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life of "love the life"

落語初心者のメモ : 落語初心者のメモ 2008年3月

3/13。東京芸術劇場小ホール2で『瀧川鯉昇 柳家喬太郎 二人会 古典こもり』。瀧川鯉斗さんの『動物園』に続いて喬太郎師匠で『転宅』。泥棒の愛すべきダメっぷりが何とも素晴らしい。次に鯉昇師匠で『明烏』。鯉昇師匠を見るのは初めて。まことに失礼ながらお顔からは想像のつかない綺麗で繊細な芸にうっとり。仲入を挟んで再び鯉昇師匠で『長屋の花見』。先とは打って変わったからりとして滑稽な貧乏ネタはハマり過ぎてもう爆笑。トリは喬太郎師匠の『綿医者』。不条理な展開とあまりにナンセンスな下げに衝撃を受ける。

3/14。連日の東京芸術劇場小ホール2で『昔昔亭桃太郎独演会 春の桃太郎』。春風亭昇々さんの『子ほめ』に続いて桃太郎師匠の『受験家族』と風間杜夫氏の『風呂敷』。風間氏の落語を見るのは初めて。桃太郎師匠による飄々とした新作と風間氏による端正な古典。この何とも不思議な対比を味わえただけでも儲け物。仲入を挟み、両氏の対談に続いて三たび桃太郎師匠が登場。演ずるはなんと『不動坊』。とぼけたくすぐりをてんこ盛りにした冒頭の展開からして、舞台は完璧なる桃太郎ワールドに置き換わっている。幽霊役が頭上にセリフを訪ねる仕草が可笑し過ぎて忘れ難い。

3/19。みたか井心亭で『寄席井心亭 数えて百五十四夜 弥生』。林家たい平師匠の会。最初にたい平師匠で『不動坊』。何度出会っても聞き惚れる完成された芸。桂三木男さんの『猿後家』で仲入。続いてたい平師匠の『文七元結(ぶんしちもっとい)』をたっぷり。これが凄まじいまでの熱演で聞き終えて思わずぐったりしたが、今後一気に進化しそうな予感のある根多。近いうちにぜひまたどこかで聞いてみたい。

3/23。三鷹市芸術文化センター星のホールで『柳家花緑独演会』。最初に柳家花いちさんの『饅頭こわい』。続いて花緑師匠で『片棒』と『禁酒番屋』、仲入を挟んで再び花緑師匠で『出来心』と『お見立て』というなんとも嬉しい盛り沢山な内容。個々の根多はもちろん素晴らしいが、何より高座から伝わるカラフルな空気が楽しく、心地良い。花緑師匠の芸は独演会でこそ最大限に生きるのでは、と考えたのは正解だった。

3/27。内幸町ホールで『WAZAOGI ろっく・おん 三遊亭円丈コレクションVol.1』。円丈師匠を見るのは初めて。三遊亭玉々丈さんの小咄の後、円丈師匠で『ぐつぐつ』。柳家小ゑん師匠による新作。円丈版は哀感をベースにえも言われぬ可笑し味を湛えた大作だった(小ゑん版はどんなだろう)。以後しばらく「ぐっつぐっつ!」がわが家で流行。
続いて春風亭栄助さん(今秋真打昇進と共に「百栄」に改名予定)が元気無く登場。こちらも初めて拝見。掴み所の無い枕に翻弄される落語通の小咄に始まって、自作の新作『古典の天使・新作の悪魔』へ。アニメ声の天使とデーモン小暮風の悪魔の板挟みに苦しむ二ツ目さん。落語の世界を落語のフォーマットで茶化し倒す。くすぐりといい流れといいあまりに見事で、大爆笑の後、半ば呆然として見送る。以後しばらく「このうつけ者!(アニメ声で)」がわが家で流行。
さらに円丈師匠で『新がまの油』。これは自作だろうか。正調の口上と、オリジナルの口上の両方が聞けて実に愉快で得した気分。仲入を挟んで三たび円丈師匠で自作の新作にして名作の誉れ高い『遥かなるたぬきうどん』。円丈師匠の高座は声の抑揚が極めて激しい。無駄にドラマティックな筋立てのシュールな根多がその調子にぴたりとはまり、ジェットコースターのように展開する。爽快。斬新。落語はここまで自由なものだったか。

2008年06月16日 13:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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