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life of "love the life"

仕事してるんです : ふつうの家01・内外装下地 その3

7/2。神戸市『ふつうの家01』現場へ。内装の下地組が進み、建具の現場制作と取り付けが進行中。外装下地もそろそろ最終段階。

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写真は1F北西角のリビングルーム。左側にあった臨時搬入口がふさがり、天井の下地組がほぼ出来上がった。床にはウッドフローリングが貼り終わり、養生が施されている。

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1F南西角から北東方向を見たところ。中央に和室角の丸柱。その左がリビングルームで、右が駐車場。透湿防水シートの模様が「そばぼうろ」みたいだ。

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和室丸柱の上部と障子の溝。美しい大工仕事。

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外壁と基礎の間にある通気口。

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2Fの天井には内装用のOSBが張られた。

2009年07月31日 12:00 | trackbacks (0) | comments (0)

身体と空間の芸術, 都市とデザインと : 展覧会行脚のメモ 2009年6,7月

6/11。清澄白河・東京都現代美術館で『池田亮司 +/- [the infinite between 0 and 1]』。過剰なほど明瞭なコントラストを伴い、もしくは認知できるギリギリの微小な差異とともに、白と黒と数列とが厳密に対置された空間。ビデオプロジェクターによる巨大で高精細な映像、フォトプリント、正弦波のサウンドなどで構成されたインスタレーションの中で、私たちは自らが無限のデータのうちに解放されるような至福と、ノイジーで変数的な生々しい個としての実体とを交互に覚える。数学については知識もセンスも無いため、作品コンセプトを十分に理解することはかなわなかったが、この凄まじい体験は極めつけだ。東京都現代美術館の企画展示室がこれほど贅沢に、しかも有効に用いられているのを見たのは初めて。見逃さなくて本当に良かった。

6/14。六本木・Gallery le bainで『TONERICO:INC. Case Study 01 [STOOL]』。ホワイトアッシュの成形合板による至ってシンプルな16の形状のスツールがそれぞれ柾目・板目の木取りで計32タイプ。基本形から徐々に展開されたと言うデザインスタディをそのまま提示した微妙なバリエーションは、まるで八百屋のカゴに整列した果物や野菜を見るようでなんとも楽しく微笑ましかった。

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6/23。外苑前・PRISMIC GALLERYで『ISOLATION UNIT / 柳原照弘展「real fake」』。大阪を拠点に活動する柳原氏は今その動向が最も気になるデザイナーの一人。パスタの形状をそのまま金属に置き換えたジュエリー。見慣れたものから思いがけない美しさがひき出される不思議。展覧会としてはかなりボリュームが少なかったのが残念だが、それもまた狙いなのかもしれない。

6/26。勝どき・オオタファインアーツで『見附正康展』『イ・スーキョン展』。九谷焼赤絵の作家・見附氏による大皿4点。細密な絵付けは以前の展覧会よりもさらに自由度を増し、グラフィカルになっていた。いつか必ずや購入したい。
全くノーチェックだったイ・スーキョン氏のインスタレーションは思いがけず素晴らしいものだった。韓国のトラディショナルな陶器を破砕、シャッフルし、原形無視で金継ぎした、いびつなフォルムのオブジェたちが、天井から吊るされた軽量鉄骨のフレームに並ぶ蛍光灯に照らされ、ぬめるような光沢を放つ。その様子は実験室で培養された生物群、あるいは『AKIRA』ラストシーン近くの鉄男を彷彿させる。辰砂による赤い線で描かれた大きなドローイング2点も圧巻。

