにもかかわらず、印象的にはずいぶんと窮屈になってしまった。特に2Fでは会計や配膳の機能がすでに客席側へと溢れ出してしまっている。店舗のプロが設計したものではないことは明らかだ。運営面での慣れの問題などいろいろ事情はあるのだろう、とは思うものの、なんとも残念でならない。

帰り際に振り返ってみると、店先のたい焼き専用キッチンの奥にも椅子とテーブルが置かれているのが見えた。どうやら1Fでも食べることができるようだ。空調のろくに効かないなか、ぎゅう詰めのフロアで汗をかきながらたい焼きを頬張ったあの木造店舗の記憶が、あそこでなら再現されるかもしれない。そう思うと、また麻布十番へ行くのが楽しみになってきた。

浪花屋/東京都港区麻布十番1-8-14/03-3583-4975
10:00-20:00/火、第3水休

August 20, 2007 2:00 AM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 麻布十番・更科堀井

8/9。目黒での打ち合わせから小泉誠展へ向かう途中、麻布十番で地下鉄を降りて遅い昼食を摂ることにした。向かったのは『更科堀井』。更科を屋号とする蕎麦屋の本家本元とされる堀井家の店。

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更科の創業は1789年。様々な変遷を経て『更科堀井』が開店したのは1984年。麻布十番商店街の端っこと言って差し支えないこの場所だが、今では六本木ヒルズにほど近い好立地となった。煉瓦調タイルに覆われたマンションビルの1Fに掛かったその暖簾の様子は、雑多な植栽に埋もれてしまいそうなくらいに静かで控えめだ。

照明を押さえた店内に入ると目の前に大テーブル。それを挟むようにして右手に小さなテーブル席がずらりと並び、左手に座敷席という配置。小テーブルの列に割り込んで、店内を隈無く見渡せる場所にレジカウンターが置かれている。この日は少し奥の座敷に落ち着いた。もりの大盛りと冷しじゅん菜とろろそばを注文。

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そばにはしっかりとしたコシがある。風味はさっぱりとして、のどごしが実にきれいだ。“洗練”という言葉の似合うこの店の味をストレートに楽しむなら、スタンダードな「もり」か、蕎麦の芯のみで打った「さらしな」がいい。「から」、「あま」の2種類のつゆが出されるのもこの店の特徴。「から」のつゆは並木とまでは行かないが、濃く、強い。冷しじゅん菜とろろそばは、たっぷりと盛られた具の食感と、そばとの相性が様々に楽しめる面白い品だった。

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サービスは気さくながら目は十分に行き届いている。老舗のオーラを感じさせない自然体の雰囲気が好ましい。その庶民性ゆえにこの店の味は特別であり、蕎麦には素人の私たちにとって確かな指標となってくれる。そばは堀井。つゆは並木。

更科堀井/東京都港区元麻布3-11-4
03-3403-3401/11:30-20:30/水休

August 19, 2007 4:00 AM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 田原町・デンキヤホール

8/6。午前中の打ち合わせからの帰りに『デンキヤホール』の前を通りかかった。とんかつサンドのショーケースがまだ店先に置かれていたので昼食用に購入。近所にもかかわらず、いただくのはこれが初めて。この日店に入ったのは11時を過ぎた頃。残り3個で売り切れのタイミングだった。

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ペリカン製のパンに挟まったサクサクのひれカツ。ソースのかかり具合が控えめなのがいい。シンプルな美味さにほっとする。

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この『デンキヤホール』の営業形態はかなり変則的だ。ランチタイムはとんかつ定食を食べさせる店で、午後の休憩をはさんで夕方からはなぜかメニューがお好み焼きに変わってしまう。で、一番人気のとんかつサンドだけは朝8時から数量限定で販売されている。なんでこんなややこしいことになってるんだろうか(上の写真は夜の営業時の様子。店構えの写真はこちら)。また、観音裏の千束商店街に同名の喫茶店があるが、関係があるのかどうかは不明。もともと電気屋だった、かつて仁丹塔のそばにあった、と言った噂もいくつか耳にするものの真相は分からない。浅草のちいさな謎。

デンキヤホール/東京都台東区寿4-7-7/03-3847-2727
とんかつサンド販売・8:00-売切まで
とんかつ定食・11:30-14:00,お好み焼き・17:30-21:30/日祝休

August 14, 2007 11:00 AM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 中目黒・まえだや

8/4。MOKAさんご両人のお誘いで中目黒のジンギスカン店『まえだや』へ。ブームがあったのかどうか良くわからないジンギスカンだが、この店はそんなことになる遥か前の1999年にオープンしている。

駅から山手通りを南下して立体交差を左折。駒沢通りを北上し、目黒川と歩道橋を過ぎた辺りで右手の路地に入ると、最初の角に『まえだや』が見つかる。木造家屋の1Fを改装し、簡素なアルミサッシをはめ込んだだけの店構え(もとは豆腐屋だったと聞く)。目立った看板も無ければ暖簾も無く、ビールメーカーのロゴ入りの置看板だけが店名を示す。ただならぬ潔さ。

