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落語初心者のメモ : 落語初心者のメモ 2009年11月

11/7。吉祥寺・前進座劇場で『噺を楽しむ その40 柳家小三治』。柳亭こみちさんで『本膳』、古今亭朝太さんで『壺算』、五街道雲助師匠で『ずっこけ』、仲入り、三増紋之助師匠の曲独楽、小三治師匠で『お茶汲み』。
久方ぶりのこみちさんは高座に風格が。雲助師匠を拝見するのは初。なるほどこれは極めて独特かつ完成された口調。後半は下ネタばかりとなる酔っ払いの噺を嫌味なく聞かせる。カッコいい。紋之助師匠はいつも以上にトラブル含みの高座。場内が異様な盛り上がりとなる中、小三治師匠の登場。登場人物たちのゆったりとした会話から吉原の風情が立ち現れてゆく。シンプルでナンセンスな展開。粋なサゲ。なんと心地良いことか。

11/11。みたか井心亭で『寄席井心亭 百七十三夜』。柳家花緑師匠の会。柳家まめ緑さんで『道灌』、花緑師匠で『蜘蛛駕籠』、立川談春師匠で『一分茶番』、仲入り、花緑師匠で『笠碁』。
次々登場する癖の強いキャラクターをコントラストも鮮やかに演じ分ける花緑師匠。その表情の可笑しいこと。談春師匠は『権助芝居』のフルバージョンを軽妙かつ丁寧に。確信犯的な権助がいい。花緑師匠の『笠碁』は二回目。数ヶ月前とは全くと言って良いほど造形が異なっていた。二人の旦那が年寄りらしくないことも気にならなくなるくらいに感情の機微を徹底して現代化。演劇的誇張とともに描き切る。驚くべき進化。
最後の質問コーナーで印象深かったのは、弟子は師匠の悪いところから似てくる、才能やセンスがあってもアンテナが壊れてる奴は決して上手くならない、という話。そういうものかもなあ。先日若くして逝去された立川文都師匠の話題も。前座時代、明け方の下宿への帰路、缶コーヒーを飲む文都師匠の「コーヒーは甘うて美味いなあ」とのつぶやきに関西弁の美しさを感じたと言う談春師匠の話しが心に染みた。談志・文都の独特の師弟関係が糖尿病談義から垣間見得るエピソードも泣けた。「一番未練があるのは本人でしょう」と談春師匠。

11/13。上野・鈴本演芸場で『寄席DAYパート39 鈴本特選会 市馬落語集』。柳亭市也さんで『真田小僧』、柳亭市江さんで『無精床』と『夕霧』(踊り)、柳亭市馬師匠で『試し酒』、仲入り、寒空はだか先生のスタンダップコメディー、市馬師匠で『抜け雀』。
ディテールに個性が自然に表れるまでになってきた市也さん。はだか先生はなんと鈴本初登場とのこと。貴重なステージを拝見できて大変有り難い。市馬師匠は二席をそれぞれたっぷりと。特に『抜け雀』は絶品。お人好しな宿屋の主人が絵師に翻弄される様子が明るくコミカルにテンポ良く描かれる。登場人物の繰り広げる会話のリズムの実にタイトなこと。まるでジャズカルテットのようだ。冷たい雨の中、心はほっこりと暖まって帰宅。

11/18。みたか井心亭で『寄席井心亭 百七十四夜』。林家たい平師匠の会。たい平師匠で『親子酒』、柳家小太郎さんで『時そば』、三遊亭丈二師匠で『極道のバイト達』、仲入り、たい平師匠で『宿屋の富』。
小太郎さんの『時そば』は小箱で聞くとやや抑揚に乏しい印象。丈二師匠はヤクザものながらなんとも軽妙で楽しく細部まで丁寧につくり込まれた新作根多。まくらがもう少し短ければもっとウケたかも。たい平師匠の『親子酒』は母親の確信犯的ボケが前面に押し出されるという意外なスタイルでこれでもかとくすぐる。ヤクルトってちょっと可笑し過ぎでしょう。『宿屋の富』は短めながら最後は酸欠気味の熱演。湯島天神以降のエスカレート具合が凄まじいのなんの。見ている方も抱腹絶倒だ。

11/27。水天宮前・日本橋劇場で『長講三人の会』。春風亭昇々さんで『雑俳』、柳家さん喬師匠で『鴻池の犬』、柳家権太楼師匠で『二番煎じ』、仲入り、昔昔亭桃太郎師匠で『らくだ』。
初めて拝見した『鴻池の犬』は元来上方落語で、筋立ては極めてシンプル。さん喬師匠一流の話芸とアレンジによって切なく味わい深い噺となっていた。『二番煎じ』を聞くと冬が近いな、と思う。権太楼師匠の高座は多彩な登場人物がそれぞれに際立って、実に楽しく賑々しい。桃太郎師匠の『らくだ』は突発的に挿入される下らない小ネタにくすぐられっぱなし。火屋へ向かう場面での「夢中になって羽織脱ぐの忘れてた」には会場大ウケ。半次を演じる師匠の独特の凄みも印象的だった。

2009年12月23日 20:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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