life
life of "love the life"

都市とデザインと : 廣村正彰 2D⇔3D

6/21。ggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)で『廣村正彰 2D⇔3D』を見た。廣村正彰氏は1954年生まれ、田中一光デザイン室出身のクリエイティブディレクター。建築・インテリアデザインの世界では、埼玉県立大学 サイン計画(1999)、CODAN Shinonome サイン計画(2003)、丸善・丸の内本店 サイン計画(2004)、横須賀美術館 VI計画およびサイン計画(2007)などのプロジェクトで知られる。

070622_mhiromura_2d3d.jpg

1Fでは大型のグラフィックパネルと液晶モニターを用いて、3つのデザインリサーチの紹介が行われている。中でも興味深かったのはエスカレーターそのものにグラフィック処理を施すサイン計画。実現はかなわなかったものの、グラフィック操作によって環境そのものを制御し、機能させようとする廣村氏の野心的な志向を最も端的に象徴するプロジェクトだ。

B1Fでは氏が実際に手がけたいくつかのサイン・VI計画と、さまざまなロゴマークデザインを見ることができる。壁面全体をグラフィック処理し、要所のみをパネル化して浮かせた展示手法は実に明快だ。動線の中ほどに天井吊りされたスクリーンには、表裏から各プロジェクトの実際の状況を記録したビデオ映像が投影されている。ほとんど1、2mmのチリしかない完璧なフレーミングには思わず舌を巻いた。こうした見事な収まりと施工精度の高さには、多くの現場で2Dと3Dでの作法の違いに厳しく折り合いを付けて来た氏の取り組みがそのまま表れているように思う。
展示の内容もそれぞれに興味深いものだった。フロアごとに割り当てられた色面が時に力強い縞模様を構成する『CODAN Shinonome サイン計画』は、グラフィックによる環境デザインとして最もアヴァンギャルドな試みのひとつだろう。ガラスを多用した建築に呼応し、宙空に浮かぶグラフィックが風景に溶け込む『横須賀美術館 VI計画およびサイン計画』は息を呑む美しさ。どちらも近いうちにぜひ実際の空間を拝見してみたい。

グラフィックの持つ力が本来2Dのみにとどまるものではないことを体感することのできる貴重な展覧会だった。ものや空間をねじ伏せられるだけの腕力を、廣村氏以降の世代のグラフィック・ウェブデザイナーは果たして獲得することができるだろうか。また、グラフィックの力を最大限に引き出すことのできるだけの設計力を、私たちインテリアデザイナーや建築家は今もなお持ち得ているだろうか。

廣村正彰 2D⇔3D

2007年06月24日 05:00 | trackbacks (0) | comments (0)
comments

post a comment




*ご記入のメールアドレスはブログ管理者にのみ通知され非公開となります。



back|mail
copyright