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都市とデザインと : 銀座の土浦亀城

先日江戸東京博物館で見た展覧会「昭和モダニズムとバウハウス -建築家土浦亀城を中心に-」の内容は(タイトルからなんとなく予想されたものの)少々焦点のぼやけたものだったが、参考になる部分もいくつかあった。特に土浦亀城(1897-1996)が日本でモダニズム建築を推し進めるにあたって、ローコストであることと工業化された建材を用いることを重視ししながら、都心に大小さまざまな商業建築を残したことは興味深い。そのうちいくつかの作品は現存している。

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銀座4丁目交差点と歌舞伎座との間にある『三原橋センター』(1952)もそのひとつ。上は晴海通り沿い北西側の外観。看板だらけで大変なことになってはいるが、階段室の屋根やサッシのディテールなど、よく見ればただの雑居ビルではないことが分かる。

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裏側にまわるとシネパトスのエントランス。この映画館はなんと晴海通りの真下に3つのスクリーンを持つ。しかも道路の反対側にもほぼ同じかたちの塔屋があり(現在そちらは新しい外装に覆われてしまっている)通り抜けが可能。竣工当時は双子のビルが向かい合うような状態となっていたのだそうだ(地図を参照)。なんの因果でそんなことになったのかは不明だが、あまりにユニークなプラン。

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そのうち2Fの居酒屋『傳八』で銀座の街を眺めつつ呑んでみたいものだ。

三原橋センター(収蔵庫・壱號館)March 18,2009 リンク追加
三原橋(aki's STOCKTAKING/秋山東一)
傳八ビルのルーツ(Kai-Wai 散策)
銀座シネパトス(港町キネマ通り)

銀座でもうひとつ、中央通りを新橋方面へと少し歩いたところに和菓子店『立田野』がある。このかわいらしいビルも土浦亀城の設計。完成年は不明。

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2002年に1、2F店舗の内外装がリニューアルされている。設計は竹中工務店。外からのぞいただけでも丁寧にデザインされている様子がうかがえる。中央通りを見渡す2Fの窓際の席は実に気持ち良さそうだ。上層階に残ったオリジナルデザインとのパッチワーク具合にも嫌みが無い。土浦作品を消去せず、スマートに活用した貴重な例だろう。

銀座立田野

2006年05月10日 09:00 | trackbacks (0) | comments (4)
comments

先日はありがとうございました。
写真みてビックリ!この映画館「シネパトス」で大学の時バイトしていたんですよー。チケットのモギリと拡声器での呼び込み..。
この地下の怪しい映画館にいろいろな思い出が詰まっています。

posted by: 古井ちゃん : 2006年05月10日 11:29

>古井ちゃん
ホントに?!(>シネパトス)いろいろシブいバイトやってますねー。感心。

この映画館でデレク・ジャーマン特集を見たのはもう10年以上前だなあ。。。以来なぜか足が遠のいてますが、ひさしぶりに行ってみたいです。『トム・ヤム・クン!』やってるし(笑)。

posted by: 勝野+ヤギ : 2006年05月10日 13:11

傳八ビルが道路の下を使っているのは不法占拠みたいな状態と聞いたことがありますが、どうなっているのでしょう。
立田野はいいですよね。手前の風船がこの写真のポイントですね。

posted by: yok : 2006年05月11日 01:02

>yokさん
上でリンクさせていただいた秋山東一氏のブログによると、三原橋の並びはもともと掘割だったところを空襲の瓦礫で埋めて出来た土地らしいですね。おそらく戦後のどさくさでいろいろあったんだろうと思います。
『立田野』は強気な価格設定のせいもあって、ずっと二の足を踏んでいます。こっちに住んでると甘味系はなおさら高く感じますよね(笑)。でも視察も兼ねて行ってみなくちゃ。

posted by: 勝野+ヤギ : 2006年05月11日 03:30

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