life
life of "love the life"

都市とデザインと : 国際文化会館

4/29。古井ちゃんと諏訪さんの結婚式。

会場は国際文化会館。1955年に前川国男、坂倉準三、吉村順三の共同設計で完成(当時、ロビーなどのインテリアデザインは長大作氏が手がけたものだったらしい)。本館の再生保存工事を経て2006年4月に再オープン。

打ち込みタイルの向こうに霞んで見える森タワーは21世紀の東京ならではの風景。

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とてもいい式でした。おふたりともどうぞお幸せに。

国際文化会館

2006年04月30日 22:00 | trackbacks (0) | comments (0)

都市とデザインと : 日比谷・渡辺力のポール時計

4/23。よみうりホールから地下鉄日比谷駅へ向かう途中で旧第一生命館(渡辺仁+松本興作設計・1938)の脇に立つポール時計を撮影。あの渡辺力氏が「私の会心作」(『素描・渡辺力』より/建築家会館・1995)と言ってはばからない名デザイン。1972年の作品。

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直立するコールテン鋼の支柱に正円形の文字盤がふたつ角度を違えて取付けられている。12時の部分で赤いランプが控えめに点滅を繰り返す。

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実に素っ気ないデザイン。それでいて、その存在には隣接する石張りのビルの重厚な意匠に勝るとも劣らない強さがある。

ピンと背筋を伸ばして、いかにもそこに居るのが当たり前、といった風情で街角に静かに佇む様が印象的だ。

渡辺力展/前川国男展(Jan. 30, 2006)
渡辺力の言葉(Sep. 20, 2005)
渡辺力展・METROCS(Apr. 12, 2005)

2006年04月27日 03:00 | trackbacks (0) | comments (0)

update info, 仕事してるんです : DCB・完成写真アップ

love the lifeの作品「DCB」のページを更新しました(Sep. 01, 2012)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。

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「DCB」 は代官山駅そばのちいさな古いビルの中にある。細い階段でのアプローチしか無いオフィス仕様の地下2階にバーを設えるには、設備設計や資材搬入の面で工夫が必要だった。目に見えない部分で膨らむことが予想される工事費用に折り合いをつけるため、私たちは機能要素だけで成立する単純な空間を考えることにした。

バーカウンターの天板は、現場溶接での一体化が可能な人工大理石を用いることで、薄く平滑な面に仕上げた。その真上には対象形の吊り天井が配置されている。カウンター前後の壁に穿った凹みの空間には、それぞれテーブル席とバックバーを割り当てた。これらの造作はほぼ同色のマットなオフホワイトに仕上げ、残った部分は黒に近い濃紺で全て塗り潰した。 間接光と小型スポットライトによる控えめな照明とそれらの反射光が、白い面だけをぼんやり浮かび上がらせると、まるで月光の下のような、立体感を欠いた眺めが現れる。バックバーの壁面には店のマスターである櫻岡氏の要望で、液晶プロジェクターから の映像の投影と、プログラム調光可能な LEDライティングが施された。薄色に染まったモノクロの映像が店内の印象をより一層非現実的にする。

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直線とフラットな面だけで構成した空間の最奥に、私たちはひとつだけゆるやかなカーブを描くステンレスパイプを置くことにした。その造形はたしか月を暗喩したものだったように記憶しているが、あまり定かではない。 カウンターと吊り天井を繋ぐ細いラインは、上下ふたつの面に重力から切り離されたような浮遊感を与えている。

2006年04月26日 04:00 | trackbacks (0) | comments (2)

落語初心者のメモ : 桂三枝独演会 4/23/2006

4/23。よみうりホールへ桂三枝独演会を見に行った。構成と演目(全て三枝師匠の創作落語)は下記の通り。

桂三若『待合せ』
桂三枝『妻の旅行』
桂三歩『国技・インターナショナル大相撲』
桂三枝『宿題』
中入
桂三枝『涙をこらえてカラオケを』

三枝師匠の近作の凄さは「いかにも面白そうなこと」を全く喋らないところにあるように思う。登場人物の会話はほとんど関西人の日常のなかに普通にありそうなものばかりだ。ところが、三枝師匠の手にかかると、その一見なんでもなさそうなやり取りの中から次々と爆発的な可笑しさが紡ぎ出される。
いささか短絡的に過ぎるかもしれないが、おそらくこの不思議な魅力に満ちた独特の話芸は、師匠が長年素人相手のテレビやラジオ番組で活躍する中で培った鋭い人間観察眼があってこそ成り立つものではないかと思う。この日の演目の中でも特に『妻の旅行』と『宿題』は、未来の古典と呼ぶにふさわしい風格を感じさせるものだった。

