life
life of "love the life"

都市とデザインと : 大阪・地下鉄御堂筋線心斎橋駅

6/25。前日の神戸出張のついでにこの日は大阪市内を半日視察。主に地下鉄網でぐるぐると移動。地下鉄御堂筋線の主要駅は空間の使い方が贅沢で実にいい。写真は心斎橋駅のホーム。ゆるやかなヴォールトに40W蛍光灯の巨大なペンダントライトがずらり。

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ここ数ヶ月の間にICカードの相互利用にすっかり慣れてしまったため、いちいち切符を買わなければならないのが煩わしいことこの上ない。ちなみにICOCA - Suica(JR西日本 - JR東日本)はすでに相互利用可能。PiTaPa - Suica(西日本の他社鉄道 - JR東日本)もそのうち相互利用が開始される予定とのこと。関西と関東とで見るとPASMOだけが蚊帳の外(相互利用できるのは当面Suicaだけ)なんだそうだ。地域をまたがって移動する機会のある人にとってはちょっと気になる話。

大阪市交通局
Suica, ICOCA, PiTaPa の相互利用を進めます(スルッとKANSAI協議会)

2007年06月29日 05:00 | trackbacks (0) | comments (2)

都市とデザインと : NICOLAS G. HAYEK CENTER

6/21。gggで『廣村正彰 2D⇔3D』を見た後、中央通りへ出ると斜め向かいに見慣れない高層ビルがあった。スウォッチグループの本社機能を備える『NICOLAS G. HAYEK CENTER』(ニコラス・G・ハイエック センター)。5/24にオープンしたばかり。建築デザインは坂茂建築設計

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14階建のビルの全景を対面から写真に収めることはなかなか難しい。最上階の不整形な屋根の下にあるのがイベントホール。その下数フロアにわたってオフィス、さらにカスタマーサービスが3フロア、4FからB1Fまでがスウォッチグループ傘下ブランド(スウォッチオメガブレゲレオン・アトブランパングラスヒュッテジャケ・ドロー)のブティックとなっている。

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写真上方にあるガラスの楕円柱はブレゲのショーウィンドウ。それ自体が油圧昇降式のエレベーターとなっており、乗り込むと3Fのブレゲ・ブティック銀座へ直接アプローチできる。地上階には同様に各ブティックのショーウィンドウ兼直通エレベーターがブランドの数だけ配置されている。プラン的にかなり厄介なことになりそうだが、利用する分には至って分かりやすく、なかなか面白い仕掛け。

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写真は裏通りから中央通りの方を見たところ。地上階から4Fまでは壁面緑化の施されたアトリウムで、裏通りへの通り抜けができる。ビルのファサードは前面背面ともに巨大なガラスのシャッターで4分割されており、開放すると各フロアの大半が風の通り道となる。実際に活用されることがあるのかどうかは不明だが、実に大胆極まりない設計だ。言わば、ビルごとオープンテラス。

現状ではさすがに装備が重過ぎる印象は否めないが、こうしたことを実現できる仕組みが将来的にもっと洗練されて風通しの良いビルが増えれば、都市の景観はずいぶんと軽やかなものになるだろう。そんな想像の膨らむ楽しい建物だった。

2007年06月28日 10:00 | trackbacks (0) | comments (0)

都市とデザインと : 廣村正彰 2D⇔3D

6/21。ggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)で『廣村正彰 2D⇔3D』を見た。廣村正彰氏は1954年生まれ、田中一光デザイン室出身のクリエイティブディレクター。建築・インテリアデザインの世界では、埼玉県立大学 サイン計画(1999)、CODAN Shinonome サイン計画(2003)、丸善・丸の内本店 サイン計画(2004)、横須賀美術館 VI計画およびサイン計画(2007)などのプロジェクトで知られる。

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1Fでは大型のグラフィックパネルと液晶モニターを用いて、3つのデザインリサーチの紹介が行われている。中でも興味深かったのはエスカレーターそのものにグラフィック処理を施すサイン計画。実現はかなわなかったものの、グラフィック操作によって環境そのものを制御し、機能させようとする廣村氏の野心的な志向を最も端的に象徴するプロジェクトだ。