7/23。六本木・Gallery le bainで『内田繁展 2009 NY展へ向けて ぼやけたもの 霞んだもの 透けたもの ゆらいだもの』。手前のオープンスペースには合板を切り抜き組み合わせた樹木のオブジェと立礼の茶席。ギャラリーに入るといつもは白い壁面が真っ黒に塗られ、カラフルなメラミン化粧板をグリッド状に造作した「棚」がずらりと取り付けられていた。最奥の概ね完全な形状から次第にその部分が欠落し、やがて断片化して手前側の壁一面に飛び散るその様子は、メンフィス的である以上にソル・ルウィットのキューブやドナルド・ジャッドの後期作品との関連を感じさせる。フロアには2007年の展覧会にも登場した半オブジェ・半家具の「ムー」が数体。その上には水の入った撹拌装置付きの黒い箱がふたつ。それを通過した強い照明が足下で揺れる。徹底してドライでコンセプチュアルな空間表現に対して、「ムー」の存在はいかにも野蛮で無邪気だ。そのユーモアと違和感、そしてある種の不気味さが、いま内田氏の心中にある「わび」なのだろうか。

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2009年07月30日 12:00 | trackbacks (0) | comments (0)

研究活動のご連絡 : 元浅草勉強会 04 ご報告

7/25に『元浅草勉強会 04』が開かれました。ご参加いただいた皆様のおかげで今回もインテリアデザインだけでなく、教育にクラフトに浅草・上野周辺に、と、さまざまな方面に渡るお話を伺うことができ、大変勉強になりました。ありがとうございます。
勉強会後の隅田川花火大会も、今年はちょうど良い風が吹いて綺麗に見ることができましたね。来年も7月の勉強会はこんなかたちで催せればと思います。

『元浅草勉強会 04』でご提供したお茶と珈琲とお茶請けは下記の通りです。

・献上加賀棒茶(石川県加賀市・丸八製茶場・2009)水出し冷茶
・丹波100%黒豆茶(兵庫県豊岡市・鹿野・2009)冷茶
・アイスブレンド(浅草橋・ワイルド珈琲・2009)

・丹波黒豆ぐらっせ(兵庫県篠山市・丹波農産
・水無月(蔵前・栄久堂

次回『元浅草勉強会 05』は8/22(土)14:00からの予定です。詳細が決まりましたらこちらでお知らせします。皆様のお越しを楽しみにお待ちしています。

love the life / stady(元浅草勉強会)
元浅草勉強会 04 のお知らせ(July 14, 2009)

2009年07月29日 06:00 | trackbacks (0) | comments (0)

ちょっといい風景 : 上野広小路・可否茶館跡地

6/23。『ラパン』で珈琲とサンドイッチをいただいてから中央通りを『鈴本演芸場』へ。途中、三洋電機販売のビル(銀杏柄レリーフの鋳鉄パネルに覆われたファサードが目印)脇に意外なものを発見。

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日本初の本格的珈琲店『可否茶館』(かひさかん)跡地の碑。碑文の拡大写真はこちら。『可否茶館』の開業は1888年。経営難のため数年で閉店した後、1968年に創業者・鄭永慶の孫にあたる人物が阿佐谷に同名の喫茶店を再興したのだそうだ。この店は現在も阿佐ヶ谷駅北口ガード下のゴールド街2Fで営業している。そう言えば『阿佐谷銘茶楽山 新店』の現場に通っていた頃、一度だけ伺った。至って普通の喫茶店だったように記憶している。この碑が立てられたのは2008年4月13日(『可否茶館』開業からちょうど120年)とのこと。

それにしても、近所にこんな場所があったとは。珈琲好きとしてはけっこう嬉しかったりするが、この貧相なデザインはなんとかならなかったのかなあ。

「可否茶館」跡地記念碑設立除幕式(日本鄭氏子孫会)
「可否茶館」日本最初の本格的珈琲店(倉敷珈琲物語)

2009年07月23日 11:00 | trackbacks (0) | comments (0)

都市とデザインと : 外苑前・ドーリック

6/23。八雲で打合せの後、外苑前へ移動。プリズミックギャラリーで『「ISOLATION UNIT」展』を見てから外苑西通りを駅へと戻る途中、青空にそびえる『ドーリック』の前で思わず立ち止まった。1991年築のオフィス・商業ビル。設計は隈研吾建築都市設計事務所。