なんでもない日常の中からさりげなく可笑しさを取り出してみせる、という創作行為には、落語のみならずデザインの本質にも通ずる部分があるように思えてならない。さて、果たして私たちは未来の古典とされるような作品を生み出し得ているだろうか。

カフェテリアのマスターと心配性の男性客との会話で展開する『待合せ』は三若さんの芸風にマッチした軽妙な演目。三歩さんの『国技・インターナショナル大相撲』はほとんど駄洒落ばかりで残念ながら今ひとつ。ところでお囃子の代わりに関西ローカルTV番組のジングルみたいなBGMが流れるのは三枝師匠の会らしい演出かもしれないが、慣れるのはちょっと難しいなあ(笑)。

席亭桂三枝のいらっしゃーい亭

2006年04月25日 04:00 | trackbacks (0) | comments (0)

仕事してるんです : dcb・完成写真撮影

4/20。先月オープンした代官山のバー『dcb』の完成写真撮影。『谷の家』に引き続き、この日もフォトグラファーが佐藤振一さん、アシスタントが大瀧格さんという超豪華な布陣。ありがたや。

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小さな空間なのでカット数は5つほど。それでもセッティングを含めて5時間たっぷり。最後はオーナーの櫻岡さんのご協力でLEDライティングの色違いカットもいくつか撮影することができた(LEDライティングの調整には専用ソフトウェアを操作する必要があるのだ)。感謝です。

で、4/21の夜に早速ポジの受け渡し。仕上がりはもう言うこと無しの想像以上で嬉しい限り。佐藤さんのセンスと腕前はお世辞抜きに世界一だと思う。

『dcb』の完成写真は25日(火)辺りに公開できる予定。どうぞお楽しみに。

dcb・祝オープン(Mar. 21, 2006)

2006年04月22日 04:00 | trackbacks (0) | comments (0)

都市とデザインと : 滝内高志さんのホームページ公開

インテリアデザイナー・滝内高志さんのホームページがようやく公開できる状態に。野井成正さんのホームページに続いて、今回もファン代表として制作を任せていただいた。

takiuchitakashi.com

滝内さんの人柄やデザイン哲学が伝わるようなコンテンツがまだ無いのは残念だが、作品写真のページ『works』のボリュームはかなりのものだ。'90年辺りを境に金属質の空間から木質の空間へとダイナミックな変貌を遂げる飲食店のインテリア、そしてHK邸に代表されるチャーミングな住宅建築は一番の見所。また'80年代を中心にデザインされたブティックのインテリアからは滝内さんの実験精神とプランニングの妙、そしてデビュー直後からすでに完成されていた確かな設計技術が伺える。

これだけ数多くの重要な仕事をなさっているにも拘らず、どういうわけかまとまった出版物をほとんど持たない滝内さんの作品をwebでサクサク見ることができるようになるとは、ああなんと幸せなことか(感涙)。皆さん、しっかり勉強させていただきましょう。

滝内高志さんに会った(May 05, 2004)

2006年04月21日 02:00 | trackbacks (0) | comments (0)

空間デザイン読本 : CONFORT「伝説のインテリアデザイン」

2003年から2004年にかけて、CONFORTと言う建築・インテリアデザインの専門誌で『伝説のインテリアデザイン』という不定期(ほぼ隔月)の連載記事をお手伝いさせていただいた。誰がつけたのか、思わず(笑)を付けたくなるくらいに大上段なタイトルだが、それなりに気合いの入った内容ではあったので、空間デザイン読本のカテゴリーで紹介させていただくことにする。

