life
life of "love the life"

都市とデザインと, 食べたり飲んだり : 吉祥寺・Dans Dix ans

4/8。花まつり茶会の前に『Dans Dix ans』(ダンディゾン)に立ち寄った。ずいぶん前から行かねばと思いつつ機会の無かった店。青山『d'une rarete』(デュヌ・ラルテ)に続く淺野正己氏プロデュースのパン屋として2003年オープン。
内外装のデザインは斉藤真司さん。斉藤さんは当時設計施工も手がけていたSHIZENのデザイナーで、現在はTYPE-ONEを主宰されている。『Dans Dix ans』は斉藤さんの代表作であると同時に、SHIZEN代表・島田武さんのテイストが色濃く反映された空間だと聞いていた。

大正通りを西へしばらく進み右手の裏路地に入ると、小さな広場に面したガラス張りの小さなビルがある。その片隅に置かれた小さな看板が『Dans Dix ans』の目印。ゆるやかな階段をB1Fへと降りて、大きな一枚板の自動ドアを開けると、パン屋と言うには実に異質な空間がひろがっていた。

店舗区画はガラスの間仕切りでキッチンとショップに大きく2分割され、双方に視線を遮るものはほとんど無い。ショップ中央に置かれたショーケースはガラス越しにキッチンの作業台へと繋がり、一体のボリュームとして存在する。ショップ側のドライエリアに面して天井吊りの商品棚(キッチンとの間をレールで移動することが出来る)があり、ガラスと垂壁を通した向こう側には緑鮮やかな笹の植込と手水鉢がのぞく。
ショーケースは小さなダウンライトと造作内のLEDで、商品棚は斜めの折り上げ天井からのスポットライトで照らされ、その他の照明はごく控えめ。暗い店内に商品と植込、そして揃いの白いユニフォームを着けたスタッフの姿だけが浮かび上がる。

070410_dansdixans.jpg

研ぎ澄まされ、清々しい緊張感に満ちた空間は、とても気軽に写真が撮れるような雰囲気ではなかった(上の写真は帰ってカットしてから撮ったもの。店内の写真は『JAPANESE DESIGN』などに掲載されている)。調理中の足下まで丸見えの、全く逃げ場のない店内が、オープン後数年を経てこれだけ美しく保たれている背景には、スタッフの弛まぬ努力と優れたプランニングがあるに違いない。これほどまでに強烈なオリジナリティを持った店を見たのは本当に久方ぶりだ。文句無しに店舗デザインの名作。

BE20(フレッシュバター20%+水)とS77(豆乳77%、油脂なし)、セーグル・オ・ルヴァン、ニームとキンカンのジャムを購入。どれも大変美味でした。S77のもちもちした食感は特に印象的。

Dans Dix ans/東京都武蔵野市吉祥寺本町2-28-2
0422-23-2595/11:00-19:00/水・第1、3火休

2007年04月16日 06:00 | trackbacks (0) | comments (2)
comments

あ! きんかんジャム、まだ食べてない………
ダンディゾン含め、ギャラリーfeveも主宰するオーナーの引田夫妻が本当に素晴らしい方々で。
ダンディゾン出すときも、デュヌラルテに直談判して説得したらしいです(知り合いでも何でもない)。
賛否両論ありますが、確実に新しい吉祥寺の文化を担う空間になっています。
優れた店には、優れたオーナーがいるという定説、まさにここでも♪

でも高くて、いつもは買えません(笑)。

posted by: わらび : 2007年04月16日 15:36

>わらびさん
きんかんジャム、美味いよ。お薦めです。『Dans Dix ans』のオーナーさんのことは初めて伺いました。つくづく奇跡的な人脈から成り立ったお店なんだなあ。納得。こんどギャラリーも覗かせていただきます。

posted by: 勝野+ヤギ : 2007年04月17日 01:54

post a comment




*ご記入のメールアドレスはブログ管理者にのみ通知され非公開となります。



back|mail
copyright