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中央の引戸から店内へ。モルタルの床に白いボード貼りの内装もまた店構え同様に簡素そのものだ。手前の6畳間ほどのフロアにちいさなテーブルが4つ5つ。左奥のキッチンスペースに貼り付くようにして5席ほどのカウンター。まずはお待たせしてしまったお二人に謝りつつ、華奢なパイプ脚のスツールに腰掛けて飲み物を注文。上品な味付けの島らっきょうとザーサイ、キュウリとセロリのにんにく和えをつまみながら肉を待つ。

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ほどなく木目の化粧板のテーブルに七輪が置かれ、ネギ塩焼とロースの網焼が登場。マトンではなくラムを使用しているとは言え、敢えてこうした出し方をする店は少ないのではないか。果たしてその肉質は実に素晴らしく、柔らかさとジューシーさに顔がほころぶ。

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続いてはいよいよジンギスカン。この日は店主・前田ゆかり氏が直々に油を引き、野菜のセッティングをして下さった。その作法は実に丁寧で、思わず見ほれるほど。いただく箸にも気合いがこもる。ネギ塩焼、網焼と同様ジンギスカンの肉も厚切り。羊肉ならではの風味はあっても嫌な臭みは微塵も無く、美味い。シメにいただいたニラ玉雑炊のふわりと優しい食感も忘れ難いものだった。

食器の趣味もまた店のつくり同様に控えめで可愛らしい。白い三角巾の女性とモヒカンの兄ちゃんのサービスも含め、この店の素っ気無さは見事に徹底されている。それだけに肉の持つ力強さが一層際立つ。勝負所をこれだけ明快に示した店は世間にそう多くはない。いつの間にか席の埋まっていた店内は、七輪の煙と、蛍光灯の白い光と、不思議な清潔感とで満たされていた。この店のデザインは完璧だ。

まえだや/東京都目黒区中目黒1-5-8/03-3716-8322
18:30-24:00(土-23:30)/日祝休

August 12, 2007 4:00 PM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 大阪・きじ新梅田食道街店

6/25。天満天神繁昌亭の当日券を取り損ねた後、空港バス乗場近くに荷物を預けに一旦梅田へ移動。ついでに遅めの昼食を摂ることにした。向かったのは新梅田食堂街奥のお好み焼き店『きじ』新梅田食道街店。訪れるのはこの日が初めて。

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新梅田食堂街があるのはJR大阪駅の東側高架下。1950年に18店舗で開業し、現在2フロアに97店舗がひしめく。「食堂街」と言っても特別なアーケードやファサードはなく、足を踏み入れると蛍光灯にこうこうと照らし出された幅も高さも2mそこそこの通路が編み目のようにひろがり、数坪ほどのちいさな店舗が延々と軒を連ねる。バラック街を計画的に作ってしまったような、ちょっと近未来SF的な空間だ。

『きじ』はこの地の奥で1954年に創業。入口のちいさな暖簾と引戸をくぐると細く急な階段。登りきったところにある店は1Fの店舗と頭上の線路との隙間に窮屈そうに挟まっている。左手に客席カウンターとキッチン、右手に4人掛けのテーブルが4台。飯時には長蛇の列のできる有名店だが、この時間は幸い空いておりすぐに席へと着くことができた。スツールの座面をパカっと開けて手荷物を中に入れ、テーブル席におさまって豚玉とスジ焼を注文。お好み焼きは出来上がりをテーブルへと運ぶスタイルで提供される。焼けるまでしばし店内をぐるぐると拝見。頭上すぐの高さにせまるヴォールト状の梁型や空調設備はいかにも古そうなもので、飴色のフィルターを一枚被せたような姿。壁だけは割合最近張り替えたようで、OSBに覆われている。

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アイドルタイムだったせいか、いつもこの調子なのかは分からないが、焼き上がりまでにはけっこうな時間がかかった。もしかすると鉄板の温度を下げているのかもしれない。コップの水を何杯もいただくと、その度にいいタイミングで注ぎ足しに来てくれるサーファーっぽい風貌の店員君の真面目な働きぶりが妙に微笑ましい。

ともあれ、満を持して登場したお好み焼きは、幾度か足を運んだことのある丸の内店同様、薄くソースのかかった見目麗しいものだった。早速いただくと、鳥ガラ出汁を含んだ生地と具との馴染み具合が実に素晴らしい。しその香りは丸の内店以上にフレッシュで、その大人びた風味とほっこりした食感の相性が独特。何と言うか、しみじみと美味いのだ。この不思議な感覚は、ロケーションの持つ力のせいだけではあるまい。

