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旅に出てきました : 帰省ツアー 2009-2010・3日目

昨年12/26。ランチタイムから活動開始。先ずは『なり田』姉小路堺町店へ。『なり田』は1804年創業の漬物店。こちらの店は2007年オープンとのこと。内装は前日の『いしかわ』、『カオカフェ』と同じく辻村久信デザイン事務所が手掛けている。

御池通りを堺町通りで南下。一本目の姉小路通りを左折すると、木製建具に木格子、瓦の庇のある小さな低層ビルが右手に現れる。1Fの店は『なり田』が手掛けるパティスリー。右脇にある鈴のロゴマーク入りの麻暖簾をくぐり、奥のエレベーターを2Fへ上がるとすぐ右側が『なり田』の物販スペース。八角形の冷蔵ケースを中心に据え、通路を挟んで外周を壁際の棚が取り巻く構成。ボリューム感のある白木と竹の武骨な造作は辻村作品としては異色かもしれない。

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フロアはレジカウンターやキッチンなどのユーティリティを仕切りに手前側の物販スペースと奥側の飲食スペースに二分されている。飲食スペースの最奥にはベンチシートを式のテーブル席が一列に並び、天井吊りの間接照明ボックスからの光が店内をぼんやりと照らす。この日は軽めに賀茂漬物寿司とちりめん山椒の焼きおにぎり茶漬けをいただいた。料理は実に見目麗しく美味い。紅大根と茄子、セロリの漬物をお土産に購入。

なり田 姉小路堺町店/京都府京都市中京区木之下町299-2F/075-211-0147
10:00-17:00/木休

再び堺町通りを南下して三条通りへ。交差点北東角に『分銅屋』(ぶんどうや)がある。1864年創業の足袋専門店。明治初期までは漢方薬店で、店名はその頃に由来するそうだ。

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建物は黒漆喰壁の京町家(左側のショーウィンドウ)。例によって引戸を開けると右に土間、左に座敷。土間の壁沿いに設えられたガラス戸付きの棚にずらりと並ぶ足袋の金型は壮観だ。座敷に上がり、店主氏に足の形状を見せてから試着。製法といい構造といい、東京の足袋とは異なるところが多いのが面白い。中指の長いタイプを選んでいただき、足袋の基本的な履き方のご指導まで受けた。ありがたや。

分銅屋/京都府京都市中京区桝屋町(三条通)64/075-221-2389
9:30-18:30/日祝休

さらに南下して『御多福珈琲』へ。場所は四条通りと寺町通りの交差点。藤井大丸東隣の雑居ビルを寺町通り側脇の細い急階段から地下へ降りると、狭いフロアの中央突き当たりにコの字型のカウンターが鎮座。中では丸顔のルパン三世と言った風貌のマスター氏がドリップにトークにと勤しんでおられる。テーブル席はカウンターを取り巻くようにしてそれぞれのスペースにこぢんまりと納まっている。この店の主役がどこに居るのかは一見して明白だ。オフホワイトの壁や天井にモールディング、ところどころ木造作に赤い椅子張りをとりまぜた内装は割合明るく可愛らしい印象。この日はカウンター向かいの小さなテーブルでブレンドとチーズケーキ、アイスチャイとプリンを注文。

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自家焙煎ではないとは聞くが、すっきりした酸味の向こうから豊かな味わいがやってくるブレンドは綺麗で美味い。デザートの味も抜かり無し。小振りでシンプルな盛りつけはこの店の空間に良く似合う。マスター氏の素敵なもみあげを拝見に、また伺おう。

御多福珈琲/京都府京都市下京区貞安前之町609-B1F/075-256-6788
10:00-22:00/毎月15日休

午後のミッションを片付けて、京阪三条から大阪・淀屋橋へ。複合施設『odona』(オドナ)の商業施設エリアを視察。オープンは2008年。パブリック部分のインテリアデザインはJAラボラトリー(東潤一郎さん)が手掛けている。

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ベージの大理石とクリアガラスを多用した1Fエントランス部分は、クラシカルなテイストをわずかに取り入れながら至って簡潔にデザインされている。一転してニュートラルで未来的なエスカレーターを2Fへ上がると、短冊状の木材を積み重ねたような壁造作が特徴的な円形の広場のような場所に出る(別アングル2F共用通路)。1Fに比べると味付けは濃いめながら、質感の高さや開放的で居心地の良い空間性は共通している。廣村デザイン事務所(廣村正彰氏)によるパブリックサインとの相乗効果が、空間持つ独特の印象をより深めている。

淀屋橋odona

夕食は『odona』の少し南、御堂筋を西へ逸れたところのホテルユニゾ地下にある『天の幸 山の幸』で。宮崎牛をメイン食材とするレストラン。オープンは2009年。インテリアデザインを手掛けたのは野井成正デザイン事務所

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数十席を擁するフロアは野井作品としては異例の広さ。太さの異なる角材の列柱がゆるやかに間仕切る。大樹の森を思わせるような、重厚さと爽やかさを同時に感じさせる空間だ。

脇本さんご夫妻、東さん、須賀さんご夫妻に私たち、というやや不思議な顔合わせとなったが、意外や着物方面と展示システム方面の話題で大いに盛り上がって楽しい時間を過ごさせていただいた。料理は少々冷め気味なのが気にはなったものの、素材の味を直球で供するスタイルは気に入った。次回はぜひ評判のランチバイキングをいただいてみよう。

天の幸 山の幸/大阪府大阪市中央区高麗橋4-2-7 ホテルユニゾ大阪淀屋橋B1F
06-6209-2941/11:30-14:00, 17:30-23:00/日祝休 

2010年01月29日 05:00 | trackbacks (0) | comments (2)
comments

渋い! 黒漆喰は非常に渋い
手間の掛け具合が今と違いますよね
塗装だったら一発ですもんね
昔の東京もこんな建物が並んでいたんでしょうね
こげ茶と黒と暖簾の色とで・・・
ちゃんとうだつもあがってるし
非常に渋いです。 住むのは腰が引けますけどね

posted by: kiyo : 2010年01月30日 17:49

>kiyoさん
『分銅屋』、構えはこぢんまりしていますが実に重厚な良い町家です。京都の「うだつ」は機能重視の簡素な造作が独特ですね。先日サントリー美術館で見た「月次風俗図屏風」(1600年代)に描かれていたうだつもこんな感じでした。

http://ja.wikipedia.org/wiki/うだつ

posted by: 勝野+ヤギ : 2010年02月01日 02:18

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