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都市とデザインと : 建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション

5/1。朝から展覧会をはしご。先ずは東京国立近代美術館の『建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション』へ。門をくぐるとロビー脇の庭に最初の作品が。以下、写真はクリックで拡大。

『まちあわせ』はアトリエ・ワンによるインスタレーション。竹でできた大型動物の一群が竹橋でまちあわせ。上の写真はロビーとショップのあいだから門の方を見返したところ(門側から見た写真)。楽しく軽快でチャーミングな佇まいに思わず顔がほころぶ。芝生に落ちる影も美しい。

展示室に入るとすぐに出くわすのが中村竜治氏によるインスタレーション『とうもろこし畑』。か細い紙のフレームによる構築物。爪楊枝くらいの部材が接着剤でトラス状に繋がり、100立方メートルほどの塊となる(近景1近景2)。思わず目を疑うくらいに儚げで、それゆえ逆説的に強烈な印象を放つ作品。まるでリアルとアンリアルの大断層だ。その傍らのアントチェアには2006年の作品『クマ』がちょこんと置かれていた。こちらも紙製。

この展覧会で個人的に最も心を動かされたインスタレーションが中山英之氏の『草原の大きな扉』。その手法は1/3スケールの建築模型とそのドローイングを配置しただけの至って単純なもの。プロジェクトの内容は、ふたつのちいさな建物の片方(写真1写真2)にカフェの運営機能を、もう片方(写真1写真2)にテーブルやチェアを収納し、必要に応じて周辺の草原を客席として利用するというもの。シェルターとしての建築ではないオープンな場としての非建築。微妙なスケール感が相まって、不思議に心地の良い空間を味わうことができた。

より建築的な体裁でありながら、一層微妙で曖昧なスケールを感じさせるのが鈴木了二氏によるインスタレーション『物質試行 51:DUBHOUSE』(遠景近景)。模型ともインテリアとも家具とも捉えることのできる「建築の中の建築」。研ぎ澄ました切っ先を突き付けるような端正な空間性とシャープなディテール。

建設現場で見たレーザー墨出し器から着想を得たと言う『赤縞』(写真1写真2)は、レーザーが描く無数の平行線の中を人や物体が移動することで生まれる極めつけに抽象的で変幻自在なインスタレーション。展示室入口で貸し出されるオーガンジーの切れ端を使えば、より多層的で複雑な空間が現れる。これが内藤廣氏の作品だとは実に意外。

さらに菊地宏氏による『ある部屋の一日』伊東豊雄氏による『うちのうちのうち』(写真1写真2写真3)と作品が続く。過去にもコンセプチュアルで体験的な展示手法を用いた建築展を見たことはあるが、これほど明快に新作のインスタレーションのみを揃えた展覧会に出会ったのは初めてのこと。広大なフロアに作品はたったの7つ。贅沢だ。比較的オーセンティックな美術作品を扱って来た美術館までもがいよいよ彫刻や絵画だけの入れ物ではなくなりつつあることは興味深いし、その先鋒が建築であるのも面白い。

2010年07月27日 05:00 | trackbacks (0) | comments (2)
comments

最近楽しく拝見させていただいています。たまたまうっかり誤植に気が付きましたのでご一報をさせていただきますと、伊東豊「雄」ですので、悪しからず^^。

posted by: masakichi : 2010年07月27日 04:44

>masakichiさん
あらま!ご指摘感謝いたします!

posted by: 勝野+ヤギ : 2010年07月27日 04:47

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