現在『きじ』の本店は梅田スカイビルへと移り、オーナーの木地氏はそちらにいらっしゃる模様。もうかれこれ12、3年は訪れていないので、どんな味だったかすっかり忘れてしまった。またの機会にはぜひ伺って、3店の味を比較してみたいものだ。

きじ新梅田食道街店/大阪府大阪市北区角田町9-20新梅田食道街
06-6361-5804/12:00-21:30/日休

July 7, 2007 6:00 AM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 丸の内・こなから新丸ビル店

5/30。新丸ビルでバンディット・安田さんと会食。『こなから新丸ビル店』でおでん。

『こなから』の本店は神田明神のほど近く。開業後十数年とのことだが、木造2階建に20席くらいのカウンター席を備えたちいさな店の名は、食通のあいだではほとんど聖地のように語られている。予約を取付けるのはなかなか難しいらしく、私たちは数年前に一度タロヲさん夫妻に連れて行ってもらったきり。その味は忘れ難いものだった。この4月にオープンした新丸ビルに、その『こなから』が支店を出すと聞いた時、にわかには信じられなかったが、現にこうして早くも二度目を訪れることができたのはなんとも嬉しい限り。

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店の構えはやはりこぢんまりとしており、狭い靴脱ぎから板間に上がると、すぐそこに瓢箪型の銅鍋からいい具合に湯気が立ち上る様子が見える。客席は鍋を囲んでコの字型を描く大きなカウンターと、その脇にあるテーブルに分かれ、どちらも掘火燵形式。
こうした細部のつくりは本店同様だが、そこはテナントビル内の飲食フロアの一角。しかも席数は40ほどと倍増している。店内の賑わいは本店の親密な雰囲気とは打って変わってほとんど大衆酒場的で、それはそれなりに心地良い。営業的には今のところ予約を受けず、2時間制で客を入れ替える方式がとられている。

上の写真はだいこん、こんにゃく、いわしつみれとオリジナルメニューの新丸さん。どんこ、昆布、鰹節、鯖節からとられるという合わせ出汁はこの上なく澄み切っている。その味は見た目同様クリアであるばかりでなく、深く、そして濃い。丁寧に仕事の施された具材の力強さも含め、本店に一切遜色の無い絶品のおでんだ。

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一品料理も素晴らしい。上の写真はかきおでん。長芋の塩焼も見事。

豊富なメニューをじっくりと楽しむ客が居る一方、数品と一杯ですっと引いてゆく客も多く、席の回転は意外に速い。この店の使い勝手の良さは、言わば好事家のサロンであった『こなから』が、おでん屋としてその本道へ真っ向から切り込む姿勢を示すように思う。願わくばこの高みのまま、永く在り続けてもらいたい。

こなから新丸ビル店/東京都千代田区丸の内1-5-1新丸の内ビルディング5F
03-5220-2281/11:00-15:00,17:00-23:00(土日祝-22:00)/無休

June 9, 2007 6:00 AM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 浅草・ヨシカミ

5/30。浅草で昼食。『ヨシカミ』を初めて訪れた。「うますぎて申し訳ないス!」のコピーで地元ではお馴染みの洋食店。創業は1951年。現在の建物は1960年築。

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場所は新仲見世の北側、ROX向かいのフットサルコート裏手。往時のことは分からないが、現在の街並からすると少々見つけ辛い。外観は有名店にしては比較的地味でこぢんまりとしている。
五叉路側(写真手前側)の茶色いテントの下にあるちいさなアルミのドアから店内へ入ると、目の前にカウンター席があり、その左右にテーブル席が並ぶ。席数は意外に多く、特にカウンター左側のエリアには奥行きがある。この日はその突き当たりのテーブル席に落ち着いた。

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大衆食堂らしいスチールフレームのスタッキングチェアは背と座が茶色いビニールレザー張り。背に店のキャラクターが型押しされているのが可愛らしい。そこら中に貼られたPOPは壁や窓辺を埋め尽くす勢いで、しかもそのほとんどが今時珍しいサインペンによる手描き。凝ったイラスト入りのものが多く、楽しく見飽きない。暇な時間だったことも良かったのかもしれないが、年配の店員さん方の応対は親切でゆったりとしており、食事の前からすっかりくつろがせていただいた。

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注文したのはビーフシチューとオムライス。皿にも大きくキャラクターがプリントされている。味はとびきり、というわけではないが、値段からすれば十二分に美味しい。

優しく懐かしく、気取らない洋食店。今後はぜひ気軽に使わせていただくことにしよう。昼時から夜十時過ぎまでノンストップで開いているのも有り難い。

ヨシカミ/東京都台東区浅草1-41-4/03-3841-1802
11:45-22:00(LO)/木休

June 6, 2007 1:00 AM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 名古屋・いば昇

5/22。午前中に『MOTTAINAI津島』完成写真撮影が終了。名古屋へ戻って昼食を摂った。フォトグラファー・佐藤さんお薦め鰻屋『いば昇』へ。創業は明治期のようだが、詳しいことは不明。現在の店舗は1951年に建てられたもの。

