"o.house" job diary 11/25/2002 part 1
2001年02月23日
その日届いた一通のメールは私たちにとって少し特別なものでした。それは私たちがホームページにいつも掲載しているこのjob diaryについての要望だったのです。忙しいとなかなか手をつけることができないこのコンテンツはその頃もすっかり更新が滞っていました。
『このコーナーは建築デザインというお仕事のつらさや楽しさが非常によくわかり、何度も読んでおります。是非、その後も続けていただければと思います。はじめてメール差し上げましたのに、非常に図々しいお願いで恐縮ですが、機会がご ざいましたら是非新しいjob diaryを掲載してください。』
なんと有り難いお言葉(感涙)!ホームページを立ち上げてからすでに5年以上が経過し、アクセス数は増えてもレスポンスはほとんど得られない状況が慢性化する中、まさかこんなメッセージがいただけるとは!私たちは丁重にお礼とお返事メールを送らせていただいたのでした。もちろん、きっとまた新しいjob diaryを掲載しますとも!

2001年11月15日
その後同じ方から久しぶりのメールが届きました。その内容は購入予定の新居に必要な家具のコーディネートを私たちに頼めないか、と言うもの。私たちのホームページを細部まで見て下さっている方からのお問い合わせです。たとえ小さなお仕事でも悪い話になろうはずがありません。早速お返事。ゼヒやらせて下さい!

2001年11月18日
善は急げ、と言うことで早速ミーティングです。PM4:00に恵比寿駅の改札で待ち合わせ。メールを下さったOさんと、その彼女でご婚約者のMさんは気さくで知的なカップルでした。しかも若い!ホントにウチらのようなアホで甲斐性無しのデザイナーでいいんでしょうか?
気を取り直しつつ改札近くのカフェで早速物件の図面を見せていただくと、それは建築面積15坪ほどで半地下駐車場階を含む3階建の典型的な建売住宅でした。Mさんがノートに描いた平面プランニング(すでにライティングは重要!などの書き込みが)を前にデザインの方向性や必要な機能についてのおおまかな打ち合わせが進みます。そしてOさんはバッグから洋書を取り出し『こんなイメージになればなあ。。。なんて(笑)』と、NYにあるビルのロフトフロアと思しいクールなワークスペースの写真を指差しました。OK!方向性は明解です。お気持ちと意気込みは十二分に伝わりました。
さらにそこから現場まで移動。そこはもともとひとつのお屋敷だった敷地を3分割にして細長い住宅を並べた予想通りの状況。工事はすでにほぼ完了していました。外観を見た限りでは3件の中で一番スッキリしているのがOさん購入予定の住宅。インテリアも壁面と天井が白いクロス貼に床は明るめのウッドフローリングと全体にスッキリした印象。食器洗浄機付きのシステムキッチンの前でもうすっかり憧れ主婦モードの勝野(目に星)。
しかし洗濯+脱衣+洗面室が異様に狭い(しかも洗面台のデザインがイタタタ)、階段の形状が超強引(しかも後付けの階段手摺がイタタタ)、給湯スイッチやインターホンの場所が不可解、照明計画に至ってはますます謎、などなど細かい部分ではけっこう問題山積みです。全てを解決しようと思ったら。。。いっそ建て替えたい。。。なんてことを言っても仕方が無いので可能な範囲で快適なお家にするべく頑張らなくては。Oさんは予算内であれば内装に手を加えるのは大歓迎とのこと。よーし先ずは理想案を作ってみるか。
さて、リーズナブルで丁寧で安心して住まいの工事をご相談できる人と言えばこの方しか居ないでしょう。と、言うわけでその日の夜のうちに木ごころ・飛澤さんに即電話。年末から1月の間ならなんとかスケジュールを空けていただけるとのこと。良かった!そして私たちの頭の中には一大リフォーム工事への野望が渦巻くのでした。
2001年11月27日
その日はつかさクリニックの打合せのため四国・徳島へ出張中。Oさんにスケジュール案とデザイン料の見積りを送付。デザイン料見積りについてはすぐにOKをいただいたのですが、お引っ越しまでのスケジュールを少し短縮したいとのこと。

2001年11月28日
再度作成し直したスケジュール表をOさんに送付。お引っ越し日は1月26・27日に、工事完了は2月3日を目標とすることに決定。そして特注でもし家具を作る場合は2月中に納品することに。もう時間がありません。

2001年12月04日
PM9:00から恵比寿のルノアールでOさんMさんと打ち合わせ。サクッとご契約内容をご説明。サクッと契約完了。そしてもう一度インテリアのイメージについて詳しくご相談。木の質感をポイントにすること、白い壁とのバランス、家電やオーディオの種類、収納のボリュームなどなど。打合せは閉店時間まで続きました。

2001年12月06日
Mさんからメールで必要な家電、家具、雑貨などをリストアップした表が届きました。そして初回のデザイン料のご入金とともにOさんから住宅ローンの申請にOKが出たとのご連絡が!いよいよ本格的な作業のスタートです。

2001年12月11日
PM9:00。ルノアールにて各部屋のイメージスケッチを前に第一回目のプレゼンテーション。トレーシングペーパーにフリーハンドでガリガリ描いたラフ平面図もそのままお見せしながら打ち合わせ。内容的には家中の内装に手を加えた状態です。天井をウッド貼りに。壁面に作り付けの本棚とグリッド状のディスプレイ棚を。ワークルームとリビングルームには間接照明を。。。それは家具コーディネートの域を完全に超えたものでした。
それでも安価な木材を使って簡易に工事が可能なディテールを考えればかなりの低予算で出来るはず。永く快適に住まうことを考えるなら、たとえ家具や家電の予算を削ってでも、あるいは多少予算オーバーしてでもインテリア空間自体のデザイン性を高めることが重要なんです!と、説明しつつ今にも怒られやしないかとドキドキの私たちでしたが、スケッチを見ながらとても嬉しそうなOさんとMさん。なんと大筋で一発了解!
さて、そうなると早く飛澤さんに見積を出してもらわなくちゃ。。。
2001年12月22日
木ごころ・飛澤さんと現場調査。図面を見ながら打ち合わせ。飛澤さんが帰った後、勝野とヤギで現場寸法を細かく採寸。なにしろこの建物にはスゴく大雑把な建築図面しか存在しないのです(あとは各業者さん任せでエイヤッと建ててしまうんだから建売住宅と言うのは恐ろしい)。インテリア設計に必要な細かな寸法は自分で採寸するしかありません。
しかし!ここに大きな誤算が。さ、寒い。寒すぎる。特に足下が。現場用にスリッパを持って来なかったのが一生の不覚でした。部屋数の多い住宅物件の採寸はものすごく時間がかかるのです。皆さん、冬場の採寸にはスリッパを忘れずに(誰に向かって言ってんだか)。

年末年始
ひたすら図面を描く。その頃love the lifeの弱小オフィスでは2002年第一四半期中の完成を目指す3つのプロジェクトが同時進行中でした。中でも部屋数が多い上に特注家具もたくさんあるOさんのお家には時間も手間も断然多くかかります。また、こうしたコスト的条件の厳しいプロジェクトでは施工業者さんに極力正確な見積を出してもらうことが重要。そのためには私たちの手でかなり詳細な図面を描いておく必要があるのです。そんなわけで、連日徹夜状態のままオフィスでメリークリスマス&ハッピーニューイヤー。怒濤の一年の始まりです。
part 2に続きます。
part 2