B1Fでは氏が実際に手がけたいくつかのサイン・VI計画と、さまざまなロゴマークデザインを見ることができる。壁面全体をグラフィック処理し、要所のみをパネル化して浮かせた展示手法は実に明快だ。動線の中ほどに天井吊りされたスクリーンには、表裏から各プロジェクトの実際の状況を記録したビデオ映像が投影されている。ほとんど1、2mmのチリしかない完璧なフレーミングには思わず舌を巻いた。こうした見事な収まりと施工精度の高さには、多くの現場で2Dと3Dでの作法の違いに厳しく折り合いを付けて来た氏の取り組みがそのまま表れているように思う。
展示の内容もそれぞれに興味深いものだった。フロアごとに割り当てられた色面が時に力強い縞模様を構成する『CODAN Shinonome サイン計画』は、グラフィックによる環境デザインとして最もアヴァンギャルドな試みのひとつだろう。ガラスを多用した建築に呼応し、宙空に浮かぶグラフィックが風景に溶け込む『横須賀美術館 VI計画およびサイン計画』は息を呑む美しさ。どちらも近いうちにぜひ実際の空間を拝見してみたい。

グラフィックの持つ力が本来2Dのみにとどまるものではないことを体感することのできる貴重な展覧会だった。ものや空間をねじ伏せられるだけの腕力を、廣村氏以降の世代のグラフィック・ウェブデザイナーは果たして獲得することができるだろうか。また、グラフィックの力を最大限に引き出すことのできるだけの設計力を、私たちインテリアデザイナーや建築家は今もなお持ち得ているだろうか。

廣村正彰 2D⇔3D

2007年06月24日 05:00 | trackbacks (0) | comments (0)

暮らしの道具たち : 東京ミッドタウンで買ったもの

これまた少し前のこと。東京ミッドタウンの視察時に、つい色々と散財。

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上は『虎屋』で催されていた『「夜の梅」のための器』というイベントで見つけた浜野マユミ作の染付皿(直径150mmほど)。線描き、濃み(だみ)の虎の表情が一枚ごとに微妙に違うのが楽しい。ホントは5枚くらい欲しかったが、2枚で我慢。浜野氏は有田・李荘窯の出身。現在は埼玉で作陶中とのこと。

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上は同じイベントで見つけた桐本泰一作の輪島塗皿(直径150mmほど)。小振りながら量感のある簡素なフォルム。鏡面に仕上げられた漆の深いグラデーションに思わず吸い寄せられそうな感覚を覚える。ひっくり返すとこんな具合で、どちらを使っても良さそうだ。これも5枚ぐらい欲しかったが、1枚で我慢(涙)。

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上は『WISE・WISE tools』で買った壹岐幸二作の染付皿(直径190mmほど)。壹岐(いき)氏は沖縄の陶芸家(出身は京都とのこと)。2002年に那覇市を訪れた際、購入した飯碗が氏の作品だった。思わぬ再会。土の質感を残す薄手の器と、勢いある藍の筆致。その対比から生まれる独特な緊張感。ご本人は様々な作風を持つが、私たちはこのシリーズに惹かれる。

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上は『NAGAE』で買った大皿(直径270mmほど)と箸置。『NAGAE』は瀬戸焼のメーカーで、プロダクトデザイン的なアプローチによってユニークなテーブルウェアを製造している。繊細で控えめな造形のなかに、思わぬ驚きのある器が多い。やたらとロゴマークを製品に入れたがるのが玉に瑕。
一見フラットなこの大皿は、実のところ中央部が球面上に薄くえぐり取られたような造形を持つ。美しいだけでなく、汁物を盛ることもできる使い勝手の良い器だ。和洋を問わないデザインの箸置もまた便利。

2007年06月19日 07:00 | trackbacks (0) | comments (0)

