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都市とデザインと : 四条大橋西詰・東華菜館 本店

7/18。正午から『東華菜館 本店』で会食。四条大橋西詰南側にある建物は1926年にビアレストラン『矢尾政』として竣工。その後オーナーが代わり1945年から中華料理店として営業を続けている。ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計を手掛けた唯一の飲食店ビルとのこと。以下、写真はクリックで拡大。

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上の写真は四条大橋から見た建物全景。レリーフ状のテラコッタタイルのパターンや屋上の瓦にスパニッシュスタイルが見て取れる。右寄りにある塔屋はエレベーターのマシンルーム。こちらはもう少し近づいたところの北東角近景。

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上の写真は四条通に面した北側ファサード見上げ。その下の方にあるエントランス周りの装飾に目を凝らすと、カサゴのような魚や貝の装飾があるのが分かる。こちらはエントランス全景。青銅色の欄間から少し奥まったところが通常開閉されるドアで、その上にはホタテ貝と2匹のタコの装飾がある。海産物バロック。

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店内に入ると1階客席は上の写真のように壁も天井も重厚なスパニッシュスタイルのパターンで埋められている。おそらくカラーガラス製かと思われるペンタントライトは元々あったものではない。キノコを逆さにしたような独特のデザイン。ミスマッチだが不思議にカッコいい。

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エントランス右手に案内され、現存するものとしては日本最古と言われるエレベーターに乗り込み、この日は4Fの客席へ。1Fに比べると装飾も色使いもぐんとカジュアル。明るく開放的な空間だ。上の写真がその全景。さながら上海か香港のようなコロニアルな雰囲気も感じられるのは、中国風のものに変更されたペンダントライトのせいだろうか。こちらは天井とペンダントライトの近景。こちらは西側客席まわりの近景。

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いただいた料理はアワビ・エビ・イカの和え物、季節の野菜炒め、エビチリ、スブタなど。どれも実に彩り良く、さっぱりとした味付けが素材を引き立てる。安心感のある美味さ。なるほど、これぞ京都でも随一の繁華街にあって60年以上愛され続ける中華料理店ってことだ。窓の外に南座周辺の雑然とした風景を眺めながら、大いに納得した。

東華菜館 本店/京都市下京区斎藤町140-2/075-221-1147
11:30-LO21:00/無休

2010年11月11日 03:00 | trackbacks (0) | comments (2)
comments

メレルですか
近江兄弟社の・・
当時はこんな建物が多かったのでしょうね
今で言う事務所やテナントビルとか 雑居ビル系のデザインなのでしょうか

当時のデザインのアプローチの仕方なのか
入り口と最上階はデコラティブな感じになっていますね
写真だけ見ると上海とかロシアの建物のようにみえるのは不思議

西洋人が設計しても作るのが日本人なので
和洋折衷とまでは行かないけど
どうしてもオリエンタルな感じになりますよね

東京ってこういうテナント系のビルって
当時のまま残らないんだよね
いい意味でも悪いい意味でも
江戸の頃から町の回転が早いから
すぐ町を改造したがるし・・・・・

posted by: kiyo : 2010年11月12日 09:26

>kiyoさん
ヴォーリズを帰化後のファーストネームで呼ぶと俄然地元の人っぽいですね。全体の構成は至って簡素にふつうに、部分で魅力を醸すのは彼の作品の多くに共通する特徴だと思います。装飾のもつ力とその意義を完全に理解した近代合理主義者。僭越ですが、そのクールさに共感を覚えます。
近現代の商業・オフィスビルが残らないのは関西も東京も同じです。おそらく20世紀の遺構はあと2、30年もすれば消えてなくなるような気がします。ヨーロッパの都市のような重層性を持たず、記憶の一部をぽっかりと喪失した空間。すでにそれは目の前に立ち上がっていて、そのぽっかり具合をますます先鋭にしつつある。そうやっていろいろと忘れてゆくのは寂しい気もしますが、意外と楽しむことだってできるかも、と開き直っている今日この頃です。

posted by: 勝野+ヤギ : 2010年11月16日 03:24

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