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出来立ての頃に発散されていた濃厚なハリボテっぽさはすっかり薄れた。ややくすんだ質感の中に繊細な面処理が浮かび上がり、落ち着いた佇まいさえ感じさせる。ドリス式(私たちが学生の頃には「ドーリア式」と教わった)の巨大な柱の中身はエレベーターシャフト。別アングルからの写真はこちら

年月が建物を完成へ導く、とは言うものの、この『ドーリック』にそれが当てはまるとは、よもや思わずにいた。都心にある隈作品の中で、個人的には一番好きかもしれない。ポストモダンの華。

2009年07月22日 02:00 | trackbacks (0) | comments (0)

研究活動のご連絡 : レクチャー@生活工房 2009/07/19

7/19。三軒茶屋・世田谷生活文化情報センター「生活工房」でレクチャー『商環境デザイン史概論・Ver.2.0』。連休中日の夜という微妙な日程にも関わらず足をお運び下さった皆様、大変お疲れさまでした。今回はかなり内容を絞り込んで、時間内できれいに終わらせるつもりだったのですが、終盤が駆け足になってしまい大変申し訳ありません。いちばん大事にお伝えしたかったところがお伝えできず、深く反省しています。

7/19にレクチャーやります(June 2, 2009)

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当日の軽食(パンケーキ)と、会場の手配にまでご協力いただいた古田陽子さん、コーヒーをご提供いただいた横田茂さんの「るるる」チームに心から感謝いたします。特に、クリアな苦味のインパクトにつづき、冷めるにつれて上品な酸味が現れるコーヒー(ケニア)は感動モノでした。

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Photo : Shinichi Sato

一日あまりが経って、「二人で同時に喋ると聞き取り辛い」、「ヤギの喋りがカタい」、などのご叱咤もいただいており、大変ありがたいです。私たちとしても運営面、内容面、その他いろいろと思うところがありまして、こうしたオープンなかたちでのトークイベントは、お呼びの掛からない限りこれにてひと区切り、となりそうです。その代わり、レクチャー各章の内容をより拡げつつ、雰囲気は思い切りアットホームな、少人数の「元浅草勉強会」を毎月一回ゆるゆると開催しています。今後も商環境やインテリアのデザインにご興味を深めたい方は、どうぞお気軽にご参加をいただけましたら幸いです。

2009年07月21日 00:00 | trackbacks (1) | comments (0)

研究活動のご連絡 : 7/19にレクチャーやります(再)

いよいよ目前に近づいて来ましたので再度掲載。連休中日、ご予定のない方はぜひどうぞ。今回は会場にかなりの余裕がありますので、直前でもお気軽にメール(もちろん携帯からでもOK)でお申し込みいただければ幸いです。

会場の生活工房「ワークショップA」へは三軒茶屋駅前・キャロットタワーのフロア奥にあるエレベーターをご利用いただくと分かりやすいです。4Fで降りたところの通路突き当たり右手が「ワークショップA」。万一迷いそうになったら生活工房「03-5432-1543」へお問い合わせ下さい。

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7/19(日)に一般公開のレクチャーをやらせていただきます。昨年9月に行われたレクチャー『商環境デザイン史概論』をややコンパクト化、かつ新ネタ投入でバージョンアップ、さらにぐーんと料金を下げての再演です。学生の方には特にご参加いただきやすいんじゃないかと思います。love the lifeの研究資料を大画面でご覧いただきつつ「インテリアデザイン愛」満載の辛口漫談をお楽しみ下さい。ワンデイカフェチーム「るるる」の皆さんによる美味しいコーヒーと軽食も付いてます。

フライヤー(PDF)


るるる、とインテリアレクチャー
商環境デザイン史概論 Ver.2.0
インテリアデザインは進化してるんですか?

