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落語初心者のメモ : 落語初心者のメモ 2008年4月

4/6。三鷹市公会堂で『立川志の輔独演会』。立川志の彦さんの『つる』に続いて志の輔師匠で『みどりの窓口』。珍客の応対に次第に追いつめられてゆくJR職員、と言う展開は師匠のお得意ではあるものの、やはり緻密なディテールに引き込まれ、意外にして鮮やかな下げに思わずのけぞった。仲入を挟み、志の輔師匠で『柳田格之進』。この根多を師匠で聞くのは昨年の大銀座落語祭以来2度目。つくづくカッコいい。

4/8。紀伊國屋ホールで『第520回紀伊國屋寄席』。柳家三之助さんの『棒鱈』を途中から。綺麗で明朗。次に古今亭志ん橋師匠で『池田大介』。志ん橋師匠を見るのは初めて。子供を演じる様子が実に愛らしく、なんとも幸せな気持ちになる。続いて桂文楽師匠で『素人うなぎ』。単純な滑稽話も師匠が演じると格調高いものに。仲入後の一席は柳家喬太郎師匠で軽〜く『母恋いくらげ』。ほのぼのしてホッと一息。退場の仕方が素晴らしい。トリの桂歌丸師匠は交通トラブルで東京に戻れず、立川志らく師匠が自作のシネマ落語『たまや - 天国から来たチャンピオン - 』を代演。目まぐるしい展開とオーバーアクションを思い切り楽しんで、最後の最後にほろり。力の入った高座。ここに来てついに志らく落語を楽しむための脳内回路がカチリと繋がったような感覚が。

4/12。深川江戸資料館小劇場で『第五回 特撰落語会 ほたると白酒と権太楼』。桃月庵白酒師匠の『あくび指南』を枕の途中から。白酒師匠を見るのは初めて。繰り返しの多いシンプルな構成の根多が、細部を端正に積み重ねることで次第に奥行き深いものとなる。品があって、しかも楽しい。続いて柳家権太楼師匠で『死神』。脚色無しで真っ直ぐに聞かせる。にも関わらず心底可笑しく、最後には背筋が寒くなった。にっこり微笑むだけで見るものを幸せな心地にさせる素敵なお顔をしていらっしゃる師匠なだけに、余計に恐い。さらに白酒師匠で『突き落とし』。『あくび指南』とは打って変わって登場人物が多く場面描写のややこしい噺を、丁寧に、それでいて軽妙に演じる。
仲入の後、権太楼師匠、白酒師匠、柳家ほたるさんが揃って登場。ほたるさん二ツ目昇進の口上。続いてほたるさんで『お菊の皿』。お菊の動作が激し過ぎて爆笑。トリは権太楼師匠で『試し酒』。これまたシンプル極まりない筋書きだが、久蔵の愛すべきキャラクターが見事に際立ち、噺の世界へどっぷりと引き込まれてしまう。大盃を飲み干す場面の凄まじさは筆舌に尽くし難い。ギラつく眼光。狂気をはらんだ名演に場内は割れんばかりの拍手で包まれた。この落語は「身体で演じる」という域を超えている。感動とともに、なぜか枝雀師匠を思い出した。

415。お江戸日本橋亭で『市馬落語集』。柳亭市也さんの『道灌』に続いて、柳亭市馬師匠で『明烏』。仲入を挟んで市馬師匠で『寝床』。根多下ろしの『明烏』も素晴らしかったが、『寝床』はさらに輪をかけていい。カラリとして、味わい深い。市馬師匠の高座にしかないこの感覚は一体どうやって表すべきか。市也さんは前日が初高座とのこと。枕で市馬師匠が話されたご自身の初高座と柳家小さん師匠のエピソードが実に暖かく、心に響いた。

4/16。みたか井心亭で『寄席井心亭 数えて百五十五夜 卯月』。柳家喬太郎師匠の会。最初は柳家小ぞうさんで『がまの油』。才気あふれる前座さん。いきなり大いに楽しませていただく。立ち居振る舞いのがさつさが取れれば一気に開花しそうな予感。続いて喬太郎師匠で『百川』。百兵衛のふわふわしたキャラクターが妖怪的でいい。さらに小宮孝泰氏で『青菜』。その見事さに驚くと同時に「高座が楽しくてしょうがない」という様子が伝染してこちらまで嬉しい気持ちになる。仲入を挟んで寒空はだか先生の登場。高座と客席の狭間で窮屈そうに根多を繰り出す姿が妙に可笑しい。見上げ位置で聞く『東京タワーの歌』は格別。トリは喬太郎師匠で『宮戸川』通し。前半のラブコメ的展開と、後半のサスペンスフルな展開。その極端な対比は終演後に悪寒を覚えるほどの違和感を伴うものだった。ある意味、師匠の自作以上に喬太郎落語的だ。

4/20。三鷹市芸術文化センター星のホールで『柳家さん喬独演会』。柳家小んぶさんの『小町』、柳家喬四郎さん自作の新作『せれぶ』に続いてさん喬師匠で『百川』。先日に見た喬太郎師匠の『百川』は、ストーリー、演出的にほぼさん喬師匠の完全コピーであることが分かる。にも関わらず印象が大きく異なるのが不思議で興味深い。さん喬師匠の人間味溢れる百兵衛は最高に魅力的だが、喬太郎師匠の妖怪百兵衛も捨て難い。
仲入の後、さん喬師匠が羽織を着けずに高座へ上がられ「会場にお子様がいらっしゃるので」と予定外の『初天神』をショートバージョンで見せて下さった。これがもう絶品。動作ひとつひとつが実にリアルで可笑しいのなんの。単に面白くしようとすると父親とこまっしゃくれた息子との間柄が荒んで見えてしまいそうな噺だが、さん喬師匠演ずる父親の眼差しには溢れんばかりの愛情が感じられる。柳家小菊師匠の粋曲にうっとりした後、三たびさん喬師匠で『柳田格之進』。ずっしりと重厚。これまた比較になるが、志の輔師匠の『柳田格之進』がいかにクールにモダナイズされたものであるのかが分かった。やはりどちらも素晴らしい。

2008年06月18日 14:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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