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ビルの谷間にあってこぢんまりとして見えるが、建坪は意外に大きい。入ると右手にレジ。続いてテーブル席がいくつかあって、突き当たりに大きめの坪庭。左手にまわり込むようにして奥へ進むとさらにいくつかのテーブル席。奥に数室の座敷席がある。この日通されたのは最も外れの小部屋で、そこからもまた小さな坪庭が見えた。どちらを向いても実にしっかりと手の入った木造。完成時の迫力は相当なものだったろうと思わせる。今ではいい塩梅に枯れた風情が心地良い。ひつまぶし三人前を注文。

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ひつまぶしは『いば昇』三代目店主が考案したとされる。その食し方はいかにもジャンクで名古屋らしく、正直最初はそれなりの味だろうと踏んでいた。ところが、実際にいただいてみるとどうして、これが素晴らしく理にかなった作法であることを思い知らされ眼から鱗となった。
まず何と言っても鰻そのものがいい。刻んで飯に混ぜてもその香ばしさは失われること無くむしろふくよかさを増す。辛めのたれ、固めの飯との相性は抜群だ。つづく葱は極薄に輪切りされており、爽やかな辛味と繊細な歯触りが一層食欲をそそる。そして最後に茶漬けにすると、全ての素材が生き返ったように新たな風味を醸す。
無論、良質な仕事と素材無くして万事こうは行くまい。肝吸は澄んだ出汁に大ぶりの具。美味い鰻を食った、という満足感を堪能させていただいた。

数度の出張で私たちの頭の中に築かれつつあった名古屋の食に対するイメージは、おかげで見事に崩壊。恐れ入りました。。。

いば昇/愛知県名古屋市中区錦3-13-22/052-951-1166
11:00-14:30,16:00-20:00/日第2・3月休

June 1, 2007 5:00 AM | trackbacks (0) | comments (4)

食べたり飲んだり : 新御徒町・みやこし

5/6。タロヲさんと近所で夕食。三筋二丁目の天婦羅屋『みやこし』へ。訪れるのは春先以来二度目。

場所は新御徒町駅からほど近い春日通南の住宅街。煉瓦調タイル張りの低層ビル1Fの少し奥まったところに藍色の暖簾がかかる。白木の引戸には擦りガラスがはめ込まれ、中の様子はほとんど伺い知れない。「ひっそりと佇むような」とはまさにこうした店構えにふさわしいたとえだ。

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店内に入るとフロアの左側をL字型に白木のカウンターが占め、右側の通路がキッチンの脇から奥の座敷へと続く。内装は比較的新しい様子で、余計な造作をすることなく潔く整えられている。照明はフラットで明るく、当然ながらBGMは無し。
この日は3人だったが、やはり揚げたてをすぐに食べたいのでカウンターの奥に陣取った。ダイニングチェアは剣持勇デザインの秋田木工製とこれまた正しくスタンダードなスタイル。
眼鏡の奥の眼光鋭い店主氏に天婦羅コースを注文。瓶ビールでデザイン談義しつつ、熱々を次々にいただく。

この店の天婦羅をなにかしら言葉で形容することは難しい。ネタが素晴らしい。衣が歯触り良く、香ばしい。当たり前の文句ではあるが、それらを高い次元で成り立たせる店主氏の技に敬意を覚える。虚飾の無い、東京の天婦羅だ。この日はじめて仕上げに天茶をいただいたが、予想を上回るきれいな味わいに思わず唸らされた。

徒歩5分の距離にある名店。季節ごとに足を運ばせていただきたい。

みやこし/東京都台東区三筋2-5-10/03-3864-7374
11:30-14:00,17:00-21:00(日祝夜のみ)/水休

May 30, 2007 1:00 AM | trackbacks (0) | comments (0)

都市とデザインと, 食べたり飲んだり : 新丸の内ビルディング・decora、石月など

4/24のプレオープンから数日にわたって視察した新丸の内ビルディングについてのあれこれ。

全体のプランニングはビル中央にエレベーターなど共用の機能要素を配置し、その周辺を通路とテナントがぐるりと取り囲む形式。六本木ヒルズの森タワー低層フロアと同様の極めてオーソドックスなものだ。各フロアのエスカレーター周りにソファがいくつも振る舞われていること、モールディングやミラーなどを多用した偽ヨーロッパ調の装飾がそこかしこに見られることなどを除けば、特筆することは無い。

