life
life of "love the life"

身体と空間の芸術, 都市とデザインと : 展覧会行脚のメモ 2009年8月・2

こちらからの続き。

8/21に六本木・AXISギャラリーで見た『ナインアワーズ展 - 都市における新しい宿泊のカタチ』についてはこちら

8/24。六本木・21_21 DESIGN SIGHTで『山中俊治ディレクション「骨」展』。「生物の骨をふまえながら、工業製品の機能とかたちとの関係に改めて目を向けます」と言うコンセプトに最も深く合致した作品は、やはりニック・ヴィーシー氏の『X-RAY』シリーズと、玉屋庄兵衛氏と山中俊治氏による『骨からくり「弓曵き小早舟」』だろう。他の作品も補足の役割を十分に果たし、一貫した楽しい展覧会となっていた。「電信柱を取り上げて欲しかった」との三原昌平氏の感想は興味深い。

8/30。千葉県佐倉市・国立歴史民俗博物館の第3展示室で『百鬼夜行の世界』。展示替えのため、オリジナルとされる大徳寺真珠庵蔵の『百器夜行絵巻』(1500年代・伝土佐光信)を見ることが出来なかったのは残念。それでも室町の頃から繰り返し描かれ、時代ごとに変容した『百鬼夜行』のうち主立ったものを一同に見ることができたことは貴重だ。万物から霊性を感受し、それをユーモラスに「キャラ」化してしまう日本人の、ひとつの原点がここにある。中でも伝土佐吉光とされる絵巻の、暗雲立ちこめる妖しいエンディングには心惹かれた。

同日、同館企画展示室で『日本建築は特異なのか - 東アジアの宮殿・寺院・住宅 - 』。先ずは床面にシート貼りされた長安、ソウル、平安京の同寸配置図を眺める。似通った骨格を持ちながらも、結局のところ三者三様の様相を呈しているのが面白い。宮殿、寺院、住宅、それに大工道具についても同様だ。展示手法的にキャプションに頼り過ぎでは、とは思ったが、結局のところ「特異」なのは日本建築だけではない、と言うことは理解できた。精巧な展示物の数々の中でも平等院鳳凰堂の実物組物彩色模型は忘れ難い。表面を埋め尽くした鮮やか過ぎる文様のなんとサイケデリックなことか。

同日、佐倉市美術館で『オランダデザイン展』。ドローグの名作の数々に今では懐かしさと新鮮さの両方を覚える。歴史になったんだな。マーティン・バース『スモークチェア』は実物を初めて見た。焼け跡のエレガンス。実にクール。この展覧会の個人的ハイライトは中盤のポスター作品群だった。簡潔な平面に上位次元をするりと忍び込ませるような、巧みな表現が多く見られる。まるでパラレルワールドの覗き窓だ。終盤に展示されたリートフェルトモンドリアンらのデ・スティル関連作品も見応えがあった。

2009年09月22日 12:00 | trackbacks (0) | comments (0)
comments

post a comment




*ご記入のメールアドレスはブログ管理者にのみ通知され非公開となります。



back|mail
copyright