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都市とデザインと : 品川・ecute

6/25。小田原での打合せからの帰りに新幹線を品川で降りて、以前から視察したかった『ecute』へ。2005年10月にオープンした駅ナカショッピングモール。環境デザインは大阪を拠点に全国で様々な商業施設を手がけるリックデザインによる。

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新幹線の改札と在来線のコンコースのあいだに位置する2フロア。ファサードに当たる部分のデザインは白色基調で優しい印象。3カ所にあるエントランスからなかへ入ると、ゆったりと幅をとった通路に面して美味しそうな総菜やデザートの店がずらりと並ぶ。フロア中央へと進むと、エスカレーターまわりに天井面から自然光が大胆に取り入れられ、さほど広くはないものの開放感を感じさせる空間構成となっている。欲を言えば店内で買ったものを食べられるフードコートのようなものがあれば良かったとは思うけど、そこは駅ナカ。帰ってから(あるいは新幹線の中で)食べればいいってことか。

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共用の通路や天井、壁面などの環境デザインはファサードと同様実にシンプル。しかしそのディテールにはゾーンごとに明快な括りがある。特に間接照明とペンダントライトの使い分けの効果は大きい。さらに、通路と各ショップの境目に当たる天井面に設けられた黒いスリットには大量のスポットライトがすっきりと仕込まれていて、商品ディスプレイをより一層華やかに見せる。これもまた環境とテナントとの関係性を整理するのに一役買っている。
ともすれば凡庸に見えかねないくらいデザインのトーンは抑制されているが、とにかくどんよりしたところの一切無い、メリハリの効いた環境だ。確かなセンスとスマートな設計技術によって、空間全体が風通し良く感じられるものに仕上がっている。大型商業施設の世界で、こうした質の高い仕事をコンスタントに続けているリックデザインのような会社は国内では珍しい。

エスカレーターを上ったところにある『Wanofu』というレストランのインテリアもリックデザインの手がけたもの。これまたシンプルな空間だが、通路に面したアクリルのパーティションだけが唐突に濃ゆい存在感を醸し出している。こういうところで「デザイン欲」のバランスをとっていらっしゃるのかな、と思うとなんだか微笑ましいが、それはまあ邪推と言うものだろう。

JRに限らず、駅の環境の大半はまだまだ全然美しくも機能的でもない。エントランス近くの『サザ・コーヒー』でゴールデンモカをいただきながら、ひょっとすると一足飛びに良くなる可能性も無くはないな、と思ったりした。

ecute
リックデザイン

2006年06月28日 21:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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