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life of "love the life"

落語初心者のメモ : 落語初心者のメモ 2008年5月

5/1。しもきた空間リバティで『「らくご渦」春風亭栄助独演会「食らえ丼飯っ!!」』。普段着っぽい格好で栄助さんが登場。何の前振りも無く淡々と一人コントが始まる。落語家の育成施設・NRC(New Rakugoka Creation)の面接というシチュエーション。落語界をくすぐり倒しつつ、ベタ根多の実演で爆笑させる。続いて栄助さんで『野ざらし』。小気味良い展開。八五郎の妄想ぶりが圧巻。東京ガールズの寒風吹きすさぶ俗曲に衝撃を受けた後、三たび栄助さんで自作の新作『リアクション指南』。京言葉のお師匠さんがサディスティックな高笑いとともに暴走する。猛毒のような落語。ヤバい。もうかなり効いてきた。

5/14。国立演芸場で『柳亭市馬独演会』。開演に少々遅れて市馬師匠から。徹頭徹尾無駄を削ぎ落としたミニマルな『不動坊』。たい平師匠の『不動坊』のオリジナルはこれか、と納得。仲入を挟んで白山雅一先生の歌謡声帯模写ショー。御歳83。ささやくようでいて限りなく透明でのびやかな歌声に痺れる。続いて市馬師匠で『鰻の幇間』(うなぎのたいこ)。はめられたことを了解しつつ、全く暗くならずにその境遇を楽しんでさえいるような太鼓持ち。清々しく、見ていて晴れやかな心持ちになる。この感じは市馬師匠にしか表現できないんじゃないか。

5/17。三鷹市芸術文化センター星のホールで『立川談春独演会 春談春』。開演前に『赤めだか』サイン会。首尾よくゲットして感激。立川こはるさんの『手紙無筆』に続いて談春師匠で『天災』。クールに登場するも徐々に煽られてしまう心学の先生と、どうしようもなく凶悪なのにどこか憎めないがらっぱちの決して噛み合うことのない問答が絶品。仲入を挟んで談春師匠で『大工調べ』。師匠の『大工調べ』を聞くのは昨年3月以来二度目。八五郎のとぼけ具合が見事に制御され、前回以上に登場人物の個性がかみ合い、棟梁の啖呵も絶好調に冴え渡る。鳥肌もののカッコ良さだった。

5/26。東京芸術劇場中ホールで『三遊亭白鳥柳家喬太郎二人会 デンジャラス&ミステリアス』。白鳥師匠の『ねずみ』を枕の終盤から。ご自身の貧乏体験を絡めたりしつつ、宿屋の親子をちょっと意地の悪いキャラクターとして描く。動物の登場する根多は白鳥師匠にぴったり。筋書き通りでありながら、見事に個性的な『ねずみ』に思わず唸る。続いて喬太郎師匠で自作の新作『ハンバーグができるまで』。メロドラマ的展開の小品。仲入の後、ふたたび喬太郎師匠でやはり自作の新作『夜の慣用句』。セクハラ&パワハラオヤジの生態を思い切り誇張しつつ克明に描写する。ある意味『大工調べ』の棟梁にも通ずる切れ味とアナーキー。喬太郎師匠の禍々しくも魅力的な一面を久しぶりに拝見した。トリは白鳥師匠で自作の新作『アニメ勧進帳』。ややエピソード多め。それにしても給食の献立のところでは思い切り爆笑させていただいた。

5/30。深川江戸資料館小劇場で『笑福亭三喬独演会』。笑福亭喬若さんの『へっつい盗人』に続いて三喬師匠で『禁酒関所』(禁酒番屋)。話芸そのものは至って緻密かつ端正。それでいてビジュアルと噺のトーンからはなんともとぼけた味わいが漂う。会場がすっかりほんわかした空気感で包まれた後、ふたたび三喬師匠で自作の新作、と言うかご自身の家族の変遷とその周辺にまつわるエピソード根多にした『我家のアルバム』。関西ならではの親密な人間模様にますます和む。仲入を挟んで三喬師匠で『三十石船』。舟歌に鳴りもの入り、登場人物入り乱れての楽しく華やかな根多。見たことのあるはずもない淀川下りのイメージが、高座から客席へふわりとひろがった気がした。品ある緩さ。

2008年07月04日 08:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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