この連載では毎回20世紀末の商環境デザインの世界に大きなインパクトを与えたデザイナー1名とその代表作にスポットを当て、デザイナーだけではなくその作品(店舗・商業施設)のオーナーやオペレーターへのインタビューも個別に行った。登場していただくデザイナーは毎回1名ずつ、取材物件は1つから多くても4つくらいに絞り、現存する中でなるべく古い作品を取り上げることで、地域と商業とインテリアとの本質的な関わりに迫りたいと考えた。連載の扉のページにはその店舗や商業施設の周辺環境まで画面に入るよう、わざと引いた位置から撮影した写真を毎回使用している。テキストと構成は藁科裕里さん、写真撮影は梶原敏英さん、love the lifeはインタビューと取材作品の図面やディテールなどのイラスト化を担当した。

本当は10回くらいは続けたかったが、雑誌全体の編集方針が大きく変わったことにともない連載は6回で終了。短命ではあったが、本当に貴重で意義深い内容の取材ができたと今にして思う。バックナンバーは建築資料研究社のサイトで購入することができるので、ご興味のある方はぜひご覧になって下さい。

・CONFORT No.68
 伝説のインテリアデザインvol.1:倉俣史朗『COMBLE』掲載
・CONFORT No.70
 伝説のインテリアデザインvol.2:野井成正『CUBA』他3作品掲載
・CONFORT No.73
 伝説のインテリアデザインvol.3:内田繁『BALCON』他2作品掲載
・CONFORT No.75
 伝説のインテリアデザインvol.4:近藤康夫『神戸BAL』掲載
・CONFORT No.77
 伝説のインテリアデザインvol.5:高取邦和『松下』他2作品掲載
・CONFORT No.78
 伝説のインテリアデザインvol.6:滝内高志『OTTAGONO』他3作品掲載

連載をはじめるにあたって、イントロダクションのようなものを書いた。テキストのボリュームがあり過ぎて、結局誌面には使われなかったが、連載の趣旨を伝えるにはちょうど良い内容なので以下に全文を掲載しておく。

2006年04月20日 02:00 | trackbacks (0) | comments (0)

空間デザイン読本 : 内田繁・三橋いく代作品集×2

内田繁氏・三橋いく代氏の作品集として最も代表的なのがこの2冊。

インテリア・ワークス 内田繁・三橋いく代とスタジオ80(1987/六耀社)
内田繁 with 三橋いく代 インテリア・家具・建築)(2003/六耀社)

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87年版は両氏の作品を『関係の先行性』、『空間とその表層』、『素空間と物体』、『ブティックのデザイン』の4項目に分けて、豊富な写真やスケッチとともに紹介する内容。加えて内田氏による小論が6つ、さらに巻末には分かりやすく簡略化された各作品の平面図がまとめられており、資料的価値の非常に高い一冊となっている。また、巻頭に寄せられた伊東豊雄氏による序文は両氏に対する同世代の建築家からの印象を述べたものとして興味深い。

03年版の作品紹介は『デザインの出発 - 素空間と物体』、『静けさの発見 - 空間の単純化』、『関係としての空間 - 構成的空間』、『空間の装飾性 - 表層的空間』、『日本文化の精神性 - 茶室』、『多様性と超越 - 光と色彩と空間』などに分けて行われ、それぞれの項に内田氏によるエッセイ的な文章が添えられている。こちらもビジュアルは豊富ではあるが、残念なことにエディトリアルデザイン的には87年版に劣ると言わざるを得ない。

87年版に掲載された6つの小論に比べると、03年版のエッセイにはずいぶんと簡潔で柔和な印象がある。内田氏のデザインを理解するには03年版を読むのが早道ではあるが、バブル経済の只中で言わば過剰な理論武装を余儀なくされたクリエーターの苦闘が垣間見える87年版も印象深い。20年近くを隔てた2冊を読み比べ、内田氏の思考の遷移と発展を知ることは、私たちにとって大変貴重な参考となった。

この2冊(特に87年版)から得られるキーワードとして最も重要なのが“関係の先行性”。思い切って簡単に書くと、これは物体それぞれの特性よりも、それらの間にあるべき関係性から先に考えてみる、という空間デザインへの取り組み方を示している。ものや素材の持つ記号性に頼り切ったデザインが目立つ今日この頃、“間合い”さえバッチリ決まってしまえば構成物自体はゼンゼン入れ替え可能、みたいなやり方もあることをお忘れなく(と、自己反省)。

