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life of "love the life"

食べたり飲んだり : 両国・ほそ川

11/1。江戸東京博物館で『ボストン美術館浮世絵名品展』を見た後、以前から伺いたかった江戸蕎麦屋『ほそ川』で夕食を採ることにした。

博物館を大江戸線の両国駅方面に出て、すぐ東側の狭い路地を入ると明るい黄土色の左官壁に覆われた低層の建物が現れる。もとは二軒の住宅だったものを繋げて改築したとのこと。大きな暖簾をくぐると半屋外の待合があり、その右手の引戸が入口。
店の内装も全て外観同様の左官で仕上げられている。大小のテーブルを取り混ぜ、余裕を持って動線を確保したフロアは一見するといかにも自由な印象。しかしペンダントライトは各テーブルの上に固定されており、空調はほぼ入口側の下がり天井内に集中している。ゆるそうでいて、その実一切動かし難く無駄のない造り。設計を手掛けたのは高橋修一氏。

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この日注文したのは穴子天せいろと牡蛎そば。
先ずはその蕎麦のほとんど「鋭利」と表現したくなるようなエッジと強力な風味に目の覚める思いがする。つゆは見るからに濃厚で、出汁がぐいぐいとにじり出るようにして主張する。さっくりと軽い食感の天婦羅もまた十分に見事だが、横綱級の蕎麦とつゆによる鮮やかな取り組みの前にあってはまるで箸休めだ。
一方、暖かい方を食すると、今度は牡蛎の味わいともっちりとした食感に驚いた。煮て火の通った状態でこれほどの牡蛎とは一体何物か。ここでは上品な汁が脇役にまわり、蕎麦と具を引き立てる。
最後にいただいた蕎麦湯と蕎麦寒天がまた凄かった。特に寒天のほんのりとした甘味と絡み付くような蕎麦の香り。蕎麦屋のデザートとしてこれ以上の品は考え難い。

ゆったりとして折り目正しい空間。丁寧ながら肩の凝らない接客。そしてあまりに高い次元で完成された品々。思わず品書きを端から全部注文してみたい衝動に駆られる。次回はかけそばをぜひいただいてみなくては。

ほそ川/東京都墨田区亀沢1-6-5/03-3626-1125
12:00-15:00,17:30-20:30/月・第3火休

2008年12月08日 10:00 | trackbacks (0) | comments (4)

名言コレクション : 境沢孝の言葉

元来、商店は基本的にデザイナーが介入しなくても充分存在できるような仕組にできている。この認識はむしろデザイナーと商店とのかかわり合いの中で、冷く、かつ着実に受取っておく必要がある。二者の間に「どんな意味があるのか」と言う最も基礎的な疑問こそ、あらためて自分自身に問いかける重要な言葉ではないだろうか。(境沢孝)

「Japan Interior Design」No.209,1976年8月号
コーヒーショップ『ボンネタプ』記事より
発行:インテリア出版株式会社

2008年12月02日 03:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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