個々のテナントのデザインにはユニークなものがいくつかあった。以下、あまりに人が多くてろくな写真が撮れなかったので、そのうち差し替えるのを前提にとりあえず。

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中でも最もアヴァンギャルドで、かつ品格あるインテリアデザインを見ることができたのはアイウェアショップ『decora TOKYO』(2F)。商品の眼鏡は主に店内奥のガラス棚と手前のステージに置かれている。共用通路に対して垂直方向に並んだガラス棚の正面側には左官壁が立ちふさがり、店の外からは商品が斜めにちらほらとしか見えない。また、人の胸の位置ほどの高さのあるステージは天面が大きく凹んだつくりとなっており、そこに置かれた商品を見るには近づいて上から覗くより他は無い。ガラス張りの正面から店の全景を見れば、縦格子状の白い左官壁と黒い塊のような造作が柔らかな間接照明に包まれてあるのみ、と言った景色。カウンセリングを重視したプランを明快な手法でさらりとまとめたのはinfix(間宮吉彦氏)。

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フロア中央に巨大なオーブンを象徴的に置いたプランで度肝を抜くのが『POINT ET LIGNE(ポアンエリーニュ)』(B1F)。『d'une rarete』、『Dan Dix ans』に続く淺野正己氏プロデュースのベーカリー。オーブンの三方をカウンター造作が取り囲み、パンのディスプレイや受け渡しなどすべての運営機能をそこで賄う至ってシンプルな空間構成がとられている。右側の壁は土煉瓦のような素材に覆われ、最奥は鮮やかなピンク色の左官、そしてエントランスは一面ダークグレーの巨大な引戸。オーブンの設置場所は防火区画となるため天井内にシャッターが収められ、その帆立がイエローの面としてふたつ並んでいる。『Dan Dix ans』のような精緻さは無いが、このルイス・バラガン的な大胆さもまた素敵だ。インテリアデザインはTYPE-ONEの斉藤真司さん。

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山手線の東側に住む人間にとって、新丸ビルの飲食店(一部は朝4:00まで営業)の充実ぶりは実に頼もしい。中でも一際清逸な店構えを持つ蕎麦屋が『石月』(5F)。一部に個室を配置したフロアは、間接照明のラインを境に羽目板張りのボリュームと左官の面に分節されている。その構成は極めてシンプルだが、キッチンを区切る壁の描く緩いカーブや、通路側の開口上部を大きく斜めに裁ち落とすなどの操作も手伝って、ギリギリのところで緊張感のある空間が成立している。こうした寸止めは相当な腕前が無くてはとても出来るものではない。いただいたパンフレットを見ると、インテリアデザインを手がけられたのはレミングハウス・中村好文氏とのこと。大いに納得した。軽快な椅子のデザインも見事。

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何分オープン直後なので運営面にはまだこなれていない印象があった。それでも京橋『三日月』ゆずりの蕎麦とつまみは抜群。ほぼ出汁の風味のみで完結するつゆは『並木』とは対極のスタイルだが、美味い。今後このエリアで蕎麦をいただく店はここで決まり。

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どなたがデザインされたのかは不明だが、グラフィカルな手法で東欧のテイストを簡潔に表現したジュエリーショップ『COCOSHNIK(ココシュニック)』(3F)のインテリアは、『石月』とは真逆の方向から来てギリギリのところで踏みとどまったデザインに唸らされた。什器などの細部も素晴らしい。

その他、吊り戸棚形式のワインセラーを見せ場にした迫力あるデザインの『WW』(6F/写真)、ゴッサムシティで見かけそうな凝ったつくり込みの『ARTS & SCIENCE 新丸ビル』(1F/写真)、赤い暖簾の向こうに白い木立のような什器が並ぶ『記憶 H.P.FRANCE 丸の内店』(1F/写真)なども印象的だった。

新丸の内ビルディング・丸の内ハウス(May 16, 2007)

May 14, 2007 6:00 AM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 名古屋・風来坊

4/23。ミッドランドスクエアから地下鉄で栄へ移動。『風来坊』栄店で夕食。『風来坊』は名古屋名物・手羽先(唐揚げにたれで味をつけたもの)の元祖とされる居酒屋チェーン。創業は1963年。その店舗数は市内を中心に国内・アメリカを合わせて70以上を数えるが、なぜか東京にはひとつもない。

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松坂屋の交差点を瓦通沿いに東へ。二区画目の雑居ビルに栄店の看板が見つかる。地下の通路を奥へと進み、思いのほか小さな引戸を開けるとすぐそこがカウンター席。人数を告げ、店内通路のさらに奥にある座敷席へ。
内装のつくりはまったくもって正しい場末の居酒屋風。テーブルも入れると席は全部で60くらいはある様子。20時過ぎに訪れた時点での埋まり具合は半分ほど。客層は年齢も性別も大いに様々だ。

座布団に落ち着くと、店員さんにまず飲み物と手羽先の数を聞かれる。手羽先のボリュームがどのくらいなのか見当がつかないが、あまり多過ぎてもどうかと思ったので「2つ」注文してみた。で、登場したところが上の写真。一個のサイズがわりと小さめなので、これなら食べられそうだと一安心。後で周りの様子を伺うと、なんと一人で「4つ」を平らげる女性客も居るようだった。
甘くスパイシーなたれと胡麻のかかった手羽先の味は複雑で奥行きがある。ビールのつまみとしても最高だが、料理としての完成度の高さも感じられた。確かに美味い。