暮らしの道具たち : かまわぬ・初夏の新作など

少し前になるが、新丸ビルにオープンした『かまわぬ』でいくつか面白い手拭を購入した。

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上は近年浴衣などに多く使用されポピュラーになってきた綿絽の生地を用いた手拭(左が『波』、右が『月夜』)。写真では分かり辛いが、向こう側が少し透けて見える。さらりとしたテクスチャーが独特の夏らしい手拭。白黒の明快なコントラストもまた眼に涼しい。

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上は初めて見かけたユニークなデザインの手拭(左が『縞づくし』、右が『格子づくし』)。伝統柄がパッチワークのようにアレンジされている。色を渋めに押さえてあるため、ポップになり過ぎない粋な仕上がりに。

シンプルな連続柄を得意とし、コンサバティブなデザインの手拭が多い『かまわぬ』だが、時折こうした現代的な感覚を上手く取り込んだ製品が登場するから眼が離せない。継続は力だ。尊敬。ウチも頑張らなくちゃなあ。。。

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上の写真左はついでに買ったコーヒー豆柄の手拭。右はオープン祝いにいただいた半天手拭。図に従って折り畳むとこのように見事な半天型となる。

かまわぬ・町割手拭(July 12, 2005)

2007年06月18日 06:00 | trackbacks (0) | comments (0)

珈琲の美味しい店 : 浅草・なにわや

6/11。打ち合わせからの帰りに浅草で『なにわや』を初めて訪れた。オレンジ通りとすしや通りのあいだ、食通街と呼ばれる路地の中ほどにあるちいさな自家焙煎珈琲店。2006年にオープン。

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店舗は小料理屋の居抜きで、外装にも内装にもそこかしこにそれらしい痕跡が残っている。格子の引戸を入ると右手にある10席足らずのカウンターは、内側の作業台に比べて少々低過ぎるようで、手元が見え過ぎるくらいによく見える。豆の瓶が並ぶバック棚といい、いかにも急ごしらえの普請だ。フロアは黒石の洗い出し。左手の窓際に座卓2つの小上がりが残されているのは珈琲店には珍しく、面白い。暗色の木造作のあいだにあって、妙に可愛らしい白いビニールレザー張りのカウンターチェアに落ち着き、なにわやブレンドと深煎りブレンド、自家製コーヒーゼリーを注文。

店内のゆるい造りに比べ、短髪に眼鏡とピアス、関西弁の店主氏は対照的に鋭い雰囲気を漂わせている。その動作には一切の無駄がない。湯温を温度計でチェックし、仕上がりをスプーンで確認しながら、ひとつひとつの行程を実に丁寧に重ねる。ブレンドはその場で数種の豆を計り合わせてミルにかけている様子。丸見えのカウンター内はまるで実験室のようだ。
カップにたっぷりとでき上がった珈琲を一口いただくと、その風味は見事なまでに澄み切っていた。実のところあまりにクリア過ぎて、最初は「おや?」と首を傾げたが、冷めるに従って豊かな味わいが沸き上がるようにして現れる。個人的には弱く酸味を残したなにわやブレンドの方が、よりこの店の嗜好を表すように思う。それにしてもこの雑味の無さはどうだ。「理科系の珈琲」と言うフレーズがふと頭に浮かぶ。

時間とともに楽しみの増す珈琲に対し、コーヒーゼリーのインパクトは最初の一口からして強烈。この分だとアイスコーヒーにも大いに期待が持てる。ミックスジュースも近いうちにぜひいただいてみたい。トーストにはペリカンのパンを使っているとのこと。主なメニューはワンコイン(500円)、と言う値段設定の仕方も実に浅草らしく都会的で好ましい。しかし果たしてこれで儲かるのだろうか?他人事ながら心配だ。

なにわや/東京都台東区浅草1-7-5/03-5828-8988
10:00-23:00/火休

2007年06月17日 07:00 | trackbacks (0) | comments (0)

