
love the lifeの最新作『MOTTAINAI津島』(MOTTAINAIショップ)の完成写真をアップしました。worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。

『MOTTAINAI津島』は伊藤忠商事や毎日新聞社などが展開するMOTTAINAIブランドの実験店舗で、愛知県・ヨシヅヤ津島本店1Fのイーストコートと呼ばれる三層吹抜の空間に仮設されています。会計処理は近接するお客様センターで行い、店内にレジや事務設備はありません。機能的に商品ディスプレイと少量のストックだけしか必要とされないため、形式的としては物販店舗よりパビリオンに近いプロジェクトであると言えます。
正直なところ、MOTTAINAIブランドについて当初私たちは流行りもの的いかがわしさを感じていました。現状を伺うと、商品のボリュームもそのデザインやコンセプトの統一性も、ブランドとしてはまだまだ貧弱であると言わざるを得ません。しかし、伊藤忠商事のプロジェクトリーダー・高津正男さんはものづくりへのこだわりと誠実さを持った魅力的な人物でした。私たちは「高津さんの店」をデザインすることは可能かもしれないと考えました。
具体的にMOTTAINAIのコンセプトを空間として表現する上で、リサイクル素材を用いることは必ずしも重要ではありません。リサイクルそれ自体が過大なエネルギーを要する場合があることは周知の事実です。循環型社会の構築への貢献を目指すMOTTAINAIブランドの理念において、3R(Recycle, Reuse, Reduce)は主たる方便ではあっても目的ではありません。
むしろ積極的に消費を促すことによって、新たな循環が生み出される素材が私たちの身近に存在します。そのひとつが国産の森林資源です。古来より木曽、伊勢にほど近い尾張の要衝であった津島湊ゆかりの素材として私たちは国産の桧を選び、かつ従来有効活用されることの少ない部材でほぼ全ての造作を構成することにしました。また、そのデザインには今後のブランディングを牽引するアイコンとしての力強さが必要でした。
店舗の外形にはフレームとフロアとディスプレイウォールによって、設置面積の22.5平米を3mの高さに立ち上げた直方体のボリュームがそのまま示されています。什器についてはディスプレイウォールと正面通路側のローステージ、そしてフロア中央に並んだ丸テーブル、とエリアごとに大別される至ってシンプルな構成としました。
主構造であるフレームの素材は桧の節有120mm角材で、上面はランダムな梁組となっています。フロアとディスプレイウォールは木曽桧の節有材によるフローリング張りとしました。什器類に用いたエスウッドは岐阜産桧の間伐材チップを原料とする木質ボードです。ディスプレイウォールに付属したローステージの上面はガラス張りで、その内部には千葉産桧の残材チップが敷き詰められています。
各造作のデザインには雨や水たまり、木々の枝や幹の暗喩を込めました。ディスプレイウォールまわりの間接照明と、フレーム上部からのアーム式ライトがそれらを象徴的に照らし、また影を落とします。これらは総体として森の自然環境を、ひいては循環型社会を寓意的に表しています。
始動からオープンまで2ヶ月半と極めて時間の限られた中でのプロジェクトではありましたが、幸い完成形は写真の通り満足のゆくものとなりました。ただし商品ディスプレイや店舗運営については今のところまだまだ上手く行っているとは言えません。この実験店舗が意味ある一歩であったかどうか、その答えは今後のMOTTAINAIブランドの展開が物語ることでしょう。
施工はCAリーディングの下山田さんと山本さんと藤倉さん。粘り腰と見事なラストスパートで良いものに仕上げて下さいました。プロデューサーは伊藤忠商事の高津さん。そのタフネスに心から敬服します。ライティングデザインはmuse-Dの鈴木さんと八木さん。皆様、ひとまずお疲れさまでした。
MOTTAINAI津島/愛知県津島市大字津島字北新開351ヨシヅヤ津島本店1F
10:00-21:00/不定休
実験店舗だけあってシンプルでエッジラインがきれいな空間ですね。そう言えば先日dcbに行きましたがこちらも素敵なお店でした。
ただ僕らはバー・ビギナーだったのでソワソワしてしまいました(笑)。
>古井ちゃん
通常の店舗のようにいろいろと条件の厳しい物件も仕事としては楽しいものですが、こうしたコンセプト一発勝負の仕事もやはり面白いです。dcbのようなストレートなバーは、若い人にもぜひ体験して欲しいんですよね。そして古井ちゃんにはカクテルの似合う中高年になっていただきたい!
津島に行ってみました。丸い照明と吹き抜けが気持ちいい空間になっていました。床が少し上がっていることで、コンセプトに対しても少しだけ上がらなきゃいけない軽いハードルになっているように感じました。
>えびはらさん
おー!まさかご覧いただけるとは!お忙しい中本当にありがとうございます。桧に包まれる心地良さを少しでも感じていただけたなら幸いです。「軽いハードル」とはまさにその通りですね。いつまで設置されているかは今のところ不明なのですが、津島の方々に特別な場所として記憶していただけるといいな、と思います。