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もも焼き(写真左下)も含め、全体に甘辛く濃い味のものばかりを頼んでしまったのはいささか失敗。つくね(写真右下)に黒胡麻が練り込まれていたのにはちょっと驚いた。さっぱりと生姜醤油でいただく霜降り(写真左上)で一息。意外に素晴らしかったのはみそ串かつ(写真右上)。これはまたぜひ食べたい品。

2時間程して勘定をしてもらう頃、月曜日の夜だと言うのに店はほぼ満席になっていた。それでもフロアでただ一人の日本人店員と思われるおばちゃんの応対は至ってマイペースなままで、それをとやかく言うような客も居ない。おそらく名古屋の人々にとって、この店は家庭の延長のようなものなのだろう。

風来坊栄店/愛知県名古屋市中区栄5-3-4
052-241-8016/17:00-1:00(LO24:00)/日休

風来坊

May 6, 2007 5:00 AM | trackbacks (0) | comments (4)

食べたり飲んだり : 浅草志乃多寿司

4/21。『並木薮蕎麦』の後、少々お腹に余裕があったので、二本東側の通り沿いにある『浅草志乃多寿司』でテイクアウト。こちらも訪れるのは初めて。

間口の小さな茶色いタイル張りのビル1Fに茶色いテントを突き出した店構えはなんとも素っ気無い。暖簾をくぐると開け放たれたアルミサッシの引戸のすぐ向こうにショーケース。メニューは稲荷寿司と干瓢巻のみ。八個詰を注文すると店主氏がおもむろに握りはじめる。出来上がるまでの数分、店先の小椅子で待つ。

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油揚げと固めの飯に甘辛い出汁をたっぷりと含んだいなり寿司。干瓢巻きの風味とやわらかな食感もまた申し分無い。

浅草志乃多寿司/東京都台東区雷門1-1-10/03-3844-1795
営業時間も定休日も不明。今度聞いとこう。

May 4, 2007 3:00 PM | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 浅草・並木薮蕎麦

4/21。近所で用事を細々と済ませたついでに軽く昼食。『並木薮蕎麦』を初めて訪れた。蕎麦好きには知らぬ者の無い老舗。1913年創業。

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店舗は雷門と駒形橋の交差点の中ほどにある木造二階建。こじんまりとした外観がかえって目に留まる。暖簾をくぐると店内は中央の通路を境にテーブル席と座敷に分かれ、突き当たりにキッチンと会計窓とトイレが並ぶ。内装は古く、照明は控えめ。木部と聚落壁のしっかりした造りが印象深い。歯切れ良い応対の店員さんにもりと天せいろを注文。

コシの強い細打ちそば自体大いに平均を上回るのものだが、何と言っても驚いたのはつゆ。その量は少なく、色は黒く、醤油と鰹節の味の強さは「キリっとした」などと形容できるような生易しいものではない。辛口とは聞いていたが、ここまでとは。ほんの少しだけ漬けてすするそばの風味は実に格別。なるほど、粋だ。

天婦羅もまた美味い。この日いただかなかったかけそばの出汁は鯖節とのこと。また近いうちに伺わねば。

並木薮蕎麦/東京都台東区雷門2-11-9
03-3841-1340/11:00-19:30/木休

ところで、蕎麦屋の屋号についてはいろいろと面白い記述があるようだ。
深川・薮そば(深川散歩)
薮(蕎麦屋)(Wikipedia)
江戸そばの源流(大阪・上方のそば)

May 4, 2007 5:00 AM | trackbacks (0) | comments (0)

都市とデザインと, 食べたり飲んだり : 吉祥寺・Dans Dix ans

4/8。花まつり茶会の前に『Dans Dix ans』(ダンディゾン)に立ち寄った。ずいぶん前から行かねばと思いつつ機会の無かった店。青山『d'une rarete』(デュヌ・ラルテ)に続く淺野正己氏プロデュースのパン屋として2003年オープン。
内外装のデザインは斉藤真司さん。斉藤さんは当時設計施工も手がけていたSHIZENのデザイナーで、現在はTYPE-ONEを主宰されている。『Dans Dix ans』は斉藤さんの代表作であると同時に、SHIZEN代表・島田武さんのテイストが色濃く反映された空間だと聞いていた。

大正通りを西へしばらく進み右手の裏路地に入ると、小さな広場に面したガラス張りの小さなビルがある。その片隅に置かれた小さな看板が『Dans Dix ans』の目印。ゆるやかな階段をB1Fへと降りて、大きな一枚板の自動ドアを開けると、パン屋と言うには実に異質な空間がひろがっていた。