落語初心者のメモ, 身体と空間の芸術 : 落語と歌舞伎と二人喜劇

先月から6/11までの間に見たイベントについての簡単な覚え書き。

5/7。東京国際フォーラムで 「特選落語名人会」。出演は春風亭小朝林家たい平立川談春の三師。
開口一番・三遊亭歌ぶとさんの『道具屋』に続いて、いきなり小朝師匠の登場(普通どう考えても出番はトリだ)。この会はちょっと特別かもしれない、と予感。で、これまたいきなりの『浜野矩随(はまののりゆき)』。実在した江戸の名工を主人公とする講談がベースの大ネタだが、ここは軽妙に聞かせる。流石。そう言えば小朝師匠の古典を聞いたのはこれが初めてだ。
仲入を挟んでたい平師匠。『明烏』とまたもや大きな演目。吉原を舞台に商家の坊ちゃんが活躍、と来ればそれはもう師匠の持つ品と色気が最高に際立つ。野球ネタやドラえもんネタを挟みつつ、爆笑の中に爽やかさな後味を残す。
と、すでにお腹いっぱいのところでトリは一番若い談春師匠。「ジャンケンで負けた」、「イジメだ」、とボヤきながらも衣装は羽織袴と気合い十分。演目は『妾馬』の上(八五郎出世)。母親のキャラクターに若干の弱さを感じたものの、八五郎のガラの悪さとダメっぷりがなんとも魅力的。ハマり役だ。一見浮世離れして見える城の住人たちが八五郎のセリフに思わず涙を流すところでは、私たちも号泣。幕が降りる瞬間、談春師匠が客席に向かって拍手をする姿が見えた。ああ、今日は凄い会を見たんだな、と確信。

5/13。よみうりホールで「桂文珍独演会」。文珍師匠の会は一年ぶりくらい。演目は『マニュアル時代』と題した小噺、『天神山』と『七段目』。
とりわけ印象的だったのはこの日初めて聞いた『天神山』。内容は至ってシンプルでナンセンスだが、師匠の上品な語り口と、切ない狐の歌でのサゲが深い余韻となって心に響く。芝居台詞とお囃子を絶妙に織り交ぜながらの『七段目』は何度聞いても最高に楽しい。

5/23。歌舞伎座で「團菊祭五月大歌舞伎」昼の部。演目は『泥棒と若殿』、『勧進帳』、『与話情浮名横櫛(よはなさけうきなのよこぐし)』の二場(木更津海岸見染の場、源氏店の場)と『女伊達』。歌舞伎を見るのはこの歳にして初めてのこと。落語の簡素さや生々しさとは対極的な、仕掛けと約束事の巨大な塊。その細部に役者の個性が時折こぼれるようにして露になる様子が興味深かった。
名優揃いの豪華なプログラムの中でも、市川海老蔵氏のセクシーさと存在感は群を抜いていた。こりゃ多少の悪さはしょうがないな、と納得。

6/1。世田谷パブリックシアターで「びーめん生活スペシャル」。小松政夫イッセー尾形両氏の二人喜劇。
はっきり言って、小松の親分さんを生で見ることができるだけで涙が出るほど有り難いのだが、その内容は期待をはるかに上回る鮮烈さ。親分さんが尾形氏の作法に従って舞台の袖で観客の眼にさらされながらの衣装替えをすることにも驚いた。終止神経質そうな表情で下目使いのまま鬱々と狂気を発散する親分さんに対して、容赦なくツッコミを入れつつ(イッセー尾形のツッコミ!!)時たま意表をつく展開を持ち出して舞台を翻弄する尾形氏。ねじれた構図が強烈な可笑し味に満ちた空間を出現させる。そのシュールさは『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』(1976-79)でさえ到達しなかった地点にあるのではないかと思われた。こ、これはぜひともまた見なくては。親分さん、どうぞお達者で。

