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life of "love the life"

落語初心者のメモ : 落語初心者のメモ 2008年6月

6/2。なかのZERO小ホールで『落語教育委員会』。最初は御三方によるコント。柳家喬太郎師匠が高校の先生、三遊亭歌武蔵師匠が生徒、柳家喜多八師匠が授業参観のお父さんという役回り。喜多八師匠は建設作業員の出で立ち。セリフを一言も喋らず怪演。巨漢・歌武蔵師匠の無理矢理な学ラン姿も可笑しい。続いて登場したのはなんと春風亭栄助さん。『新・生徒の作文』はTVではおそらく放送できそうにない危険で捩れた根多。以後しばらく「僕は空を飛びたいな」がわが家で流行。場内の不穏な盛り上がりを前にいかにもやり辛そうだった喜多八師匠は『盃の殿様』。酔狂な武士ばかりが登場する根多をさらりと粋に。仲入を挟み喬太郎師匠で『稲葉さんの大冒険』。三遊亭円丈師匠の新作。あれよと言う間に窮地に陥る稲葉さん(柳家さん喬師匠がモデルとか)。追い討ちをかける長谷川さん(犬連れのおじいさん)の凶悪なボケっぷり。トリは歌武蔵師匠で『かんしゃく』。無闇にエラソーで神経質な金持ちの旦那のキャラクターがハマる。

6/7。三鷹市公会堂で『立川談志立川志らく親子会』。立川志らべさんの小気味良い『たらちね』に続いて志らく師匠で『鉄拐』。中国の伝説・歴史上の人物たちを茶化し倒しながら暴走するストーリーがいかにも志らく師匠にぴったり。続いて談志師匠。声の調子が相当悪い様子ではあったものの、実にチャーミングな『やかん』を見せて下さった。仲入を挟んで志らく師匠は『品川心中』の通し。金蔵のお人好し振りが際立つ意外なサゲ。なんとも微笑ましい気分で会場を後にした。

6/13。ソフィアザールサロンで『林家ぼたん勉強会 倶楽部ぼたん』。最初にぼたんさんで『豆や』。明るく楽しい売り声。続いて春風亭栄助さん。お馴染みのチェーン枕かと思いきや真っ直ぐ『ぞろぞろ』に入ったのがかえって新鮮。荒物屋主人の驚き顔が可笑しい。仲入を挟んで栄助さんで『新・生徒の作文』。時節柄あのサゲはどうだろうか、と思いきやそのままやってしまう。おお、チャレンジャー。トリはぼたんさんで『悋気の火の玉』。女性目線で描かれる嫉妬の応酬がいい。これはぜひさらに膨らませていただきたいなあ。

6/14。深川江戸資料館小劇場で『第6回特撰落語会 さん喬・市馬・菊之丞』。柳家小ぞうさんの『金明竹』に続いて柳家喬の字さんで『短命』。そして柳家さん喬師匠で『心眼』。梅喜の悲哀が実に生々しく心に迫る。重厚でありながらさらり美しい。仲入を挟み柳亭市馬師匠で『らくだ』の上。あの朗らかな師匠が丁目の半次をどう演るんだろう、と興味深く拝見するとこれがもう素晴らしいのなんの。こんなにカラリと清々しい『らくだ』が有り得たか。トリは古今亭菊之丞師匠で『唐茄子屋政談』の通し。若旦那キャラが見事にハマる華やかで楽しい高座。

6/17。国立演芸場で『三遊亭円丈・白鳥親子会 - 円丈の骨、白鳥の肉 - 』。最初に両師匠が揃ってステージに登場し、プロジェクターでDVDを上映しながらのトーク。20年くらい前のビデオを編集した実験精神満載の小根多集で爆笑。これだけで2時間くらいもつんじゃないか。そんな企画希望。続いて三遊亭白鳥師匠で『金さん銀さん』。円丈師匠の新作。思いのほかさらりと終わってしまってとまどう白鳥師匠が可笑しい。円丈師匠は『シンデレラ伝説』に挑戦。こちらは白鳥師匠の新作。詰まりがちながらも随所に織り交ぜたくすぐりが凄い。「朝青龍と40人の小結」って。仲入を挟み白鳥師匠で『悲しみは日本海に向けて』。円丈師匠の新作『悲しみは埼玉に向けて』の翻案。修業時代の苦悩を笑い飛ばす快作。まさか羽織が擬人化されてしまうとは。トリは円丈師匠で『夢一夜』。死を間近に控え無茶な蕩尽に走る資産家。不条理の中に漂う哀愁。まさに円丈節。素敵。「末期ガンジョーク」。

6/25。三越劇場で『笑福亭松喬 噺.はなし・話の会』。笑福亭生喬師匠の『青菜』に続いて松喬師匠で『へっつい幽霊』。昨年の『渋谷繁昌亭』以来二度目。アナーキーかつ気品ある大阪言葉はやはり絶品。中条きよし氏と松喬師匠の対談の後仲入。さらに松喬師匠で『帯久』(おびきゅう)。商人の町、大阪ならではの仁義無きドラマを流麗に。思わず膝を叩きたくなる裁きの場面で幕切れ。粋で鮮やかなサゲに心が晴れる。

6/26。シアターイワトで『いわと寄席 柳亭市馬の日』。柳亭市也さんの『たらちね』に続いて市馬師匠で『大工調べ』。この根多を通しで聞いたのは初めて。最後は師匠も立ち上がれなくなるほどの長講であったにも関わらず、軽妙な調子で流れるように聞かせる。棟梁の啖呵に思わずうっとり。仲入の後は市場師匠がタキシードに身を包んでの歌謡ショー『市馬の好きな昭和の歌』。途中なんと白山雅一先生が飛び入りゲスト出演。『ニコライの鐘』は御年を微塵も感じさせない声量での大サービス。感動的。最後に荒木とよひさ岡千秋両氏作の市馬師匠歌手デビュー曲が初の披露となった。ノーコメントだよねこれは(笑)。

6/27。シアターイワトで『いわと寄席 桂吉坊の日』。最初に笑福亭呂竹さんで『寄合酒』。「出家した橋本徹」というつかみに爆笑。続いて吉坊さんで『遊山船』。童顔とは対照的に骨太な芸風に驚く。さらに桂まん我さんで『佐々木裁き』。演じ分けのスマートさ、子供キャラの可愛らしさが実に見事。仲入の後、吉坊さんで『仔猫』。後半が少々お疲れ気味だったように思うが、綺麗に聞かせていただいた。破格の可能性を感じさせつつどことなく陰性の吉坊さんと、陽性の人間臭さが魅力的なまん我さん。お二人とも拝見したのはこの日が初めて。今後要チェック。

2008年07月18日 03:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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