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空間デザイン読本 : SD86年5月号「内部からの風景」

前回に紹介した『JAPAN INTERIOR/日本のインテリア Vol.1 デザインの奔流』の冒頭論文をデザイナーへのインタビューで大幅補足してくれるのが雑誌『SD』1986年5月号。登場するのは渡辺力氏、剣持勇デザイン研究所・松本哲夫氏、境沢孝氏、倉俣史朗氏、北原進氏、梅田正徳氏、内田繁氏、スーパーポテト・杉本貴志氏、『ジャパン・インテリア』誌の元編集長・森山和彦氏の10名。日本のインテリアデザインの第一世代から第三世代までをカバー。さらには渡辺妃佐子氏、沖健次氏、飯島直樹氏らがインタビュアーをつとめている。

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何よりも貴重なのは当時プリンスホテルの連作を手がけていた渡辺力氏と、第二世代において重要な活動を残したデザイナーの一人であり現在最も早急な再評価の望まれる境沢孝氏のインタビューが収録されている事。バブル期の狂騒へと向かうインテリアデザイン界に対してクールに警鐘を鳴らす渡辺氏の談話には、クリエーターが常に心しておかなくてはならない“虚構”についての鋭い考察が含まれている。当時のインテリアデザインの状況に対する境沢氏のひと際突き抜けたコメントも印象的だ。ちょっと長いけど引用させていただこう。

ここ数年のデザイン誌を見ているとまるでお棺が置いてあるようなショップ・デザインが非常に目につくので、多分いいと評価されているらしいけど、それは10年前のデザイナーがやっていたことを今またやっているようでどうしても興味が持てない。その上このスタイルが商売としては安定し、成立つという何の危険性も持っていない空間になってしまっていることにつまらなさを感じます。自分を彫り込む、個性を出すといった姿勢が余り感じられません。傑作を残すなどと言うことを前提に考えて、堅くなりリラックスしたデザインが生み出せないのなら、そんな気張った考えをすてて、ある意味で、ジョークのつもりで軽いさわやかなデザインを生み出してほしい。ただ日本の状況だとそういうデザインは、安っぽいとか甘っちょろいと、忽ち言われてしまう。そう言う環境がよくない。むしろそういった環境を破壊する事をジャーナリズムに期待します。(境沢孝)

掲載後20年経った今でも、後続の意識へと向けられたこの言葉のもつ破壊力は失われていない。

また、森山氏のインタビューも見逃せないものだろう。展覧会『空間から環境へ』(1966)や『ie』(1969)、ミニマルアートやイタリアのラディカルデザインが日本のインテリアデザインに与えた影響についての言及は、ジャーナリズムの視点からインテリアデザインの潮流を概観したものとして実に興味深い。

2006年02月17日 04:45 | trackbacks (0) | comments (0)
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