6/11。イイノホールで「立川談春独演会」。ここは素晴らしく舞台の見やすいワンスロープのホール。しかも座席は中段の真ん中と絶好の位置。おかげで談春師匠の細かな表情をしっかりと見て取ることができた。
藤原・陣内カップルを『紺屋高尾』に例えたりしつつ、結婚にまつわる心理を毒舌に次ぐ毒舌で茶化して大いに笑わせた枕に続き始まったのは『厩火事』。上記の会では「もしかして女性を演じるのは苦手なのかな?」と思ったのだが、この日のおさきさんの江戸っ子の年増女ぶりは素晴らしかった。得意のマシンガントークが可笑し過ぎて涙。怠け癖があって口の悪い八五郎が思わぬ優しさを見せるところで盛り上がりは最高潮。いい話しになりかけて感涙したところでストンと落とす。この展開だと結局のところ八五郎の本心がどうなのかは謎のまま。粋だ。
仲入に続いて『らくだ』を火屋までたっぷりと。後半は駆け足となったが、丁目の半次の描写は実に凄まじく、それでいて魅力的だった。

2007年06月13日 10:00 | trackbacks (1) | comments (0)

ちょっといい風景 : 平成十九年の鳥越まつり

6/9。帰宅途中に鳥越のお祭りを見物。新御徒町の駅を出ると、町神輿がそこかしこでこの日最後の盛り上がりを見せていた。

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観光化された他の祭礼と違い、鳥越にはいかにも地域の神事らしいコンパクトさがある。お囃子は歩いて神輿を先導し、周辺に警察車両の姿はほとんど見かけ無い。手拍子やかけ声の調子は実に整然として耳に心地良い。私たちのような余所者は完全にお呼びでない感じだが、まつりと言うものは適度に閉じられていた方が美しいのだと思う。

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下の写真は本日10日の出番を待つ千貫神輿(東京一重いと言われている)。

OZONEの布&トートバッグマーケットも最終日。雨、降らないといいな。

2007年06月10日 11:00 | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 丸の内・こなから新丸ビル店

5/30。新丸ビルでバンディット・安田さんと会食。『こなから新丸ビル店』でおでん。

『こなから』の本店は神田明神のほど近く。開業後十数年とのことだが、木造2階建に20席くらいのカウンター席を備えたちいさな店の名は、食通のあいだではほとんど聖地のように語られている。予約を取付けるのはなかなか難しいらしく、私たちは数年前に一度タロヲさん夫妻に連れて行ってもらったきり。その味は忘れ難いものだった。この4月にオープンした新丸ビルに、その『こなから』が支店を出すと聞いた時、にわかには信じられなかったが、現にこうして早くも二度目を訪れることができたのはなんとも嬉しい限り。

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店の構えはやはりこぢんまりとしており、狭い靴脱ぎから板間に上がると、すぐそこに瓢箪型の銅鍋からいい具合に湯気が立ち上る様子が見える。客席は鍋を囲んでコの字型を描く大きなカウンターと、その脇にあるテーブルに分かれ、どちらも掘火燵形式。
こうした細部のつくりは本店同様だが、そこはテナントビル内の飲食フロアの一角。しかも席数は40ほどと倍増している。店内の賑わいは本店の親密な雰囲気とは打って変わってほとんど大衆酒場的で、それはそれなりに心地良い。営業的には今のところ予約を受けず、2時間制で客を入れ替える方式がとられている。

上の写真はだいこん、こんにゃく、いわしつみれとオリジナルメニューの新丸さん。どんこ、昆布、鰹節、鯖節からとられるという合わせ出汁はこの上なく澄み切っている。その味は見た目同様クリアであるばかりでなく、深く、そして濃い。丁寧に仕事の施された具材の力強さも含め、本店に一切遜色の無い絶品のおでんだ。

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一品料理も素晴らしい。上の写真はかきおでん。長芋の塩焼も見事。

豊富なメニューをじっくりと楽しむ客が居る一方、数品と一杯ですっと引いてゆく客も多く、席の回転は意外に速い。この店の使い勝手の良さは、言わば好事家のサロンであった『こなから』が、おでん屋としてその本道へ真っ向から切り込む姿勢を示すように思う。願わくばこの高みのまま、永く在り続けてもらいたい。

