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都市とデザインと : 伊東豊雄:建築|新しいリアル

10/8。東京オペラシティアートギャラリーで開催中の展覧会「伊東豊雄:建築|新しいリアル」のオープニングレクチャーへ。会場はオペラシティB1Fのリサイタルホール。以下はその内容の簡単な覚え書き。

展覧会について
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・大型の模型/身体感覚の展示
・均質な格子(グリッド)の中で暮らす現代人
 自然と建築の関係を問い直す/物質(もの)の力を回復する
マルク=アントワーヌ・ロージェ「建築試論」
 幾何学は建築とともに生まれた
・理想の建築ー狩りや花見の幔幕
・ファン・オゴールマン/リベロとカーロの家
 ピュアな幾何学による建築→挫折から壁画運動へ
 →洞窟に暮らす→リベロとカーロの家の前で自殺
 現代人はもう木の上に帰ることはできない
 一方、藤森照信さんのような人もいる(うらやましい)
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ベルリン−東京/東京−ベルリン展(2006)
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・ベルリンの新国立ギャラリーでの展覧会
 ミース・ファン・デル・ローエ設計の建築
・完璧なグリッドの中に波打つ床を設置
 壁を立てない/グリッドが変形して波打つ
・エマージンググリッド(生成するグリッド)
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せんだいメディアテーク(2001)
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・13本の変形した編目状のチューブ/HPシェル(鼓のような構造)
・薄い床/グリッドを板でサンド(スチール)
 →力を均等に伝えるためにチューブ周りのグリッドが変形
 →膨大な量のスチールと果てしなく続く溶接作業
 →力づくで建てる建築/圧倒的な物質の力
・アンダーコンストラクション
 プログラムが変わってもそれに対応し、変化し、完成しない建築
・構造:佐々木睦朗構造計画研究所
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サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン 2002(2002)
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・正方形を回転させながら重ねることで生まれたかたちで構成
・直角の無い建築−ハコの中に居ることを感じない
・建築はどこかで動きを止めなくてはならない
 システムに動きを取り込めないか
・構造:セシル・バルモンド
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TOD'S表参道ビル(2004)
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・9本のけやきのシルエットによる構造(RC造)
・約270のほとんど全てかたちの違う開口部
・枝の全てに力が均等に伝わる
 確認申請上は構造とそれ以外を分けなくてはならない問題
・RC造の配筋を斜めにすることはとても難しい
 職人さん自身がCGを見ながら施工
・構造:オーク構造設計
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MIKIMOTO Giinza 2(2005)
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・鉄板の間にコンクリート/200mm厚の表層=構造
 内部に柱を持たない/床と構造は関係無い
・鉄板コンクリートのパネルを現場で組み上げ
 鉄板を現場溶接し、フラットに仕上げる
・開口部の形状は自由/プログラム上の関連性を与える
 自己生成/ひとつの形状が変われば全ての形状が変わる
・構造:佐々木睦朗構造計画研究所

リラクゼーション・パーク・イン・トレヴィエハ(建設中)
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・直径60mmのスチールロッドによる5本のスパイラルの重なり
 ずれながら連続する五角形の間を木材で繋ぐ
・外皮は銅板
・グリッドを離れ、自然へと近づく建築
・6年越しのプロジェクト/いつ完成するかは未定
・構造:Masahiro Ikeda co.,ltd
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瞑想の森 各務原市営斎場(2006)
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・斎場のプランは機能上誰がやっても似たものになる
 周囲の山野に合わせた配置
・鉄筋コンクリート200mm厚の波打つ屋根を乗せる
・オープニング時に屋根の上を歩けるよう開放
 平らな床を歩くのとはまるで感じが違う
・構造:佐々木睦朗構造計画研究所
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多摩美術大学新図書館(建設中/2007)
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・曲線に沿った200mm厚のアーチの連続
 アーチの印象がアーチでなくなる/前近代性と近代をつなぐ
・1Fは全フロアが地形に合わせたスロープとなる
・書架デザイン:藤江和子
・構造:佐々木睦朗構造計画研究所
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杉並芸術会館(設計中/2008)
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・芝居小屋を彷彿させる黒い鉄板の外皮
・直径300mmの丸穴を無数に開ける
・検討委員会:佐藤信(黒テント)
・構造:佐々木睦朗構造計画研究所
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台中メトロポリタン・オペラハウス(設計中)
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・球状のスペースがプログラムに応じて膨張
 →互いに接しながら変形
 →三次曲面の連続による洞窟のような連続体が発生
・サウンドケイブ/柱も壁もなければ内も外も無い
・幾何学と自然を取り持つ建築
・構造:セシル・バルモンド
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結びに「デザインと現場が直接繋がり、模型のように建築が立ち上がる時代が来るかもしれない」と語ってレクチャーが終了。


質疑回答
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・質問:台中メトロポリタン・オペラハウスの構造について
 細胞膜に近い構造/細胞膜の形態は張力によって成立する
 圧力(重力)がかかった場合に成り立つのか?
・回答:構造解析上では成立している
 スチールのフレーム+メッシュにコンクリート吹付
 厚さ1000mm程度(もっと薄くしたい)
 TOD'S表参道ビルのように免震構造を採用するかもしれない
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・質問:台中メトロポリタン・オペラハウスの断面について
 断面が壷のかたちに似ている
 台湾ではバナキュラーな形態と言えるのではないか
・回答:バナキュラーな形態は意識していない
 モダニズムのカーブではない不器用なかたちが気に入っている
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・質問:台中メトロポリタン・オペラハウスの外形について
 有機的な構造に対して外形が直方体であることをどう考えるか
・回答:建物が周辺へと連続的にひろがる感覚を表現したい
 →断面を単純にさらす/ファサードの無い建築
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2006年10月14日 23:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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