03年版の巻頭に寄せられたアンドレア・ブランジ氏による序文『西洋のなかの東洋』は、内田・三橋両氏のデザインの核心に触れると同時に、日本のインテリアデザイン史を考察する上でヒントとなる要素を含むものとなっている。以下に一部引用させていただきます。

2006年04月18日 22:00 | trackbacks (0) | comments (2)

空間デザイン読本 : 東京窓景

1960年代に始まった建設ラッシュが生んだ膨大なフロアを実験場として、日本のインテリアデザインは主に商業施設の分野で独特の発達を遂げた。バブルと呼ばれた時期を境にその大きな流れは一気に細まり、今やさらに十年以上が経過している。21世紀初頭のインテリアデザインの大勢は、かつて隔離された実験場の中で整えられたルールとマナーの範疇を一歩も出ることの無いまま、空間による表現からいつの間にか薄っぺらな飾り付けへと退化してしまっているようだ。おやまあ。

そんな私たちの現状に対して、実に示唆的な視点を提供してくれるのが中野正貴氏の写真集『東京窓景』(2004)。中野氏は『TOKYO NOBODY』(2000)でも知られるフォトグラファー。

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写真集には中野氏が東京都内のあちこちで撮影した“窓越しに眺めた風景”の写真80点ほどが収められている。とだけ言うとなんだかフツーだが、風景だけじゃなくて窓の内側にある部屋の様子も画面の中にわざと一緒に写してしまっているところがミソ。そこに切り取られるのは畳に敷かれた布団越しのアサヒスーパードライホール、オフィスチェア越しの歌舞伎座、カラオケのモニター越しの埼京線だ。窓の向こうに街の雑踏が収まった写真はあるが、部屋の中に人物の居る写真は一枚も無く、そこにはうっすらとした気配だけが漂っている。

若干の語弊は気にせずに書くと、ここでの被写体は“都市”と“インテリア”だ。一見して強烈な違和感を覚える写真だが、確かにそこには普段の生活感覚と重なるものがある。私たちは醜悪な建物の中に居ることをすっかり忘れて窓のあちら側とこちら側の世界で生きている。その現実をこの写真集はストレートなビジュアルとして眼前に突きつける。

デザイナーがぼうっとしている間にインテリアは都市へと開かれ、街はインテリアとひと繋がりの生活空間となっていた。私たちのインテリアデザインは単に建物の内部空間を扱うのではなく、都市の片隅から新しい風景を切り拓いてゆくものでなくてはならない。密室の饗宴はとうに終わったのだ。

東京窓景(河出書房)
東京窓景(Amazon.co.jp)

中野正貴(art unlimited)

2006年04月16日 16:00 | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 上野広小路・うさぎや

4/9。御徒町駅周りでの買い物のついでに『うさぎや』へ初めて立ち寄った。1913年開業の和菓子店。

店があるのは上野広小路近くのビル1F。瓦葺きのひさしのついたなかなか重厚なつくり。ひさしの上にちょこんと乗ったFRP製のうさぎの行灯が可愛らしい。インテリアでは左官仕上げの天井を折り上げた大きな楕円の間接照明が特徴的。

日曜の午後、かつ花見のラストチャンスということもあってか、小さな店内は入れ替わり立ち替わり訪れる客でごった返していた。私たちも含めてほとんどの人の目当ては名物のどら焼き。店の人は実に手慣れたもので、順番に個数を確認し、奥からどら焼きの包みをカウンターへと運び、客を呼び出しては注文をさばいて行く。店に着いた時は一体どうなることかと思ったけど、ほどなくどら焼き4個を手にすることができた。包み紙を通して伝わる暖かみが嬉しい。

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アトリエに戻って早速いただいたどら焼きは、実に驚きの美味しさ。まず皮の部分のきめ細かさと香ばしさが抜群だ。

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さらに輪をかけて素晴らしいのがこの艶やかな餡。食べ進むに連れて、とろけるような食感に思わずうっとり。まさかどら焼きで感動するとは。正直ここまでのものとは思わなかった。

この日は一人ひとつずつにして、残りの2個は翌日にいただいた。皮の香ばしさはほぼそのまま。しかし餡がとろみを失った分、少々普通のどら焼きに近づいてしまったか。やはり感動の味は出来立てで。