店舗区画はガラスの間仕切りでキッチンとショップに大きく2分割され、双方に視線を遮るものはほとんど無い。ショップ中央に置かれたショーケースはガラス越しにキッチンの作業台へと繋がり、一体のボリュームとして存在する。ショップ側のドライエリアに面して天井吊りの商品棚(キッチンとの間をレールで移動することが出来る)があり、ガラスと垂壁を通した向こう側には緑鮮やかな笹の植込と手水鉢がのぞく。
ショーケースは小さなダウンライトと造作内のLEDで、商品棚は斜めの折り上げ天井からのスポットライトで照らされ、その他の照明はごく控えめ。暗い店内に商品と植込、そして揃いの白いユニフォームを着けたスタッフの姿だけが浮かび上がる。

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研ぎ澄まされ、清々しい緊張感に満ちた空間は、とても気軽に写真が撮れるような雰囲気ではなかった(上の写真は帰ってカットしてから撮ったもの。店内の写真は『JAPANESE DESIGN』などに掲載されている)。調理中の足下まで丸見えの、全く逃げ場のない店内が、オープン後数年を経てこれだけ美しく保たれている背景には、スタッフの弛まぬ努力と優れたプランニングがあるに違いない。これほどまでに強烈なオリジナリティを持った店を見たのは本当に久方ぶりだ。文句無しに店舗デザインの名作。

BE20(フレッシュバター20%+水)とS77(豆乳77%、油脂なし)、セーグル・オ・ルヴァン、ニームとキンカンのジャムを購入。どれも大変美味でした。S77のもちもちした食感は特に印象的。

Dans Dix ans/東京都武蔵野市吉祥寺本町2-28-2
0422-23-2595/11:00-19:00/水・第1、3火休

April 16, 2007 6:00 AM | trackbacks (0) | comments (2)

都市とデザインと, 食べたり飲んだり : 表参道・POISSON D'AVRIL

3/16。午前中に青山で打合せ。早めのランチを摂ってからスパイラル・マーケットの脇で開かれている帯留のちいさな展示会へ。移動中に気になる喫茶店を見つけたので、引き返して立ち寄ってみることにした。

エントランスは青山通りに面したビル1Fの、階段室のようなスペースの奥にある。看板はごくごく控えめで、注視しないと何の店がどこにあるのか分からないほどだが、赤いラインで描かれた魚のマークだけは記憶の片隅に残っていた。そう言えばずいぶん前からあったような。
壁に連なった魚のマークをたどると、サッシュレスガラスの向こうに柔らかい自然光の差し込む白い空間が現れた。表からは全く想像のつかない端正な店構え。

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店名の『POISSON D'AVRIL』(ポアソン・ダブリル)は四月の魚(フランス語でエイプリル・フール)という意味だそうだ。オープンは2004年3月。

通路はキッチンカウンターを回り込むかたちでL字型にとられており、その中ほどに一枚ガラスの大きな窓がある。向こう側は隣のビルとの狭間。白くペイントしたコンクリートブロックで囲われた中にウッドデッキが敷かれ、ちいさな庭となっている。ウッドデッキの高さは客席カウンターの天面に揃えられ、ガラス越しに感じられる空間のひろがりが心地良い。黒いカウンタートップに庭が写り込む様子がまた実にいい景色。この日たまたま展示されていた藤波洋平氏の平面作品も、その柔らかな風合いが店内の印象にマッチし、上手く引き立て合う存在となっていた。

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最奥は白い壁をくり抜いたような羽目板張りの凹みとなっており、集成材のベンチが設えられている。その手前にはテーブルと黒いプラスティックチェア(KartellのMaui)。モノトーンと素材の使い分けがなんとも絶妙。造作のディテールの美しさ、施工精度の高さにも思わず唸らされる。デザインを手がけたのは藤岡新(プラッツデザイン)氏とのこと。

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メニューはほぼ珈琲、紅茶類とケーキのみ。丁寧にいれられた珈琲は十分に満足できる味わい(堀口珈琲で指導を受けられた模様)。軽く上品でなおかつしっかりとインパクトのある自家製ケーキは文句無しに素晴らしい。食器類のセレクトについてはそのセンスこそコンサバティブではあるが、良いものを妥協無く選ばれていることは明確に伝わる。

物静かな女性オーナーによる真っ当で清楚な喫茶店。ぜひ末永く繁盛してほしいが、できればあまり人に教えたくないような気もする。青山にあって今時貴重な、宝物のような店だ。

POISSON D'AVRIL/東京都港区南青山5-1-25-1F/03-3499-0867
10:00-19:00(土12:00-19:00)/日祝休

March 24, 2007 6:00 PM | trackbacks (0) | comments (2)

食べたり飲んだり : 入谷・キッチンよしむら

3/9。午前中に代官山でマンションリフォームの完成・引き渡しの後、一旦アトリエへ戻るついでに近場でランチを摂ることにした。訪れたのは入谷の洋食店『キッチンよしむら』。開業は1953年。

