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life of "love the life"

落語初心者のメモ : 落語初心者のメモ 2009年6月

6/12。新宿・紀伊國屋サザンシアターで『新にっかん飛切落語会 第8夜』。瀧川鯉八さんで『牛ほめ』、柳亭市馬師匠で『転宅』、桂ざこば師匠で『子別れ』、仲入り、柳家喬太郎師匠で『頓馬の使者』、瀧川鯉昇師匠で『佃祭』。
やっと出会えたざこば師匠の『子別れ』は期待通りの素晴らしさ。これまでに拝見した流麗な高座とは違い、どもったり詰まったりしながら、いかにも情けなく、可愛らしく、時に毅然とした表情を見せる登場人物たちには作意も造形も無い。おそらく皆、師匠の人格そのものなのだ。感涙。『頓馬の使者』は山田洋次監督が五代目柳家小さんのために書いた演目。至ってシンプルな粗忽噺を軽妙に、かつギャグたっぷりで演じる喬太郎師匠。さらに鯉昇師匠は小さな突発性ギャグを散りばめての見事な『佃祭』。なんとも上質な後味の会だった。

6/13。吉祥寺・前進座劇場で『寄席「噺をたのしむ」その三十七 さん喬 喬太郎 親子会』。柳家さん若さんで『野ざらし』、柳家さん喬師匠で『お菊の皿』、柳家喬太郎師匠で『死神』、仲入り、喬太郎師匠で『路地裏の伝説』、さん喬師匠で『たちきり』。
幕が上がるといきなりさん喬・喬太郎師匠のトーク。ちょっと怪談っぽい根多を、とその場で決まる。嬉しかったのはさん喬師匠の『お菊の皿』。師匠が滑稽噺の高座で見せる太陽のような明るさが私たちは大好きだ。喬太郎師匠自作の新作『路地裏の伝説』は身近な生活描写の積み重ねから紡ぎ出されるちいさなファンタジー。笑えて、ジンと来る。いいなあ。

6/14。三鷹・星のホールで『林家たい平独演会』。桂三木男さんで『看板のピン』。たい平師匠で『たがや』と『長短』、仲入り、たい平師匠で『薮入り』。
めくりが「こたい平」と間違って出てしまい、やや調子が狂ったたい平師匠。客としてはそれもまた一興。だれも死なない改作の『たがや』に相変わらず絶品の『長短』。『薮入り』はちょうどその朝の「日本の話芸」で三遊亭楽太郎師匠が演じていた根多。きっと偶然ではないだろう。平和的なふりをして、実は戦う人なのだ。この日は楽太郎師匠の圧勝。次にたい平師匠の『薮入り』を見る時は、きっとぐんと進化しているに違いない。

6/23。上野広小路・鈴本演芸場で『寄席DAYパート38 鈴本特選会 さん喬・権太楼二夜』の第二夜。三遊亭多ぼうさんで『寿限無』、柳家甚語楼師匠で『権助芝居』、柳家権太楼師匠で『蛙茶番』、柳家さん喬師匠で『寝床』、おたのしみビンゴ大会、仲入り、さん喬師匠で寄席の踊り『奴さん』と『深川』と『なすかぼ』、権太楼師匠で『居残り佐平次』。
どの高座も素晴らしかったが、『居残り佐平次』ですべて吹っ飛んだ。構造的に平坦な上に無理だらけのストーリーを、佐平次のキャラクターの魅力のみで爆笑のうちに押し通す。不条理が臨界に達したようなサゲが実に爽快なことこの上ない。久しぶりに奇跡を体験した。感動。

6/30。人形町・日本橋社会教育会館で『市馬落語集』。柳亭市也さんで『たらちね』、柳亭市馬師匠で『野ざらし』、仲入り、市馬師匠で『唐茄子屋政談』。
市也さんの声が良くなった。市馬師匠の『野ざらし』は美声のサイサイ節を経て幇間のくだりまでたっぷりと。楽しい。『唐茄子屋政談』は若旦那が吉原を懐かしむ田舗のシーンが心に残る。

2009年07月13日 06:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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