こなから新丸ビル店/東京都千代田区丸の内1-5-1新丸の内ビルディング5F
03-5220-2281/11:00-15:00,17:00-23:00(土日祝-22:00)/無休

2007年06月09日 06:00 | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 浅草・ヨシカミ

5/30。浅草で昼食。『ヨシカミ』を初めて訪れた。「うますぎて申し訳ないス!」のコピーで地元ではお馴染みの洋食店。創業は1951年。現在の建物は1960年築。

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場所は新仲見世の北側、ROX向かいのフットサルコート裏手。往時のことは分からないが、現在の街並からすると少々見つけ辛い。外観は有名店にしては比較的地味でこぢんまりとしている。
五叉路側(写真手前側)の茶色いテントの下にあるちいさなアルミのドアから店内へ入ると、目の前にカウンター席があり、その左右にテーブル席が並ぶ。席数は意外に多く、特にカウンター左側のエリアには奥行きがある。この日はその突き当たりのテーブル席に落ち着いた。

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大衆食堂らしいスチールフレームのスタッキングチェアは背と座が茶色いビニールレザー張り。背に店のキャラクターが型押しされているのが可愛らしい。そこら中に貼られたPOPは壁や窓辺を埋め尽くす勢いで、しかもそのほとんどが今時珍しいサインペンによる手描き。凝ったイラスト入りのものが多く、楽しく見飽きない。暇な時間だったことも良かったのかもしれないが、年配の店員さん方の応対は親切でゆったりとしており、食事の前からすっかりくつろがせていただいた。

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注文したのはビーフシチューとオムライス。皿にも大きくキャラクターがプリントされている。味はとびきり、というわけではないが、値段からすれば十二分に美味しい。

優しく懐かしく、気取らない洋食店。今後はぜひ気軽に使わせていただくことにしよう。昼時から夜十時過ぎまでノンストップで開いているのも有り難い。

ヨシカミ/東京都台東区浅草1-41-4/03-3841-1802
11:45-22:00(LO)/木休

2007年06月06日 01:00 | trackbacks (0) | comments (0)

ちょっといい風景 : 紫陽花・隅田公園辺り

5/30。打ち合わせからの帰りに隅田公園の脇を通ると紫陽花が満開だった。

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下の品種には「カシワバアジサイ」との札。

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公園を離れて、江戸通りを下る途中も歩道の脇は紫陽花だらけ。つい気になってしばらく写真を撮り続けた。

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それにしても、色といいかたちといい、近所を少し歩くだけでもいろんな種類が見つかるものだ(他の写真123)。

梅雨入り直前の爽やかな数日。

アジサイ(Wikipedia)

2007年06月05日 03:00 | trackbacks (0) | comments (0)

仕事してるんです : 勝野屋・OZONEイベントで手拭販売中

現在新宿・リビングデザインセンターOZONEで開催中のイベント『布&トートバッグマーケット』で、勝野屋(love the lifeのプロダクトレーベル)が手拭を販売しています。普段Webでしかご覧いただいたり購入していただくことのできない勝野屋の手拭を、実際に手に取ってチェックしていただけるチャンスです。会期は6/2(土)、6/3(日)と6/9(土)、6/10(日)の計4日間。すでに初日が終了してしまいましたので、残りは本日を含む3日間です。

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7Fのエスカレーター脇にひっそりと小さなブースを構えています。はっきり言って、けっこう寂しいシチュエーションです。お近くにお越しの際には、冷やかしでぜんぜん結構ですので、どなた様もぜひぜひお気軽にお立ち寄りいただけましたら幸いです。

OZONE布づくし展3/布&トートバッグマーケット

2007年06月03日 03:00 | trackbacks (0) | comments (0)

