life
life of "love the life"

落語初心者のメモ : 落語初心者のメモ 2009年3月

3/4。みたか井心亭で『寄席井心亭 数えて百六十五夜 如月』。林家たい平師匠の会。たい平師匠で『二番煎じ』、林家たけ平さんで『星野屋』、神田茜師匠で『あの頃の夢』、仲入りを挟んでたい平師匠で『らくだ』。
たい平師匠の『らくだ』はこれまでに見た誰の『らくだ』よりも綺麗で無駄がない。落語の構造を徹底的にシンプル化しながら、味わいあるディテールを丹念に積み重ねてゆく。そのやり方は『二番煎じ』も、と言うよりむしろ、たい平師匠の落語そのものが、まっすぐ同じ方を向いているのではないか。そう思い当たるには十二分の力演だった。さらには茜師匠のほんわか高座がものの見事に緊張感を緩和。まさに強力タッグ。たけ平さんも今後要チェック。

3/6。新宿区立箪笥町区民センター神楽坂劇場で『神楽坂劇場二人会』。立川志らく師匠と柳家喬太郎師匠の会。立川らく兵さんで『十徳』、志らく師匠で『洒落小町』、喬太郎師匠で『古典七転八倒』、仲入りを挟んで喬太郎師匠で『たいこ腹』、志らく師匠で『浜野矩随』。
独特な力配分で目が離せないらく兵さん。志らく師匠の『洒落小町』はお松さんの暴走ぶりが絶品。カリフラワーの業平。続く喬太郎師匠は根多を決めかねている様子。『錦の袈裟』を冒頭でつまづいて、長屋の連中が今日は落語に出るの出ないのと話し合いを始め、ついには会場にリクエストを求めたりとご本人が暴走。ようやく『初天神』がはじまったと思ったら『反対俥』を織り交ぜつつ筋は『粗忽長屋』へとスライド。さらには『黄金餅』、『寝床』、『らくだ』が小気味良く連なり渾然一体となったところでサゲ。爆笑に次ぐ爆笑。それにしても手に汗握るミラクル高座だった。仲入り後はお二人とも至って端正に。

3/19。練馬文化センター小ホールで『談春、喬太郎、桃太郎 3人会』。瀧川鯉斗さんで『転失気』、昔昔亭桃太郎師匠で『弥次郎』、立川談春師匠で『白井権八』、仲入りを挟んでトークショー、柳家喬太郎師匠で『死神』。
桃太郎師匠の新作かと思うくらいにナンセンスギャグ満載の『弥次郎』。そのエピソードつながりで談春師匠は『白井権八』。リラックスした様子で軽快に。トークショーの桃太郎師匠は普段着で登場。その時点でもう爆笑。協会がらみの話題に三者三様、接点の無いコメントが続いて、結局のところ喬太郎師匠がいじめられ役。談春師匠の容赦のないツッコミをのらりくらり、かわしたりかわさなかったりの桃太郎師匠がキュート。久々に見た喬太郎師匠の『死神』は映像的かつSF的で実に鮮やか。カジカザワカンタンジャナイトオモイマス。

3/21。よみうりホールで『よってたかって春らくご 21世紀スペシャル寄席ONEDAY』。柳亭市丸さんで『牛ほめ』、春風亭百栄師匠で『お血脈』、三遊亭白鳥師匠で『真夜中の襲名』、仲入りを挟んで柳家三三師匠で『加賀の千代』、柳家喬太郎師匠で『純情日記 - 横浜編』。
三平師匠に絡めたタイムリーでナンセンス、かつ美談な根多で会場を完全掌握の『真夜中の襲名』。個人的ベスト白鳥師匠高座。擬人化最高。三三師匠は季節外れの大晦日の根多。馬鹿でがさつだが根っからの善人である甚兵衛の人物像がなんとも魅力的に描かれる。ほのぼの。喬太郎師匠は自作の甘酸っぱい新作。

3/27。雀のおやどで『桂雀三郎還暦記念30日間連続落語会』。桂吉の丞さんで『米揚げ笊』、 桂雀三郎師匠で『悋気の独楽』、林家花丸師匠で『あくびの稽古』、雀三郎師匠で『雨月荘の惨劇』。
雀三郎師匠を拝見するのは歌舞伎座以来二度目。そのパワフルさときたら大阪・鶴橋のちいさな会場が爆発するんじゃないかと思うほどだった。特に小佐田定雄先生作の『雨月荘の惨劇』は、冒頭からぐんぐん加速しエスカレートするナンセンスさに振り回されっ放し。そして美声炸裂のサゲ。なんという独創性。この根多を見ることができて幸運だ。東京にもぜひお越しいただきたいなあ。対して花丸師匠の高座は流れるように美しく。東京でよく見る型よりもずいぶんとエピソードが多いのが興味深かった。

3/28。ワッハ上方ホールで『第六回東西師弟笑いの喬演』。内海英華師匠で女道楽、柳家喬太郎師匠で『粗忽長屋』、笑福亭松喬師匠で『崇徳院』、仲入りを挟んで笑福亭三喬師匠で『べかこ』、柳家さん喬師匠で『柳田格之進』。
上方ならではの淡々とした展開の端々に松喬師匠ならではの可愛らしい人物描写が登場する『崇徳院』。敢えて控えめな根多を選びつつも見応えは十二分。三喬師匠は泥丹坊堅丸なる落語家が登場する珍しい顔芸根多。救いの無さゆえに思わず吹き出す破壊的なサゲがいい。東京の両師匠は得意の根多を丁寧に。

3/29。天満天神繁昌亭で『早朝もっちゃりーず寄席』。桂佐ん吉さんで『阿弥陀池』、桂三ノ助さんで『河豚鍋』、桂福車師匠で『手紙無筆』、内海英華師匠で女道楽、笑福亭仁福師匠で『始末の極意』。
大きな表情、大きな仕草の佐ん吉さん。明るく迫力ある高座に引き込まれた。今後要チェック。でも東京で見れるのか。仁福師匠はケチのキャラクターを生々しく描きながらも、ゆるーいムードで総体を包み込んでしまう。サゲの間違いも根多のうちではないか、と思わせるところが凄い。浅草在住者の心を鷲掴みにするナンセンスぶり。と言っても、やっぱり東京じゃ見れないんだろうなあ。

2009年05月07日 14:00 | trackbacks (0) | comments (0)
comments

post a comment




*ご記入のメールアドレスはブログ管理者にのみ通知され非公開となります。



back|mail
copyright