徒歩20分の距離ではあるが、今後は『うさぎや』目当てに東へと散歩することが多くなりそうだ。

うさぎや/東京都台東区上野1-10-10
03-3831-6195/9:00-18:00/水休

2006年04月13日 20:00 | trackbacks (0) | comments (6)

日々の生活と雑記 : 杉板が一日で完全乾燥

安全・安心を守る消費スタイル
第22回
(Apr. 13, 2006 日経BP社/SAFETY JAPAN)

これが本当なら相当画期的なこと。
国産杉をどんどん活用して花粉症を根絶しましょう。

2006年04月13日 19:00 | trackbacks (0) | comments (0)

掲載誌・書籍など : the best interiors / Feb. 2006

ロシアのインテリア雑誌『Лучшие итерьеры』(the best interiors)2006年2月号(No.44)に『fit』が掲載されています。おそらくここをお読みでロシア周辺にお住まいの方はいらっしゃらないとは思うのですが、もし機会があれば書店でご覧下さいね。

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誌面は住宅物件を中心にロシア周辺を含む世界各地のインテリアデザインを紹介する内容。果たしてどんな作品が集められているのかな?と、楽しみ半分、不安半分でページをめくってみたのですが、いやはや、参りました。ものすごくレベルが高いです。モスクワやペテスブルグ、ミンスク(ベラルーシ)、オデッサ(ウクライナ)、辺りで活躍中のデザイナーも実に素晴らしい仕事をしているではありませんか。テイストとしてはデコレーション的要素の強い作品が多いですが、そのセンスの高さには目を見張ります。勉強になりました。

エディターの方とのやり取りはメールで行われましたが、そのわりにはしっかりと取材していただいて、テキストのボリュームも充実しています。本文は当然ロシア語なので、内容は巻末にある英語のダイジェスト版でしか確認できませんが(笑)。エディトリアルデザインもスタンダードながらクオリティの高いもので、とても丁寧な誌面作りをされていることが良くわかります。カッコ良く載せていただいて恐縮&感謝です。

Лучшие итерьеры - the best interiors / Feb. 2006 (No.44)

2006年04月10日 19:00 | trackbacks (0) | comments (3)

食べたり飲んだり : 西麻布・かおたんラーメン

4/5。打合せの帰りに西麻布の『かおたんラーメン』で食事。この店へは東京に住むようになった10年ほど前に何度か行ったきりだった。

それにしても、青山墓地の南端という絶好の立地に佇むバラック然とした店構えは、何度目にしても凄まじ過ぎる。

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「たしかここから入るんだよね?」と思わず指差し確認しつつ、資材の山に埋もれそうなドアを開ける。店内は狭く、大テーブルとその両側に置かれたベンチ席でほぼ目一杯。時間が中途半端だったので客はまだ一人も居ない。ベンチに座ってラーメンと味肉野菜ラーメンと餃子を注文。

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懐かしさと驚きの入り交じった感情にぼうっとした頭で店内を見回すと、電気配線に碍子が使われていることに気がついた。おお、デンジャラス。

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ここが21世紀の東京であることを疑いたくなるような状況だけですでに気分的にお腹いっぱいではあったが、とは言え、久方ぶりに味わったラーメンも餃子も大変美味しかった。上の写真左がラーメンの味付たまご(二卵)入り。右が味肉野菜ラーメン。
様々なベースを用いていると思われる醤油味のスープはさっぱりとしていながら実に深いコクがある。揚げねぎの香ばしさと甘さも印象的。ストレートの麺は少しやわらかめ。なんとなく身体に良さそうな、やさしさとパンチ力の両方を兼ね備えたラーメンだ。にんにく風味の強烈な餃子もなかなかのもの。

それにしてもこの店は一体どのくらい前からここにあるんだろうか。この10年あまりの間に西麻布界隈の店もずいぶんと入れ替わったが、『かおたんラーメン』のまわりだけはまるで時間が止まったようにそのままだ。

かおたんラーメン/東京都港区南青山2-34-30
11:00-5:30(金土-5:00)/日休(月曜日が祝日の場合は日曜日営業、月休)