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入谷交差点から言問通りを浅草方面へ少し歩くと、ほどなく店は見つかった。看板は半壊状態で、古びたサンプルケースの中身はいい具合に日焼けした状態。店の正面の半分くらいはそのサンプルケースで塞がっていて、通りから中を伺うことはほとんどできない。あらかじめ評判を見聞きしていなかったらまず足を踏み入れようとは思わないであろうデンジャラスな店構え。

自動ドアをくぐると、すぐさま右手の細い階段を2Fへ上がるよう促される。1Fの大半はキッチンカウンターに占められ、もとはカウンター席として使われていたであろうスペースはすっかりパントリーと化していた。2Fには20席ほどのテーブルセットが割合ゆったりと設けられている。内装の古び具合はかなりのもの。おそらく開業当時から50年あまり、改装を重ねながらこの建物でずっと営業を続けて来たのだろう。窓際に落ち着いてビーフシチューとエビフライを注文。

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このビーフシチューがなんとも素晴らしかった。とりわけドミグラスソースの深みとコクは驚嘆に値する。優しくまろやかな、正しい洋食屋の味わい。牛肉も野菜も嬉しくなるくらいにボリュームたっぷり。

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エビフライの豪快な盛り付けには思わず顔がほころぶ。これまた食べごたえ満点。一緒に頼んだロールパンはペリカン製。大満足の洋食を久しぶりに堪能させていただいた。

考えてみれば、洋食店が新しくオープンしたと言う話しは最近ほとんど聞くことがないように思う。「日本における洋食」という料理様式は今後ますます希少化しそうだ。特にこうした庶民的な洋食専門店は、もしかするとそのうち無くなってしまう運命にあるのかもしれない。残るは高級洋食とカフェ飯、みたいな二極化した状況が避けられないとすれば、実に残念なことだ。

幸い私たちの生活圏内にはまだこうした洋食店がいくつも残っている。『キッチンよしむら』にもまた近いうちに足を運ばせていただこう。今度はハヤシライスかメンチカツあたりかな。

キッチンよしむら/東京都台東区入谷1-5-2/03-3872-0907
11:00-15:00,17:00-20:30(LO)/水休

March 13, 2007 6:00 PM | trackbacks (0) | comments (0)

都市とデザインと, 食べたり飲んだり : 渋谷・鳥重

2/16。MOKAさんご両人に連れられて渋谷・のんべい横丁へ。東京に暮らして十数年目にしてこのエリアに足を踏み入れたのは初めて。横丁の写真を撮るには事前許可が必要なのだそうだが、とりあえずクレームの類いが来るまでは載せておく。

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横丁はJR山手線の高架と二列の木造長屋に挟まれた二本の通りからなる。通りは真っ直ぐに平行しており、その両端には共同のトイレ。面積、店舗数はさほど大きくはない。実にコンパクトで、シンプルな構造の横丁にはカオティックな印象は無く、むしろ合理的に整理されている。地上階にある店舗はどこもせいぜい2、3坪かそれ以下の規模。建具一枚を隔てた中では小さなカウンター周りに十人くらいの客がぎゅうぎゅう詰めで肩を寄せ合っている。ここで飲むには客の側に一定の節度が必要だ。

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この日私たちが連れて行っていただいたのは焼鳥の名店として名高い『鳥重』。大串のビジュアルとその味のインパクト、三交代予約制の営業形態、思わず驚愕する勘定の安さ、などなど、この店については多くの人に語り尽くされている。

調理と接客を一手に引き受けるおばちゃんの絶妙な場の仕切りと美しい言葉使いは、小さな空間と限られた物資を最大限に有効活用するための知恵そのものだ。おそらくのんべい横丁はそうした知恵の集積で成り立っている。

鳥重/東京都渋谷区渋谷1-25-10のんべい横丁
18:00-,19:30-,21:30-(三交代予約制)/日祝休
*電話番号は原則として非公開

February 26, 2007 3:00 AM | trackbacks (0) | comments (0)

都市とデザインと, 食べたり飲んだり : 日暮里・HABUTAE

2/7。打合せの帰り道で『HABUTAE』と言う店を発見した。日暮里バスターミナル前のゴチャゴチャした環境の中で、黒いパネルに覆われたフラットな外観が静かに異彩を放つ。1819年創業の老舗『羽二重団子』の駅前支店として2003年2月にオープンしたとのこと。

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店内は大理石張りの大きなサービスカウンターと通りに面した客席カウンター、フロア中央に置かれた変形五角の大テーブルで構成されている。天井面はサービスカウンター上から扇状にひろがるリブ造作に覆われ、床のタイル張りパターンもそのラインに呼応したもの。チェアの背には団子のマークがくり抜かれていて、なかなか可愛らしい。

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