話す人:ヤギタカシ+勝野明美 (love the life)
コーヒーと軽食 by るるる

2009.7.19(日)19:00-21:30 途中休憩あり
参加費:一般・1500円/学生・800円 コーヒー+軽食付
会場:世田谷生活文化情報センター「生活工房」4FワークショップA
世田谷区太子堂4-1-1 キャロットタワー内
東急田園都市線・世田谷線「三軒茶屋」三茶パティオ口からすぐ
定員:80名様 お申し込み先着順・定員になり次第締め切り

お申し込み・お問い合わせは love the life までメールでどうぞ
info@lovethelife.org
お名前、人数、お電話番号、一般・学生のどちらかをご明記の上、
件名を「7/19インテリアレクチャー参加希望」としてお申し込み下さい。

20世紀初頭、森谷延雄のヨーロッパからの帰国を機に本格的な展開を開始した日本のインテリアデザインは、1950年代以降の経済成長と建設ラッシュを背景に、「環境芸術」の一分野として世界にも類を見ない高度な発展を遂げてきました。とりわけレストランやカフェ、ブティックなどの商環境は、剣持勇、境沢孝、倉俣史朗らに代表される多くのデザイナーによる先鋭的な表現の場としての役割を果たしています。
黎明期から100年ほどを経て、インテリアデザインは一見隆盛ですが、そのことが私たちの暮らしに豊かさや驚きを提供してくれているかと言うと意外にそうでもありません。今やインテリアデザインは独自の進化を止め、流行の家具やインテリアアイテムの単なる羅列になってしまったようです。
このレクチャーでは、デザイン史上に「伝説」として記憶される商環境の数々をたっぷりと紹介しながら、その変遷を再評価することを通して、生活とインテリアデザインとの関係を捉え直す新しい視点を提供したいと考えています。デザインに詳しい方も、ぜんぜん詳しくない方も、「こんな店があったのか!」と、目からウロコをポロポロ落としつつ、どうぞごゆっくりとお過ごし下さい。
はたしてインテリアデザインは、もう一度進化を始めることが可能でしょうか。


皆様お誘い合わせの上どうぞお気軽にお越し下さい。

レクチャー@OVE 2008/09/05(November 1, 2008)

2009年07月18日 04:00 | trackbacks (0) | comments (0)

研究活動のご連絡 : 元浅草勉強会 04 のお知らせ

7/25(土)の14:00から『元浅草勉強会 04』を開きます。

ショートレクチャーのお題は『素材をして語らしめよ - 1970年代から・その2』。前回ご紹介したミニマリズムとの関連の深いインテリアデザインの系譜につづいて、今回は「素材」と「もの」を主題とするインテリアデザインについてお話しします。それはミニマリストたちの活動に平行して発生し、現在へ至る日本のインテリアデザインのもうひとつの本流をかたち作っています。
1970年頃、杉本貴志氏と高取邦和氏は金工の分野からプロダクトデザインへと移行し、インテリアデザインへとその活動を拡げてゆきます。厳格なグリッドをベースに構成された初期のインテリアデザインは、逆説的にそこにある「素材」と「もの」の存在を瑞々しく浮かび上がらせました。1980年代には滝内高志氏が本格的な活動を開始し、ダイナミックな空間構成の内に金属素材を詩的かつやわらかな感覚で用いることで、「素材」と「もの」の表情を一層豊かなものへと発展させてゆきました。人間が本来持つアニミズム的志向を極めてクールな手法で復活させた彼らのデザインは、ミニマリストたちの「用の美」に並立し、それを補完するものであると言えるでしょう。

参考:
高取邦和さんに会った(March 13, 2004)
滝内高志さんに会った(May 5, 2004)

ティータイムにお出しするオルタナ系日本茶はまだ未定です。また、当日夜には隅田川花火大会があります。アトリエ前の共用通路から第二会場がよく見えますので、お時間のある方はご一緒に観覧いたしましょう。