2006年04月08日 18:00 | trackbacks (0) | comments (5)

update info, 仕事してるんです : 谷の家・完成写真アップ

Love the Life の作品、「House of the Valley」のページを更新しました(Sep. 04, 2012)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。

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「谷の家」は東京都港区の住宅街にある。地上3階、地下1階のフロアには、クリエイティブプロダクション代表の住まいとアトリエ、ミーティングスペースと収蔵庫が含まれる。限られた予算内に多くの要素を盛り込むデザインが求められた。

私たちはまず必要な機能と動線を可能な限り整理し、建物本体をガルバリウム鋼板の単純な直方体にまとめた。敷地の残りを道路境界線に沿って高さ7mのルーバーで囲うと、建物との間にまるで谷底のような空間が現れた。

私たちは建物の南側全面を開口部とし、さらに各フロアから「谷」へ張り出すようにして小さな庭やテラスを設けた。また、来客用とプライベート用のエントランスを別にする必要があったため、ルーバーの中央にRC造の階段室を嵌め込み、2階のプライベート用エントランスへとブリッジを繋げた。こうして「谷」は様々な生活シーンが重層し、交差する場となった。

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「谷」からは、さながらショーケースの前を歩くようにして、各フロアの特徴的なインテリアを様々な視点で伺うことができる。屋内から「谷」への眺めは、時間や天候とともに刻々とその表情を変えてゆく。「谷」とインテリアの狭間にあって、建物の印象は極めて希薄なものとなる。陽のうつろいと人の営みだけが、この家の風景を豊かに構成する。

2006年04月07日 21:00 | trackbacks (0) | comments (5)

食べたり飲んだり : 丸の内・きじ

4/3。2005年11月にオープンした東京ビルディングの商業ゾーン『TOKIA』の中にある『きじ』で夕食。新梅田食堂街(JR大阪駅近くの高架下)に本店を構える創業50年あまりのお好み焼き店。新梅田シティ店と合わせてここが3つめの店舗となる。2日前にフォトグラファーの佐藤さんと一緒に来た時には店の前はものすごい行列だったんだけど、この日は平日の少し遅めの時間だったおかげですんなり暖簾をくぐることができた。

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店構えは上の写真をご覧の通り小ざっぱりとして何の変哲も無い。インテリアもしかり。しかし最奥のカウンター席に案内され、オーダーしたお好み焼きの調理が始まると、この店の印象は急激にダイナミックなものへと変わる。
メニューの大部分はこのカウンタートップに嵌め込まれた巨大な鉄板で調理され、各テーブルへと運ばれる。カウンター席は言わば「砂かぶり」だ。プレミアムモルツのグラスを片手にスジぽん(牛スジ煮込にぽん酢でさっぱりと味付けしたもの)をつまみながら待つことしばし。モダン焼とスジ焼が奇麗なハーフアンドハーフとなって供された。

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鶏ガラスープをたっぷり含み、ふっくらと仕上がったお好み焼きはなんともやさしい味がした。同じ大阪のお好み焼きでも、『鶴橋風月』とは全く方向性が違う。そう言えば、お好み焼きに限らず大阪の食べ物は何もコテコテ一辺倒じゃあなかったことを思い出す。むかし『川福』で食べたうどんや『会津屋』で買ったたこ焼きの味が、ふと脳裏によみがえった。

決して急がず、しかし無駄の無い手つきで、時折関西弁でやり取りしながら眼前にずらりと並んだお好み焼きや焼きそばを丁寧に調理する厨房スタッフの様子を眺めるのは楽しく飽きがこない。特に店長と思しいコック帽を頭にのせた長身の男性は、作業中にも客席にくまなく目を配り、フロアスタッフへ給仕のタイミングを実に細かく指示していることが分かった。だからと言って無闇に緊張感を漂わせているわけではなく、表情は常に柔和で、カウンターの客と二言三言そつなく会話したりもする。良く通る「おーきにー」の声が店内の雰囲気に心地良い張りを与える。

私たちが食べ終わる頃を見計らって、コック帽氏はさりげなく紙ナプキンと楊枝をカウンターの縁に置いた。いい店にはその場の調和を完璧に支配する指揮者が必ず居るものだ。

今度行った時もカウンター席に案内してもらえるといいな。

きじ・丸の内/東京都千代田区丸の内2-7-3東京ビルTOKIA B1F/03-3216-3123
11:00-15:30,17:00-23:00/無休(厨房点検の臨時休業有)

2006年04月06日 19:00 | trackbacks (0) | comments (2)

日々の生活と雑記 : 燃えなければいいんですか?