都市とデザインと : 名古屋・ラシック

5/22。『いば昇』で昼食の後『ラシック』を視察。三越名古屋栄店の別館として2005年にオープンした複合商業施設。

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館内には建物中央の無柱空間がフロアごとに異なる手法で活用されることによって特徴的な構成が与えられている。普通なら吹き抜けにしてしまうであろうところに動線や売場が縦横に折り重なり合い、ある種迷宮的で複雑な表情を作り出しながらも、商業施設として破綻の無い分かりやすさを同時に持ち合わせているのが面白い。上の写真は1Fと5Fの共用部分。

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各フロアで写真を撮るとその表情はみごとにバラバラで、後で見ると同じ施設内には思えない。上の写真は8Fと3F。

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上の写真は4Fエスカレーター正面の様子。柱の無い大きなフロアが区分され、テナントの売場となっている。割り切った造りと共用の天井造作。ちょっと他に無い雰囲気。

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上の写真はB1Fの食料品売場。どのフロアも天井はあまり高くはないが、その眺めには独特の「抜け」感がある。

一見地味ながら、商業施設として極めてユニークで挑戦的な建物と見た。デザインを手がけたのは日建設計

ラシック

テナントでは『arco STORE』が特に面白かった。巨大な家具カウンターに店舗としての主な機能をシンプルに詰め込んだデザイン。『ete+』はいつどこで見てもやはりカッコいい。デザインは文田デザインオフィス(文田昭仁氏)。

2007年06月02日 22:00 | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 名古屋・いば昇

5/22。午前中に『MOTTAINAI津島』完成写真撮影が終了。名古屋へ戻って昼食を摂った。フォトグラファー・佐藤さんお薦め鰻屋『いば昇』へ。創業は明治期のようだが、詳しいことは不明。現在の店舗は1951年に建てられたもの。

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ビルの谷間にあってこぢんまりとして見えるが、建坪は意外に大きい。入ると右手にレジ。続いてテーブル席がいくつかあって、突き当たりに大きめの坪庭。左手にまわり込むようにして奥へ進むとさらにいくつかのテーブル席。奥に数室の座敷席がある。この日通されたのは最も外れの小部屋で、そこからもまた小さな坪庭が見えた。どちらを向いても実にしっかりと手の入った木造。完成時の迫力は相当なものだったろうと思わせる。今ではいい塩梅に枯れた風情が心地良い。ひつまぶし三人前を注文。

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ひつまぶしは『いば昇』三代目店主が考案したとされる。その食し方はいかにもジャンクで名古屋らしく、正直最初はそれなりの味だろうと踏んでいた。ところが、実際にいただいてみるとどうして、これが素晴らしく理にかなった作法であることを思い知らされ眼から鱗となった。
まず何と言っても鰻そのものがいい。刻んで飯に混ぜてもその香ばしさは失われること無くむしろふくよかさを増す。辛めのたれ、固めの飯との相性は抜群だ。つづく葱は極薄に輪切りされており、爽やかな辛味と繊細な歯触りが一層食欲をそそる。そして最後に茶漬けにすると、全ての素材が生き返ったように新たな風味を醸す。
無論、良質な仕事と素材無くして万事こうは行くまい。肝吸は澄んだ出汁に大ぶりの具。美味い鰻を食った、という満足感を堪能させていただいた。

数度の出張で私たちの頭の中に築かれつつあった名古屋の食に対するイメージは、おかげで見事に崩壊。恐れ入りました。。。

いば昇/愛知県名古屋市中区錦3-13-22/052-951-1166
11:00-14:30,16:00-20:00/日第2・3月休

2007年06月01日 05:00 | trackbacks (0) | comments (4)

暮らしの道具たち : 浅草・文扇堂の総あみ柄

5/20。三社に因んで浅草『文扇堂』で総あみの扇子を購入。今年の新柄。

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同じ柄でも色や骨の仕上げの違いでけっこうなバリエーションがあったが、選んだのは一等クールな紺の黒塗。木版と漆の風合いも実にいい。

着物デビューへの道(May 23, 2006)

2007年06月01日 03:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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