至って敷居の低い、ちいさな勉強会です。どなたもどうぞお気軽にお申込み・ご来訪下さい。


元浅草勉強会 04
ショートレクチャー担当:love the life(ヤギタカシ・勝野明美)
テーマ「素材をして語らしめよ - 1970年代から・その2」

・日程  :2009年7月25日(土)14:00より
・場所  :love the life アトリエ(住所などはこちら
・お茶代 :一般 1000円,学生 500円
・各回定員:だいたい5名様くらい(申込先着)。
・申込方法:メールでどうぞお気軽に。
      ご参加日、お名前、ご連絡先、ご参加人数、
      一般・学生の区別をお知らせ下さい。

元浅草勉強会の概要はこちら

2009年07月14日 20:00 | trackbacks (0) | comments (0)

落語初心者のメモ : 落語初心者のメモ 2009年6月

6/12。新宿・紀伊國屋サザンシアターで『新にっかん飛切落語会 第8夜』。瀧川鯉八さんで『牛ほめ』、柳亭市馬師匠で『転宅』、桂ざこば師匠で『子別れ』、仲入り、柳家喬太郎師匠で『頓馬の使者』、瀧川鯉昇師匠で『佃祭』。
やっと出会えたざこば師匠の『子別れ』は期待通りの素晴らしさ。これまでに拝見した流麗な高座とは違い、どもったり詰まったりしながら、いかにも情けなく、可愛らしく、時に毅然とした表情を見せる登場人物たちには作意も造形も無い。おそらく皆、師匠の人格そのものなのだ。感涙。『頓馬の使者』は山田洋次監督が五代目柳家小さんのために書いた演目。至ってシンプルな粗忽噺を軽妙に、かつギャグたっぷりで演じる喬太郎師匠。さらに鯉昇師匠は小さな突発性ギャグを散りばめての見事な『佃祭』。なんとも上質な後味の会だった。

6/13。吉祥寺・前進座劇場で『寄席「噺をたのしむ」その三十七 さん喬 喬太郎 親子会』。柳家さん若さんで『野ざらし』、柳家さん喬師匠で『お菊の皿』、柳家喬太郎師匠で『死神』、仲入り、喬太郎師匠で『路地裏の伝説』、さん喬師匠で『たちきり』。
幕が上がるといきなりさん喬・喬太郎師匠のトーク。ちょっと怪談っぽい根多を、とその場で決まる。嬉しかったのはさん喬師匠の『お菊の皿』。師匠が滑稽噺の高座で見せる太陽のような明るさが私たちは大好きだ。喬太郎師匠自作の新作『路地裏の伝説』は身近な生活描写の積み重ねから紡ぎ出されるちいさなファンタジー。笑えて、ジンと来る。いいなあ。

6/14。三鷹・星のホールで『林家たい平独演会』。桂三木男さんで『看板のピン』。たい平師匠で『たがや』と『長短』、仲入り、たい平師匠で『薮入り』。
めくりが「こたい平」と間違って出てしまい、やや調子が狂ったたい平師匠。客としてはそれもまた一興。だれも死なない改作の『たがや』に相変わらず絶品の『長短』。『薮入り』はちょうどその朝の「日本の話芸」で三遊亭楽太郎師匠が演じていた根多。きっと偶然ではないだろう。平和的なふりをして、実は戦う人なのだ。この日は楽太郎師匠の圧勝。次にたい平師匠の『薮入り』を見る時は、きっとぐんと進化しているに違いない。

6/23。上野広小路・鈴本演芸場で『寄席DAYパート38 鈴本特選会 さん喬・権太楼二夜』の第二夜。三遊亭多ぼうさんで『寿限無』、柳家甚語楼師匠で『権助芝居』、柳家権太楼師匠で『蛙茶番』、柳家さん喬師匠で『寝床』、おたのしみビンゴ大会、仲入り、さん喬師匠で寄席の踊り『奴さん』と『深川』と『なすかぼ』、権太楼師匠で『居残り佐平次』。
どの高座も素晴らしかったが、『居残り佐平次』ですべて吹っ飛んだ。構造的に平坦な上に無理だらけのストーリーを、佐平次のキャラクターの魅力のみで爆笑のうちに押し通す。不条理が臨界に達したようなサゲが実に爽快なことこの上ない。久しぶりに奇跡を体験した。感動。