4/4のニュースより。

延焼防止、知られていない? 「防炎品」の普及低迷
各地で多数の焼死者を出す火事が相次ぐ中、延焼防止に役立つとされる「防炎品」の普及が伸び悩んでいる。燃えにくい素材でできた防炎カーテンを使っていたため、連続放火犯による被害を最小限に食い止めたケースもあるが、一般家庭の普及率は、東京都内で3割程度。
総務省消防庁では「万一、火事が起きても命を救う効果がある」として、今月から、消費者の前で防炎品に火をつけ、燃えにくさを実感してもらうなどのPR作戦を始める。(略)
防炎品は、不燃性のガラス繊維などが使われ、着火しても燃え広がりにくい。防炎品の普及を進める「日本防炎協会」(東京)の実験では、普通のカーテンに火がつくと、炎はわずか1分で天井まで達してしまうが、防炎カーテンの場合、大型ガスライターの火を5分間近づけても、炎のあたった部分が黒く焦げるだけで済む。 防炎品の種類は実は豊富で、カーテンやカーペットのほか、障子紙や仏壇で使う白布、バイクカバーなどもある。特にカーテンの場合、日本防炎協会は「一般の商品と比べて割高ということはない」と説明する。(略)
(2006年4月4日14時53分 読売新聞)

常々知りたいと思うのは、火災時に「防炎品」が人体に有害なガスをどの程度発生させるのか、と言うこと。ガラス繊維なら特に心配は無さそうだが、防炎品のインテリアファブリック(カーテンや壁紙など)の多くは難燃性の塩化ビニールなどを主材としたものや、化学素材を浸透させることで「防炎加工」を施したものだ。この辺のデータが分かりやすいかたちで公になっていないことが、そもそも「防炎品」なるものを胡散臭い存在にしているんじゃないかと思う。特に高気密で収容人数の多い商業施設やオフィスビル、高層マンションなどのインテリアを防炎品で覆い尽くすことには、かえってなんだか危険を感じるんだけど、実際のところはどうなのだろうか(良い資料をご存知の方がいらっしゃれば、ご教授いただけると大変有り難いです)。

そもそも衣服を着て生活している限り、私たち自身が可燃物のかたまりなのだ、ということを忘れるべきではない。消防法的にはとにかく建物さえ延焼しなければ、人間は燃えたり中毒死しても一向に構わないのかもしれないが。

JFRA 日本防炎協会

2006年04月05日 08:00 | trackbacks (1) | comments (0)

仕事してるんです : 完成写真撮影/最終チェック

3/30夜から4/1午後にかけて3年越しの住宅プロジェクトの完成写真撮影。工事が引越の直前ギリギリまで押してしまったため十分な時間を確保することはできなかったものの、幸い天候には恵まれた。

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RCの壁と大きなガラス窓に挟まれた谷間のような庭がようやく全貌を現した。

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ブリッジや階段、各階テラスからの様々な眺めはなかなか楽しいものになったんじゃないかと思う。

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SHIZENさんに植えていただいた地下1Fから地上2Fまで立ち上がるドラセナがこの庭の中心となった。陽の進行に従って移動する影が建物を表情豊かなものにしてくれる。

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最後の最後まで細部調整の続いたインテリアも結果的にはなかなかの仕上がりに。上は2Fの写真(1Fの写真3Fの写真)。

4/3にはクライアントを含めた最終チェックが行われ、後日施工の大同ハウジングさんとの間で引き渡し手続をしていただくことに。

店舗と違って住宅の寿命はずいぶんと長い。しかし何分プライベートな空間なので、店舗のようにしょっちゅう訪れるわけにも行かない。おそらく、長い間手塩にかけたこの建物の様子を今後私たちが見に来る機会はそれほど無いのだ、と思うと急に寂しい気持ちになるが、ひとまずこれでお別れ。

写真の出来上がりが楽しみだ。

2006年04月04日 13:00 | trackbacks (0) | comments (7)
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