life
life of "love the life"

落語初心者のメモ : 落語初心者のメモ 2007年6月の残り

時間があれば落語の日々。しかし見れば見るほど、落語に接することは落語家という人間そのものに接することに相違無いと思う。分かった気になることはできても、実際は分からないことだらけ。どうやら「落語通」には一生なれそうにない。デザインもまた然り。

6/14。武蔵野市民文化会館で「桂歌丸笑福亭鶴瓶林家正蔵 夢の三人会」。最初は鶴瓶師匠。赤茶地に大胆な黒い雪輪柄の着物が素晴らしくカッコいい。上方の落語家には伝統的にお洒落な方が多いのだろうとは思うが、中でも師匠はトップクラスではあるまいか。演目はお馴染みの『青木先生』。以前青山で聞いた時とは違い、静かな幕切れが切なさを残す。仲入を挟んで正蔵師匠は『悋気の独楽(りんきのこま)』。師匠お得意の可愛らしい丁稚が印象的な好演。トリは歌丸師匠による左甚五郎もの『ねずみ』。見事な語り口とキレの良いサゲにシビれた。

6/15。赤坂区民センターで「第7回夕刊フジ平成特選寄席」。ホールとその周辺施設のインテリアデザインは1995年に近藤康夫氏が出掛けている。オーバル形の天井造作が特徴的。コンパクトな空間には傾斜がたっぷりとられており、ステージが非常に見やすい。
最初は三遊亭遊馬さんの『酢豆腐』。噺と動きのテンポが抜群に良く、豊かな声量が生きる。久々の爆笑落語だった。ブレイクの予感。続く柳家喬太郎師匠は池袋と今は無き東横線高島町駅への熱い思いを延々と。「前座さん、今日のネタ『高島町』でいいから」のところではお腹がよじれて死ぬかと思った。長大な枕に連なる演目は『諜報員メアリー』。凄まじいまでのナンセンスさ。衝撃的。仲入を挟んでの林家彦いち師匠は『熱血怪談部』。お得意の体育会系な語り口からは意外なサゲのシュールさが妙に味わい深い。トリは立川志らく師匠。激しい新作が二人続いた後に選んだ演目は、古典の中でも一際アクションが需要となる『愛宕山』。師匠らしく息つく間もなく一気に演じ切る。ある種異様な盛り上がりの楽しい会だった。

6/19。なかのZEROホールで「立川志の輔独演会」。落語向きとは言い難い大きなホールで、少々風邪気味だったとは言え、久しぶりに見た志の輔師匠の落語はやはり格別。丹念につくり込まれたディテールが実に楽しく、それを追ううちに巨大な重力に捕われるがごとく、ぐんぐんと噺の世界へと引き込まれる。演目は番頭さんの暴走ぶりが印象的な『千両みかん』と、愛すべきダメキャラクターの演じ分けが楽しい『へっつい幽霊』。

6/28。保谷こもれびホールで「桂歌丸独演会」。演目は『お見立て』と『白木屋』。特に『白木屋』は素晴らしかった。江戸落語の開祖とされる初代三笑亭可楽作の三題噺。定八の転落までの芝居掛かった展開、裁きの場での東海道五十三次をもじった申し開き、そして軽妙な駄洒落でのサゲが師匠ならではの流麗な口調で語られる。これが堪らなくいい。白木屋は日本橋に実在した小間物・呉服店で、現在の東急百貨店にあたる。

7月の分はまた今度。

2007年08月03日 08:00 | trackbacks (0) | comments (0)
comments

post a comment




*ご記入のメールアドレスはブログ管理者にのみ通知され非公開となります。



back|mail
copyright