6/30。人形町・日本橋社会教育会館で『市馬落語集』。柳亭市也さんで『たらちね』、柳亭市馬師匠で『野ざらし』、仲入り、市馬師匠で『唐茄子屋政談』。
市也さんの声が良くなった。市馬師匠の『野ざらし』は美声のサイサイ節を経て幇間のくだりまでたっぷりと。楽しい。『唐茄子屋政談』は若旦那が吉原を懐かしむ田舗のシーンが心に残る。

2009年07月13日 06:00 | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 鶯谷・鶯谷園

6/21。夕食を作りかけたところでウヱハラ先生から電話。1時間後にメガーヌ号で焼肉に出動。以前から行ってみたいと思っていた『鶯谷園』へ。

場所は鶯谷の駅にほど近い言問通り沿い。タイル張りのビルに白地の大きな行灯看板、ガラス張りの店構え。自動ドアをくぐるとメインのフロアに高い間仕切りは無く、50人前後はおさまりそうなテーブル席が正面に一望できる。右手にレジ。その向こうにちいさめの座敷。2Fへの階段をはさんで右手奥にキッチン。明るい照明のもと、満席の客が無煙ロースターを囲む様子は「鶯谷の焼肉店」と聞いてイメージされるものとは異なり拍子抜けするくらいに健全だ。

10分ほど待ってフロア中央のテーブル席へ。ウヱハラ先生の男前なオーダーにほれぼれしつつ乾杯。やがて取り皿がひとつと4種類のタレが登場した。写真の取り皿下にふたつ並ぶのが通常のしょうゆだれと梅塩だれ。その下のふたつがサーロインとヒレ用のわさびしょうゆだれとおろしだれ。すでにしてテーブル上は半ば埋まった状態。

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写真左が特上牛刺し。右が特上ロース。とろける脂に濃厚な滋味。ここから先、正肉についてはもう同じことしか書きようがない。美味過ぎる。

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写真左が特上カルビ。右の特上タン(塩)の歯触りの良さに驚愕。

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そしてこれが特上ヒレ。丸きりステーキ肉のようなビジュアルに、これは網で焼くべきものなのか?と思ったが、全くの杞憂だった。一口頬張ると宴はこの日最高潮の盛り上がりへと突入。

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写真左が特上ヒレの断面。右が特選前沢牛サーロイン。以下同文。

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肉の素晴らしさにやや印象が弱くはなったが、ミノとホルモンもこれまた実に上品。あまりにも次元が高過ぎて、十二分に美味いものでさえ有り難みが薄らいでしまいそうだ。ホテル街の恐るべき名店。今度は特上ロースを片面焼きでぜひいただいてみたい。品切れだった特上ランプにも再挑戦せねば。

鶯谷園/東京都台東区根岸1-5-15/03-3874-8717
17:00-2:00/無休

2009年07月03日 03:00 | trackbacks (0) | comments (2)

名言コレクション : 原兆英の言葉

壁にきれいな壁紙を貼りつけたり、天井に彫刻を取りつけたりして飾ることを装飾といい、真黒や無地で仕上げ、シンプルで時代の先端をいく素材で飾りつけられたものをインテリアデザインという傾向があるようだが、いずれにせよ、与えられた天井、壁面にいかなる仕上げをほどこしても、素材の表面を仕上げるものはすべて、ある種の装飾ではないだろうか。
空間の機能が精神的なものに訴えかけること、つまりデザイナーの心理的なものが、現実、さまざまな作業を通して、無意識のうちにも人びとに何かを訴えかけたときにこそ、はじめて新鮮な室内空間が創り出されたといえ、そこで人間と空間との積極的なふれあいがときとして生まれ新しいものとの出会いが生ずるのであろう。(原兆英)

「商店建築」No.242,1975年8月号
コーヒー&ウイスキー『タスク』記事より
発行:商店建築社

2009年07月01日 22:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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